フロントハブOH
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
初級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
左右フロントハブにガタが出ました。FCの弱いところですね。
もしかしたらベアリングがダメになっているかもしれなかったので、FCの純正ハブはベアリングにガタが出るとベアリングレースの交換が基本的に不可能なので、ハブごと交換になることも想定して念のため鉄ハブはストックしていましたが、バラして見ると以外と無傷だったのでそのままオーバーホールしました。
ちなみに、この作業はグリスまみれになるので、グリス系の作業をやる用のゴム手袋とその他の作業用の手袋を用意して使い分けてやると手や物が必要以上に汚れずスムーズに作業出来ます。
2
キャリパー裏のボルト2本とダンパーにホースを固定している金具外して、キャリパーを外します。
外したキャリパーは針金ハンガーを良い感じにしてぶら下げておきました。
3
本当はローターを外してやりたかったんですがボルトが回らなくて外れなかったのでそのままローターごと外してやりました。
あまり触らないようにしてましたが、作業後にローターはパーツクリーナーでしっかり清掃しました。
まずハブのキャップを外します。
薄刃のマイナスとかでうまい事煽ったりすれば取れます。
外すと汚ないグリスと割りピンがいるのでそれを外して、ナットのカバー的なのも外します。
そして、その中のナットを外します。自分のは指で回りました。コレがガタの原因です。
ナットを外すとハブが外れます。
4
ワッシャーみたいなのとアウターベアリングを外して、裏返してオイルシールをマイナスかなんかで煽って外して、インナーベアリングを摘出します。砂とか噛まないように注意。
スピンドルやハブの中に溜まってる古いグリスからベアリング類のグリスまで綺麗に清掃します。
パーツクリーナーと紙ウエスを酷使しました。パーツクリーナーは2本くらい買っておいた方がイイかも。
画像は清掃後のハブ内。個人的にこういう綺麗な金属の塊がすごく好きです。
FC純正ハブはアルミ製なので軽いけどあまり強くないと言われていますが、これはレースも生きているのでまだまだ使えそうです。メンテナンスさえマメに行えば長持ちします。コレがエコってもんですね。
5
ベアリングも綺麗に。
ハブの中ではこういう感じで転がってるんですね。
6
あとはベアリングはじめハブ内やスピンドルにグリスをたっぷり塗りたくって元通りに組んでいきます。キャップの中にも塗っておきました。
グリスはベアリングの中までしっかり行き渡るように転がしながら擦り込むようにグリスを塗布します。
ここでグリスをケチるとベアリングの焼き付きに繋がり、あとあとハブごとポチる事になるので、ケチらずしっかりと塗布します。
使ったグリスは普通にそこらへんに売ってるリチウムグリス。極端な使い方をしているわけではないのでとりあえずコレでOKかと思います。
7
そしてこのハブOHで最も重要かつ難しいとされるプリロード調整。ようはナットの締め付け具合です。
ちなみにこのナットのサイズは23mmなので、良くあるタイヤ交換用のクロスレンチが使えます。
FCのハブはテーパーニードルベアリングと言われる種類のベアリングが使われていて、締めすぎると抵抗が大きくなりベアリングやレース、ハブが壊れ、緩すぎるとガタが出ます。
逆に言うとベアリングはテーパー形状になっているので、ナットを締めまくればガタは出ませんが、締めれば締めるだけ荷重が大きくなり、ベアリングは押し潰されて抵抗が大きくなり、やがてベアリングが壊れます。なので締めれば締めるだけナットは締まります。なので締まるだけ締めれば良いってものでも無いんですね。
故に締めすぎずにガタも出ないドンピシャの締め付けが必要です。ここがプリロード調整は職人技と言われるミソですね。
これから書くのはあくまで自分が個人的に調べてやった方法です。100%正解かどうかはわからないので参考程度に。
まず、ナットを常識的な力である程度締まらなくなるくらいまで締めます。やりすぎると壊れるので程々の力で。
そしてハブをグルグル回します。ハンマーの柄をハブボルトに噛ませて回すと楽です。この作業は一度外したベアリングをハブやスピンドルに馴染ませる意味があります。
4〜50回転くらい回したら一度ナットを緩めて、再度同じように締め付けてまたグルグル回します。これを4〜5セットくらいやれば大丈夫だと思います。
そしてここからが最も難しい部分です。
一度ナットを緩めて、ナットを工具を使わずに手で締まるところまで軽く締めます。これも常識的な力で。
この状態で、ハブボルトにバネ秤を掛けて引っ張って、ハブの回転抵抗の重さを測ります。バネ秤は出来るだけ回転に対して水平に引っ張って正確な数値を測ります。
自分は0.4kgでした。この回転抵抗はグリスの粘性やハブとの擦り合わせ等の抵抗であって、ナットの締め付けによる抵抗ではありません。
なのでこの数値を基準として、ベアリングに適度な荷重をかけるために規定値に合わせてナットを締める必要があります。
具体的には、この基準となる数値プラス回転抵抗0.6〜1.1kg(規定値)になるようにナットを締めていきます。
つまり自分の場合は、
基準の値0.4kg+規定値の0.6〜1.1kg
なので、直接バネ秤で測定した時の回転抵抗の重さが1.0〜1.5kgになるようにナットをちょっとずつ締めて調整します。
この時にさっきベアリングを馴染ませた時のように締めるたびにグルグル回して馴染ませてから測定した方が良いと思います。コレでまた数値が結構変わるので。
これはかなりシビアなので慎重にちょっとずつ締めては馴染ませて測ってを繰り返すしかありません。
出来たらそのままの状態でタイヤを付けて、ガタを見ます。
ガタも無く、回転抵抗も規定内の数値ならとりあえずOKです。
正直数値と自分の手の感覚を頼るしか無いので本当にシビアです。
FCのこの部分はウイークポイントなだけに、このプリロード設定は定期的にやらないとガタの原因にもなるし、ハブやナックル交換コースになりかねないし、最悪走行中にタイヤ脱落もあり得るので、ガンガン走る人なら尚更、長く乗る為には結構気にしないとなりませんね。
8
あとはナットの緩み止めのカバーみたいなのを付けて、割りピンを入れて無駄な部分を切ってちゃんとカシめて、キャップを付けて、キャリパー類を元通りに組んで、完成です。
キャリパー等の締め付けはしっかりと。
割りピンは直径4mm、長さは40mm以上あれば大丈夫です。ホームセンターや金物屋に売ってるので出来れば再利用は避けた方が良いと思います。
ちなみになんとなくハブキャップを黒く塗りました。ちょっとシュッとしたように思います。
キャップはゴムハンマーみたいなので叩いてはめ込みます。金属製のハンマーで叩くと結構簡単にヘコみます。
作業してみて、乗り心地的にはあまり実感無いけど、ガタも無くなったし、グリスも新しく出来たので気分的に良いですね。
これで車検も通るでしょう。
作業時間は片側にかかった時間です。
最後に、ここに書いてるのはあくまで自分がやった結果なので、必ず正しいとは限りません。あくまで参考程度に。
そしてこの作業は足廻りに関係する重要な部分の整備です。特にプリロード調整はかなりシビアで難しい部分なので、正直完全な素人の方には厳しいし危ないかと思います。自信が無い方はまず信用出来るショップに頼むなり教えて貰うなりした方が良いと思います。もし自分でやる方は自己責任でお願いします。
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