先日、
この方から、ビデオテープデッキを借りてきました。
ただ借りに行っただけのつもりが、その晩は急遽カレーオフに突入してしまいましたが…。
5~6年前にデッキとテープを処分しましたが、中には捨てるには忍びないものもあって少数保管していました。
しかし、テープではカビが生えたり耐久性は低いので、テープが完全に劣化する前にPCデータ化&DVD化したかったのです。
以前からやりたいと思っていたことが、ようやく実現です。
その代表がこれ。
IHF(INTERNATIONAL HISTORIC FILMS)社の「ドルニエ Do 335」のビデオです。
現在ではDVD版でのみ存在しているようですが、さりとて簡単に入手できないのでこれをキャプチャーしてDVD化しようというわけなのです。
【ドルニエ Do 335】
第二次大戦末期に登場した、双発串型配列による大型の重戦闘機で、コックピットを挟んで前後にエンジンをタンデムに配置した奇異な機体。
第二次大戦前の1920年代、ドルニエ社では『Do J』と『Do X』という飛行艇で2基のエンジンを一つのナセルにタンデム配置した機体を製造しており、1937年に串型配列機の特許を取得して以来研究が続けられていました。
(双発のDo Jは大成功するも、12基のエンジンを有する大型機であるDo Xは3機が生産)
1942年5月、ドイツ空軍から出された800km/hを有する単座高速爆撃機の要求に対し、アラド社とユンカース社(ルフトハンザ航空の前身)を押え、ドルニエ社の双発串型配列の設計案が採用されて正式にDo 335として契約されます。
しかし、その年の秋には単座高速爆撃機の要求が取り消され、そのレイアウトを受け継いだ多目的戦闘機として開発は継続されました。
そして、1943年10月26日、液冷倒立V型12気筒のダイムラー・ベンツDB603A-1を2基積んだプロトタイプのDo 335 V-1が初飛行に成功します。
初飛行での速度性能が要求値(600km/h)に及ばなかったものの、運動性、安定性に優れた機体であったことからプロトタイプの追加生産と先行量産を命じられました。
1944年5月23日、ヒトラーから最優先量産機に指定されますが、既にその年の3月に生産ラインであったマイツェル工場が連合軍の爆撃を受けて壊滅して生産が困難になっており、He219夜間迎撃戦闘機の生産をストップさせてその生産ラインを使って9月に数機が完成しました。
完成機は、試験飛行団で実用テストを行い始めるも、劣勢に追い立てられては量産もままならず、翌1945年の終戦までに完成したのは35機(一説には37機とも)、製造中の機体を含めても50機未満しか確認されていません。
そんな完成機数が少ないDo335のプロトタイプのDo335 V-1(コードNo:CP+UA)の貴重な飛行映像が残っており、これもまた”ルフトヴァッフェの遺産”とも言えるでしょう。
キャプチャーしてPCデータ化したのでアップしてみました。
(YouTubeでも同じ様なのがありますが)
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【Do 335のタイプ】
Do 335 V-1~14:各種プロトタイプ
Do 335 A-0:DB603A-2を搭載した戦闘爆撃機型の先行量産機
Do 335 A-1:A-1の戦闘機型量産機
Do 335 A-4:偵察機
Do 335 A-6:複座の夜間戦闘機
Do 335 A-10:複座の練習機
Do 335 A-12:複座の練習戦闘爆撃機
Do 335 B:両翼に大型フェアリング付き30mm機関砲を各1門追加、前脚の強化、新型キャノピー、胴体下部に増加燃料タンクなどの装備追加
Do335 B-6:複座夜戦型、FuG220ネプツーン・レーダー搭載(計画のみ)

Do 335 V-11:A-10型のプロトタイプ)

Do 335 V-13:B型のプロトタイプ)
エンジンの双発串型配列は、一般的なエンジンを両翼に配置した場合より断面積が減り、空気抵抗も減らせるので双発機でありながら高速化が望めます。
また、重いエンジンが翼に無いために翼に掛かる荷重モーメントが減り、通常の双発機より運動性の向上が得られます。
また、エンジンが機軸上にあるために片肺時でも安定性を失わないなど、有利な点は多いのです。
しかし、後側のエンジンはプロペラまで延長軸を使用せねばならないなど、機構上の複雑さゆえに技術的にも難しく、実用化はこのDo 335だけです。
日本でも、雷電がエンジンとプロペラとを延長軸で繋げていることによる振動で梃子摺っており、その何倍もの長さの延長軸を使用していることには驚きです。
(当時の日本では、機械加工精度はドイツとは比較にならないくらい悪く、慢性ニッケル不足で材質的に問題有り)
尚、緊急時のパイロット脱出の際には圧搾空気を利用した射出シートが採用されており、安全のために脱出と同時に火薬で垂直尾翼と後部プロペラをパージする機能を有していました。
性能は、排気量44,500cc、最高出力1,750 PS (1,287 kW, 1,726 hp)のDB603A-2×2基で、MW 50水メタノール噴射により6,500mで763km/hの最大速度を誇り、14.5分で高度8,000mまで上昇可能。
前後どちらかのエンジン1基だけ(片肺状態)でも563km/hとのこと。
(米軍のテスト結果?)
固定武装は、プロペラ同軸内の30mm MK 103機関砲と機首上部の15mm MG151機関銃2門。
B型に於いては、更に両翼にMK 103機関砲をそれぞれ1門です。
第二次大戦中のドイツでは、末期ともなると数々の新兵器が研究・開発・試作されました。
ジェット(機・エンジン)、ロケット(機・エンジン)、レーダーや後退(前進)翼、等など、数多くの技術やアイデアが戦後の戦勝国に渡っていきました。
Do 335で採用されている射出シートも現代では当たり前ですし、誘導ミサイルにしても有線の空対地ミサイルも実用化されていて、更にテレビ誘導方式までも研究されていました。
戦後、米国とソ連がドイツの技術とアイデアを奪い合って技術進歩しましたから、一般的に「ドイツの技術は世界一ィ!」と呼ばれる所以ですが。
【現存機】
日本も同様ですが、敗戦国の武器は廃棄処分が当然です。
しかし、敵国の武器を調査することは重要であり、Do 335も連合軍の各国で捕獲されました。
ヨーロッパでの終戦前後に、英国とフランスが完成機を捕獲しましたが、とりわけ米国はその多くの完成機とパーツを捕獲しました。
米国は、その内の1機のDo 335A-0(機体No.240102)を米国本土でテストをしています。
写真の捕獲されたこの機体は、1945年4月16日にドルニエ社のRechlin-Oberpfaffenhofen工場で製造された機体で、6日後の4月22日に連合軍によって捕獲されました。
ミュンヘン近郊から、護衛として2機のP-51を伴ってフランスのシェルブールまで移送されます。
英国海軍の船で他の捕獲したドイツ機と一緒に米国本土に送られ、米国海軍によって1945年~1948年までテストされました。
テスト終了後、1961年にスミソニアン国立航空博物館に寄付されましたが、1974年までNASノーフォークに保存され、1975年にドルニエ社(戦後も存続)に戻されて復元されました。
1976年~1985年までドイツ博物館に展示された後、現在はスミソニアン航空宇宙博物館に展示されています。
(復元完了直後)
Do 335の実戦参加の記録はありませんが、終戦間際の1945年4月にイギリス空軍の第122飛行団第3飛行隊のホーカー テンペストが単独飛行中のDo 335と遭遇。
進路妨害を試みるも700km/h誇るテンペストで追い付けず、射撃照準位置にさえ入ることができなっかたという記録が残るのみです。
ルフトヴァッフェ末期に登場したTa 152Hなどの新型機や先行量産機による逸話は数多く、敗戦国であるが故にドイツ側の記録が残っておらず、不明瞭で謎な部分に大いに魅力を感じてしまいます。
ゆう@147さんからのリクエスト

(画像拡大可)