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2009年10月20日

ルフトヴァッフェの遺産 ~Do 335~

先日、この方から、ビデオテープデッキを借りてきました。
ただ借りに行っただけのつもりが、その晩は急遽カレーオフに突入してしまいましたが…。

5~6年前にデッキとテープを処分しましたが、中には捨てるには忍びないものもあって少数保管していました。
しかし、テープではカビが生えたり耐久性は低いので、テープが完全に劣化する前にPCデータ化&DVD化したかったのです。
以前からやりたいと思っていたことが、ようやく実現です。

その代表がこれ。

IHF(INTERNATIONAL HISTORIC FILMS)社の「ドルニエ Do 335」のビデオです。
現在ではDVD版でのみ存在しているようですが、さりとて簡単に入手できないのでこれをキャプチャーしてDVD化しようというわけなのです。


【ドルニエ Do 335】
第二次大戦末期に登場した、双発串型配列による大型の重戦闘機で、コックピットを挟んで前後にエンジンをタンデムに配置した奇異な機体。
第二次大戦前の1920年代、ドルニエ社では『Do J』と『Do X』という飛行艇で2基のエンジンを一つのナセルにタンデム配置した機体を製造しており、1937年に串型配列機の特許を取得して以来研究が続けられていました。
(双発のDo Jは大成功するも、12基のエンジンを有する大型機であるDo Xは3機が生産)
1942年5月、ドイツ空軍から出された800km/hを有する単座高速爆撃機の要求に対し、アラド社とユンカース社(ルフトハンザ航空の前身)を押え、ドルニエ社の双発串型配列の設計案が採用されて正式にDo 335として契約されます。
しかし、その年の秋には単座高速爆撃機の要求が取り消され、そのレイアウトを受け継いだ多目的戦闘機として開発は継続されました。
そして、1943年10月26日、液冷倒立V型12気筒のダイムラー・ベンツDB603A-1を2基積んだプロトタイプのDo 335 V-1が初飛行に成功します。
初飛行での速度性能が要求値(600km/h)に及ばなかったものの、運動性、安定性に優れた機体であったことからプロトタイプの追加生産と先行量産を命じられました。
1944年5月23日、ヒトラーから最優先量産機に指定されますが、既にその年の3月に生産ラインであったマイツェル工場が連合軍の爆撃を受けて壊滅して生産が困難になっており、He219夜間迎撃戦闘機の生産をストップさせてその生産ラインを使って9月に数機が完成しました。
完成機は、試験飛行団で実用テストを行い始めるも、劣勢に追い立てられては量産もままならず、翌1945年の終戦までに完成したのは35機(一説には37機とも)、製造中の機体を含めても50機未満しか確認されていません。

そんな完成機数が少ないDo335のプロトタイプのDo335 V-1(コードNo:CP+UA)の貴重な飛行映像が残っており、これもまた”ルフトヴァッフェの遺産”とも言えるでしょう。
キャプチャーしてPCデータ化したのでアップしてみました。
(YouTubeでも同じ様なのがありますが)

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<embed name=PlayerCore pluginspage=http://www.macromedia.com/go/getflashplayer align=middle src=http://www.flipclip.net/static/swf/frames/CompactXXLarge.swf?coreURL=http://www.flipclip.net/static/swf/PlayerCore3/core.swf?1256007743&seqURL=http://www.flipclip.net/api/clips/a83fd0507b1283fa781750079f212a2c/sequence/480x360?t=1256007743&modPath=http://www.flipclip.net/static/swf/PlayerCore3/module/&autoPlay=&resizable=true&hidePopupNavigation= width=480 height=360 type=application/x-shockwave-flash allowScriptAccess="never" bgcolor="#ffffff" menu="false" wmode="transparent" salign="T" allowFullScreen="true" scale="showall" quality="high">

【Do 335のタイプ】
Do 335 V-1~14:各種プロトタイプ
Do 335 A-0:DB603A-2を搭載した戦闘爆撃機型の先行量産機
Do 335 A-1:A-1の戦闘機型量産機
Do 335 A-4:偵察機
Do 335 A-6:複座の夜間戦闘機
Do 335 A-10:複座の練習機
Do 335 A-12:複座の練習戦闘爆撃機
Do 335 B:両翼に大型フェアリング付き30mm機関砲を各1門追加、前脚の強化、新型キャノピー、胴体下部に増加燃料タンクなどの装備追加
Do335 B-6:複座夜戦型、FuG220ネプツーン・レーダー搭載(計画のみ)


Do 335 V-11:A-10型のプロトタイプ)


Do 335 V-13:B型のプロトタイプ)

エンジンの双発串型配列は、一般的なエンジンを両翼に配置した場合より断面積が減り、空気抵抗も減らせるので双発機でありながら高速化が望めます。
また、重いエンジンが翼に無いために翼に掛かる荷重モーメントが減り、通常の双発機より運動性の向上が得られます。
また、エンジンが機軸上にあるために片肺時でも安定性を失わないなど、有利な点は多いのです。
しかし、後側のエンジンはプロペラまで延長軸を使用せねばならないなど、機構上の複雑さゆえに技術的にも難しく、実用化はこのDo 335だけです。
日本でも、雷電がエンジンとプロペラとを延長軸で繋げていることによる振動で梃子摺っており、その何倍もの長さの延長軸を使用していることには驚きです。
(当時の日本では、機械加工精度はドイツとは比較にならないくらい悪く、慢性ニッケル不足で材質的に問題有り)
尚、緊急時のパイロット脱出の際には圧搾空気を利用した射出シートが採用されており、安全のために脱出と同時に火薬で垂直尾翼と後部プロペラをパージする機能を有していました。
性能は、排気量44,500cc、最高出力1,750 PS (1,287 kW, 1,726 hp)のDB603A-2×2基で、MW 50水メタノール噴射により6,500mで763km/hの最大速度を誇り、14.5分で高度8,000mまで上昇可能。
前後どちらかのエンジン1基だけ(片肺状態)でも563km/hとのこと。
(米軍のテスト結果?)
固定武装は、プロペラ同軸内の30mm MK 103機関砲と機首上部の15mm MG151機関銃2門。
B型に於いては、更に両翼にMK 103機関砲をそれぞれ1門です。

第二次大戦中のドイツでは、末期ともなると数々の新兵器が研究・開発・試作されました。
ジェット(機・エンジン)、ロケット(機・エンジン)、レーダーや後退(前進)翼、等など、数多くの技術やアイデアが戦後の戦勝国に渡っていきました。
Do 335で採用されている射出シートも現代では当たり前ですし、誘導ミサイルにしても有線の空対地ミサイルも実用化されていて、更にテレビ誘導方式までも研究されていました。
戦後、米国とソ連がドイツの技術とアイデアを奪い合って技術進歩しましたから、一般的に「ドイツの技術は世界一ィ!」と呼ばれる所以ですが。


【現存機】
日本も同様ですが、敗戦国の武器は廃棄処分が当然です。
しかし、敵国の武器を調査することは重要であり、Do 335も連合軍の各国で捕獲されました。
ヨーロッパでの終戦前後に、英国とフランスが完成機を捕獲しましたが、とりわけ米国はその多くの完成機とパーツを捕獲しました。
米国は、その内の1機のDo 335A-0(機体No.240102)を米国本土でテストをしています。

写真の捕獲されたこの機体は、1945年4月16日にドルニエ社のRechlin-Oberpfaffenhofen工場で製造された機体で、6日後の4月22日に連合軍によって捕獲されました。
ミュンヘン近郊から、護衛として2機のP-51を伴ってフランスのシェルブールまで移送されます。
英国海軍の船で他の捕獲したドイツ機と一緒に米国本土に送られ、米国海軍によって1945年~1948年までテストされました。
テスト終了後、1961年にスミソニアン国立航空博物館に寄付されましたが、1974年までNASノーフォークに保存され、1975年にドルニエ社(戦後も存続)に戻されて復元されました。
1976年~1985年までドイツ博物館に展示された後、現在はスミソニアン航空宇宙博物館に展示されています。

(復元完了直後)


Do 335の実戦参加の記録はありませんが、終戦間際の1945年4月にイギリス空軍の第122飛行団第3飛行隊のホーカー テンペストが単独飛行中のDo 335と遭遇。
進路妨害を試みるも700km/h誇るテンペストで追い付けず、射撃照準位置にさえ入ることができなっかたという記録が残るのみです。
ルフトヴァッフェ末期に登場したTa 152Hなどの新型機や先行量産機による逸話は数多く、敗戦国であるが故にドイツ側の記録が残っておらず、不明瞭で謎な部分に大いに魅力を感じてしまいます。

ゆう@147さんからのリクエスト



(画像拡大可)
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Posted at 2009/10/20 18:36:48

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この記事へのコメント

2009年10月20日 20:07
10数年ぶりに見た、思い出した!
WWⅡ末期って、知られていない兵器が多いよね。
コメントへの返答
2009年10月20日 23:37
すっかり忘れてました?

末期は混迷を極めていて、知られていないというより、マニアック過ぎて一般的に知らされていないだけです。(笑)
2009年10月20日 20:41
こんなの始めてみました。
エンジンとかのレイアウトをイラストにして分かりやすくしてください!
コメントへの返答
2009年10月20日 23:39
リクエストに答えてみました。
2009年10月20日 21:18
仕事柄縁遠くないですが、さっぱりわかりません・・・。
コメントへの返答
2009年10月20日 23:40
多少なりとも縁があるんだ?
2009年10月20日 21:35
ドルニエの戦闘機なんて知りませんでした。
多分ドイツ軍機なので日本軍機のように航続距離は長くないんでしょうね。

尾輪ではなく、前輪なので離着陸時の視界は良いでしょうけど、離着陸速度は速そうですね。
液冷エンジンの機体は細くて美しいですね。
コメントへの返答
2009年10月20日 23:46
jin-nさんが知らなかったとは意外です。

ヨーロッパ戦線では航続距離は重視されません。
戦闘時間が問題であって、燃費の悪いMe262などはあっという間にガス欠です。

尾輪の3点式は、視界の悪さだけではなくグラウンド・ループもし易いですね。
Do 335の場合、後部プロペラのお陰で離陸時に急激な引き起こしはできません。
2009年10月20日 22:18
小学生のころから大戦時の軍艦、航空機ヲタだったのでDo335の写真やスペックは承知してましたが、飛んでいる映像は初めて。感動です。

ドイツの航空機メーカーはこういう奇形というか変なのよく造りますよね。

ワタシは戦争末期のドイツ機ならFw190D~Ta152が好き。

そういえば米軍のP39はコクピット後方にエンジンがあり延長軸で前端のプロペラを回す方式ですね。

あと「震電」の搭乗員脱出時安全策はプロペラを爆破するだけだったようです。
コメントへの返答
2009年10月21日 0:06
JACKさんもその方面でしたか…。

このビデオテープは、1990年か91年に入手したと思います。
当時、航空雑誌に掲載していた西山洋書の広告で存在を知り、速攻で買いました。
ただでさえレアな機体の映像ですから、知らない人も多いかと思いますが、現在では動画サイトにアップされていることが多いですね。

不可能を可能にするという設計者の本質としては国による違いは無いと思いますが、軍部が、管理と意見を最優先された日本とは違って、ある程度設計者に自由があったからこそ、特異なアイデアを実現できたのだと思います。

空冷エンジンより液冷エンジン搭載機のほうが好きです。
Ta152Hのあの性能には驚愕しますが、フォッケウルフ社が軍本部から冷遇されていたことはちょっと残念に思います。

延長軸を採用した機種もそこそこ有りますが、設計的な問題より加工技術があってこそ成功しますね。
2009年10月20日 22:25
紙飛行機の原理からすると
前と後ろに重石があるわけだから
飛ぶんかいな?って
初めてみたとき(中1の時)思いました(笑)
性能は優秀だったようですよね。
横方向のヨーが押さえられるので
旋回運動のバランスも
よかったんだろうと思います。

ほんと当時の日本のニッケル不足には
泣かされます・・・
延長軸どころかクランクシャフトが折れるなんて
日常茶飯事でしたようですし
(特に液冷だと長くなるのでさらに・・・)

やっぱ高出力エンジンはウラヤマシイ
コメントへの返答
2009年10月22日 20:14
”重石”が増えても、速度低下や運動性が悪くなるだけで飛びます!(笑)

プッシュ-プル方式はバランス的にも優れているのですが、当時の技術では困難でした。

日本も”誉”になってから、ようやく2,000馬力級を獲得しましたが、既に劣勢状態では…。

歳の割には、ニッケル不足とか良く知ってるねぇ。
2009年10月20日 23:51
子供の頃、Fw190やMe109のソフトグライダーを作ったのを思い出してます。
コメントへの返答
2009年10月22日 20:14
現代の子供は知らないんだろうなぁ…。
2009年10月21日 0:01
おお!わざわざありがとうございます!
コメントへの返答
2009年10月22日 20:15
いえいえ、ネットは楽ですね。
スグ画像が出てきます。(汗)
2009年10月21日 8:00
それでこそmaikoはんのブログ^^
コメントへの返答
2009年10月22日 20:19
そっちかいな!?

ちなみに、中身読んだか??
2009年10月21日 21:31
そっち方面はさっぱりなのですが、説明が分かりやすくて素晴らしいです(ディスカバリーTV見てるみたい(^^;)

しっかり読んだりすると興味出てきちゃうので、ほどほどにしときますw
コメントへの返答
2009年10月22日 20:20
いえいえ、しっかり読んで興味を持って話し合いましょうよ。(笑)
2009年10月22日 11:20
ウハッ!コレは見てみたい~
DVD化終わったら見せてぇ♪
コメントへの返答
2009年10月22日 23:09
なにか折りに持って行きます。
2009年10月24日 2:24
あっ。
保存したいビデオはDVDに落としたんだけど、一枚だけプロテクトがかかっててできない。
ってかこのテープ1本のせいでビデオデッキが捨てられない・・・

なんとかして!
コメントへの返答
2009年10月25日 17:46
昔、よくプロテクト解除機というのがあったでしょ?
アナログのプロテクト外しはそういうの使わないとダメなんじゃない?

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「【加計学園問題の国会参考人招致】青山氏の本質をつく質疑はおろか、加戸前愛媛県知事の四国、ひいては日本を憂う熱い発言を一切無視するTV報道は、正に『報道しない自由』で国民を印象操作するマスゴミの典型である。」
何シテル?   07/11 14:06
2005年6月からALFA GT 3.2V6に乗り換えました。 日本全国徘徊中~。 目標、全都道府県制覇!!
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