
先日、といっても10月上旬だが、家族で北海道旅行にいってきた。
現地ではレンタカーを借りて、道南を中心にロードトリップをしてきたのだが、その時のお供になったのがコイツ。
カローラフィールダー 1.5X 4WD CVT 2016年式
実はこいつにもマニュアル設定があるので、NV200の次の車候補にはこいつとカングー、そしてフォレスターが挙がっていて、MTではないが実際に試乗もちょっとしてみていた。その時の感覚としては、やっぱりトヨタだけあって静かだねぇという印象だけだったが、今回偶然にも北海道旅行にてロングドライブできたので、インプレッションレポートしてみる。
インパネ周りはしっかりきっちり
このあたりはさすがトヨタとしか言いようがない。やっぱり普段一番目にする部分だけに、カローラとはいえ抜かりなくキッチリ作っている。確かにウィンカーレバーだったりメーターフード周りだったりの質感はプラスチック然としていてそれなりだけれど、ここは価格帯を考えたら当然と言える。200万円で買えるワゴンと考えたら、これ以上を望むのは明らかに贅沢だ。
室内空間はやっぱり狭い
これはカングーやNV200、フォレスターなどと比較してしまうので当然とも言えるが、やっぱり室内空間はどうしても狭い。ヒップポイントを下げて頭上高と視界を広げる手段はある意味この手のワゴンではデファクトではあるものの、アイポイントから下方の視界がどうしても狭く感じてしまう。前回の北海道旅行ではワゴンRで1000キロオーバーのトリップだったが、その時にこの窮屈さは感じられなかった。
ただし、これは好みの問題かもしれない。こういうタイトな作りの方が安心する人もいるだろう。
逆にハイエースのようにアイポイントから上の視界が殆どないキャブオーバーに乗ってる人だと気持ち悪い感じはするかもしれない。(私はあの視界がとっても苦手)
いずれにせよ、やや窮屈ではあるものの不安を覚えるほどではなく、運転に支障があるわけでもないので、今回も乗っている間にある程度は慣れたのだが、帰宅後にカングーに乗ってみて「やっぱり!」と思ったことだけは付け加えておく。
高速道路ではかなりノイジー&直進安定性に不安
NV200に乗り慣れてたので、よっぽどのことがなければ驚かないと思っていんだけれど、カローラもやっぱりベースは日本の商用車。一般道では気付けなかったけれど、高速道路に入るとやっぱりロードノイズはかなり拾ってしまうようだ。遮音性能が悪いのか足回りの問題なのかはわからないけれど、「しっかり感」を出すためにやや足回りとステアフィールを固めてしまったためにノイズを拾いやすいのではと考察。
まったく同じ理由でステアリングに遊びがあんまりなく、直進安定性がよろしくない。これはもしかすると4WDであるが故かもしれないけど、ずっとステアリングを握っていないと不安になってしまうのは、ロングトリップでは少しずつストレスが溜まっていくのでちょっとどうかなと思う。高速での不安感はNV200と同程度くらいだろう。
NV200からカングーに乗り換えて、最初に高速道路に乗ったときの衝撃は今でも忘れられない。
これが商用車ベースなのか?と疑いたくなるほどの静かさと、まるで波紋一つない水面をスーッと舐めていくかのような滑らかな走り。これと比べてしまうと、カローラの走りはどうしても見劣りしてしまう。これはどこを柔らかくしてどこを強くするかの考え方の違いで、このあたりにフランス車と日本車の違いがあるのかもしれない。
コーナリングはやや突き上げが強いカンジ
高速道路で見られたフィーリングの差と同様に、コーナーリングのフィールにもかなりの違いがある。ステアが硬いのと同時に足回りも固めていることで、ブレーキング後のステアインでややノーズが抜ける感じがする。プッシュアンダーの可能性もあるが、そんなに飛ばしてるわけではないのでこれがカローラの仕様なのだろう。
そして圧倒的な違いはロールと接地感。おそらくカングーの方が足回りは柔らかいしロールセンターも高いはずなのに、コーナリング中はあきらかにカローラフィールダーのほうがロールしているような印象を受けた。クルマが外に大きく振られて、イン側のタイヤの接地感が薄れる。さっきコーナーの入り口でノーズが抜ける感じがすると書いたけど、コーナーのピークでロールが最大の状態からアクセルを開けていくと抜け感がさらにひどくなる。わかりやすく言えばステアリングが軽くなって一瞬ゾッとしてしまう。FF乗りでそこそこ走りこんでいた人ならわかると思うが、タイヤがタレてきた時のコーナーでクリッピングを超えたあとにラフにアクセルを踏んでしまったときに出るアレだ。
今回、セミウェット路面+スタッドレスという条件があるとはいえ、法定速度+α程度のスピードレンジで発生してしまうのはちょっと残念だ。
総評:700キロ超のロングドライブを終えて
フォローするわけではないが、
カローラは値段を考えたら信じられないほどよく出来ていると言っていい。
普段使いが市街地がほとんどであまり長距離ドライブをしないとか、通勤路に山道がない人にとっては価格とのバランスはうまく取れていると思う。室内の作り込みの高さはドライバーの触覚や視覚という点での満足度を確実に充足してくれる。足グルマとしては逆に良くできすぎているくらいで、この値段でこのクルマを買える日本人は幸せといえるかもしれない。
ただ、旅行が好きでよく長距離ドライブするとか、家が山の中にあるとか、直近までスポーツカーに乗っていた人には、多分マッチしない。上に書いたような差は少しずつではあるけれど確実にドライバーや同乗者にストレスとして蓄積されていくからだ。もし自分が毎日山道を上り下りする通勤をしていたり、週末のたびに観光目的で数百キロ移動するタイプの人間だったとしたら、おそらく私はカローラを選ばないと思う。
今のカローラは自分には合わないということと、カングーは同じ商用車ベースであるはずのカローラを遥かに超えるドライブフィールを持っているということがわかっただけでも、今回のレンタカートリップは十分な価値があった。
補足:乗換え検討中ならレンタカーも借りてみるべき
今回のトリップを通じて強く感じたことだけど、よく乗り換え検討ガイドなんかにも書いてある通り、クルマの買い替えを考えているならレンタカーで候補のクルマを借りて、一泊二日くらいのトリップに出てみるのはとても有効的な方法だと思った。
そのクルマに数時間にわたり閉じ込められる状況は、ロングドライブに出てみないと生み出せない。それにそういった状況をあえて作ることで、ドライバーのみならず同乗者からの視界や圧迫感、着座感などの印象も計測できる。またワインディングロードや市街地、高速道路や路面の悪い農道など様々な状況の道路を連続して走ってみることで、そのクルマのクセや良い点、悪い点などがはっきりと体感できる。
NV200のときはMT車に試乗すらせず決めてしまったし、当然の事ながら長距離も乗っていない。だから自分が耐えられるか耐えられないかの判断をほとんどなにもせずに購入したために、完全に要件アンマッチな状態で数年間を耐え続ける日々だった。カングーの時もMT試乗はしたものの、今回のインプレッションで書いたような「高速道路では水面を舐めるように走れる」だとか「コーナーではロールしているはずなのにそれをドライバーには意識させない」ような感覚は得られないまま購入に至っている。結果的に狙いはドンピシャだったから良かったんだけど、これはただ運が良かっただけだろう。
新車なら200万なり300万なり出すわけだし、中古だってそれなりのものを買ったら100万は軽く超えるハズだから、決して安い買い物じゃない。それに値段よりもこれから先何年にも渡ってそのクルマに乗り続けなければならない時間のことを考えると、レンタカーで1〜2万の出費は出す価値は間違いなくあると思う。
まだカングーを乗り換える予定は当分ないが、次の乗り換え検討の際には絶対にレンタカーを借りてみようと思った。
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日記 | クルマ
Posted at
2016/11/16 21:19:21