【6月4日(木)】
早朝に昨晩からの雨は止んでいる模様。
昨晩の雨は、利尻島ではそうでもなかったものの、札幌市では交通がマヒするような大雨だった。
天気予報では雨/曇りということでのんびりしようかと思っていたところ、部屋からは利尻山がシルエットのように見えたことから宿を5時前にチェックアウトした。
利尻山がよく見えるという沓形岬公園に行ってみる。
曇り空とまだ暗い稜線のコントラストがきれいだ。
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これなら利尻山も良く見えるだろうと思い、沼浦展望台に向かってみた。
南側の直線部分の道からも利尻山はその形がハッキリとしていて期待が持てる。
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しかし、近付くにつれ裾野にあるガスが徐々に山を覆い始め、沼浦展望台では利尻山が完全に隠れてしまっていた。
沓形方向に戻るとやはり見えてくるため、沼浦展望台のある南側にのみガスの塊が停滞しているようだ。
そうこうしているうちにまた雨天となり、算段していた撮影スポットを断念し利尻空港に立寄ってから鴛泊フェリーターミナルに向かうことにした。
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8時前に鴛泊港に到着。
船は9:25の出港で発券が8:25なのでターミナル内で待機。
発券後、前日に行った「さとう食堂」の隣りにある「磯焼亭」で朝食を済まそうと思っていたが開かず、仕方なくまた「さとう食堂」で食べることに。
“利尻海鮮らーめん(1,300円)”を注文。
ウニを除いた利尻島で採れる海産物を全て盛り込んだラーメンで、“うにらーめん”とスープは同じだ。
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9:25に鴛泊港を出航し、礼文島へ向かった。
海は前日より波が高く上下の揺れが大きかったが、礼文島の香深港までの所要時間は30分と短い。
※4~5m自動車航送費:6,040円+480円(燃油サーチャージ)=6,520円→6,200円(ネット予約:-5%割引)
10:05に礼文島香深港に着岸。
残念ながら、利尻島同様に礼文島でも雨だった。
礼文島は、緯度が高く海抜0m地帯から多くの高山植物が自生し、特に6月頃からは花が咲き乱れるため「花の浮島」とも呼ばれている。
車が通行する道は、フェリーが着岸する東側からU字形をした北端までで、西側には道が無いため周回することはできない。
先ずは、香深フェリーターミナル内にある観光案内所で「
礼文島プレミアム商品券」を2冊購入した。
これは、この春から全国で話題にもなっている国の「消費喚起・生活支援型交付金事業」によるもので、1冊5,000円で6,500円分のお買い物・お食事等(交通・宿泊費は対象外)ができる“島のお買い物券”だ。
販売期間は6月1日からで9月30日まで(使用期間も同じ)で、乗船客のほとんどが購入していた模様。
注:7月を待たずに完売。
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雨天ということで予定を変更し、お土産(うに)確保のために知床地区にある「笹山商店」を探すことにした。
笹山商店の情報は少なく、住所は知床とまでは分かるが番地が分からない。
島内の道は数えられる程度で、周囲を見ながら知床地区に入ったものの見当たらず、島の幹線道ともいえる道道40号の終点に着いてしまった。
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一度、香深に戻り、具体的な場所と外観を港での道路工事関係者に教えてもらうことができ、再度知床地区に向かうと笹山商店を発見。
それは、店ではなく個人宅だった。
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“商店”という名称ではあるが、実は海産物の加工問屋であり店舗販売はしていない。
恐る恐る呼び鈴を鳴らすと返事があり、生うに製品の小売が可能ということで一安心…。
香深港で2~3軒の土産店を覘いた時にエゾバフンウニを見なかったことから聞いてみたところ、漁解禁後は天候が不順で漁に出られずあまり採れていないという。
キタムラサキウニは礼文島・利尻島でも6月一日(いっぴ)が漁解禁だが、エゾバフンウニは利尻島が6月15日で礼文島はキタムラサキウニと同じ6月一日だ。
どうせ生うに製品は持ち帰りは出来なくて宅配発送になるので、入手次第ということでエゾバフンウニの「生うに塩水パック」100g×2と「一汐うに(粒うに)」×2本を発注。
もちろん笹山商店でもプレミアム商品券が使え、一瞬にして2冊(13,000円分)が消えた。(汗)
とにかく、エゾバフンウニはキタムラサキウニより3割は高価だ。
帰宅後、注文した生うに製品が到着。
ちなみに、何故“笹山商店なのか?”というと、礼文島で最高だという評判があり、礼文島では取り扱わず札幌などに出荷されるのだという。
特にウニについては、良いものだけを採れた時にしか加工しないという職人気質があるのだそうだ。
見ても分かるが、全ての身の部分は崩れていない特上品だ。
他所でも身が崩れているものが混ざっているものと崩れていないものだけの商品とは区別されるのが普通である。
直接比較してはいないが、自宅で食べたそれらは確かに美味かった。
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生うに製品を発注後、島の北側にあるレブンアツモリソウ群生地へ向かう。
向かう途中から雨が止んだのは幸いだ。
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レブンアツモリソウは礼文島にのみ生息する多年草の野生のランで、礼文島特産のアツモリソウの変種。
草丈は最成長時3~40cm程度で、大きな袋状の唇弁に広卵形で先は短く尖る側花弁を持つ、極薄いクリーム色をした白い花を5月中旬~6月中旬に咲かせる。
かつては島内で咲き乱れていたが、明治時代に起きた大規模な山火事で多くの森林と共に大部分が焼失。
僅かに残った株も、その後は珍しさから盗掘(暖地での栽培は極めて難い)によって更に激減し、1994年に「特定国内希少野生動植物種」(種の保存法)に指定された。
現在は、唯一この群生地でしか自生しておらず、保護区域として立ち入りが禁止となっているが、開花期のみ開放されて花を観察することができる。
また、島内の高山植物園で培養研究がされていて、園内にある株は開花を調整して8月くらいまで花を見ることが可能だ。
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実は今回の北海道旅行の最大の目的は、この希少な花を見るため。
例年、開花時期に準じた群生地の開放は5月下旬から6月20日前後となっていて、6月10日以降は観光客も増える傾向にあるという。
また、毎年行われているフラワーマラソン大会が6日(土)に行われ、交通規制もありそうなためにその前に訪問することにした。
しかし、今年は例年より10日ほど早く開花が始まり群生地の開放日も5月16日と早く、この6月初めには見頃をやや過ぎた状態で花の多くに傷みが見られた。
それでも、何とか傷んでいないもの傷みの少ないものを選んで撮影することができた。
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花の傷みが多い一群
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上部側花弁に傷みが見られる個体
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時刻は13時となり、昼食は金田ノ岬にある船泊漁協が経営する「あとい食堂」へ。
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礼文島は利尻島同様に良質の昆布が獲れ、美味い昆布には美味いウニが生息する。
もちろん、“うに丼(キタムラサキウニ)”で決まり!
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あとい食堂の“うに丼”は後乗せで、自分でご飯に乗せる方式。
蒸しボタンエビも付いてくる。
なんとなく利尻島で食べた2品より美味しく感じるのは気のせいか?
他に客は居らず、料理長と色々話をしたが、料理長曰く『ウニは獲った後に殻割りするまでの間の保管次第で味も変わってしまう』のだという。
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食後は、礼文空港に行ってみた。
礼文空港は、1978年6月に開港しエアー北海道が自治体の支援を受けながら運航していたが、平均搭乗率が非常に低く2003年3月をもって運航廃止となる。
その後はプライベートや自衛隊(島内に自衛隊駐屯)、緊急輸送などに使われたが、財政難により維持は困難であるということで2009年4月をもって使用休止となった。
休止期間は今年2015年3月31日までとされていたが、更に6年が延長されて2021年までと決まったものの、大幅な観光客増加は見込めないだろうし、競合するフェリーとは圧倒的に費用が異なることから再開は難しく廃港は確実だろう。
ただ、廃港になっても施設の撤去は対費用効果的に考えるとこのまま放置の可能性は高い。
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礼文空港周辺は3方を海に囲まれた丘陵地で、礼文空港線の道道926号は高台に位置するため、眺望が良く路面が海に落ち込むかのようだ。
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しかし、実際には下がっているだけだが…。
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いよいよ、「
江戸屋山道」を走る。
レブンアツモリソウとこの江戸屋山道が一番に期待していた場所だ。
礼文島最北端のスコトン(須古頓)岬に通じ、北西部の丘陵地帯を南北に縫うような道があり、海岸側の道道507号ができるまではシコトントマリ(スコトン岬手前の小さな港)への道だったらしい。
複雑な地形の丘陵地を進むため、撮影スポットとしても魅力的に感じる。
南側の入口は江戸屋の集落、道道507号江戸屋バス停脇から進入すると即上りになる。
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後ろに見えるのはゴロタ岬へ通じる遊歩道。
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上りは続く。
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最高地点付近にて。
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江戸屋山道の最高地点にあるトド島展望台。
背面は丘が続いて360度の眺めはできないもの、非常に眺望が良いく、中央に見える島がトド島だ。
日本の北の果ての島にある“江戸屋”とは、約160年前、間宮林蔵と同時期に加賀の商人(海運業者)銭屋五兵衛がロシアとの密貿易のため、かたわらで江戸仕込みのキンツバ焼きをこの地域で売っていたというのが由来とされている。
(他、諸説有り)
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トド島展望台から北側は下り道だ。
とはいえ、遮蔽物の無い丘の上は常に強い風が吹いている。
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江戸屋山道の北口にあるのはアワビコタン(鮑古丹)の集落。
(アイヌ語:レプ・タ・トマリ)
車の後ろが集落への道だ。
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集落へは急な斜面を降りなければならず、徒歩でしか行かれないという。
老漁師が一人住むアワビコタンだったが、今年、漁師を目指して一人の若者が移住したらしい。
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少し暗くなってきてしまったが、スコトン(須古頓)岬の駐車場に着いた。
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スコトン岬で有名な、最北限のトイレ。
もちろん、記念に用を足した。
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まだ17時だが、空はこのまま暗くなっていくだけだし、何より気温が7~8℃と寒く、風が体感温度を更に下げてくる。
礼文島での宿「
民宿海憧」に向かうことにした。
初めての2食付だ。
部屋でのストーブが有り難い。
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礼文空港と江戸屋山道での夕方や早朝、夜間の撮影に都合が良いため、宿を船泊地区の海憧にしたのたが、翌日も同じ様な天候でなかなか希望通りにはいかないものだ。

※拡大可
(続く…)