
三菱案件~!
初代ランエボのECUです。
電解コンデンサが激しく発火した基板では、その素材であるFRPが深部まで炭化してしまいます。
その炭化物が導電性を持っているため、もしもそこに無理やり回路を再構成するとショートを起こし、
再度発火してしまう原因となります。
特にこのような両面基板では表側と裏側とを繋ぐ配線がその内部を行き来しているので、
カーボンにスルーホールを埋め込むようなことはナンセンスです。
弊事業所ではこのようなものでも修理可能です!
この例では、炭化した部分を全て削り取り、別の基板を継ぎ足すことで修復しています。
継ぎ足す小片はパターンまで含めてモデリングマシンで作っても良いのですが、
そこは手間数や時間との兼ね合いで、フリーハンドによる作業を施しています。
電解コンデンサについては、発火まではいかなくとも液漏れは多く見られる事例で、
修理においてはこれへの対処が主な作業となります。
電解コンデンサはその構造上、他の電子部品に比べて寿命が短く、
各種特性の劣化や液漏れによる回路基板の腐蝕などがしばしば発生することは
よく知られた問題です。
その中でも、1988年から2000年にかけて各メーカで製造された電解コンデンサは、
内部の電解液に「第四級アンモニウム塩」と呼ばれる物質が使用されているため、
特に液漏れによる問題を生じやすいものとなっています。
弊事業所では昨年の春からこれまでにおよそ200件のECUの修理を手掛けましたが、
まさに上記の時代のECUは、電子制御の黎明期ともいえる1980年代前半のものと比べて
明らかに新しい時代のものであるにも関わらず、
電解コンデンサの液漏れによるトラブル事例が圧倒的に多く見受けられます。
そのようなわけで、トヨタでいえばハチロクや我らがセリカXXなどのECUでは、
立派に古いにも関わらず液漏れの事例を見たことがありません。
その一方で、MR2(SW20)、スープラ(JZA70/80)、マークII(JZX90/100)三兄弟あたりは
お漏らしで大変なことになっています。
ハイエース(KZH100G)もヤバいです。微細な信号線の密集した箇所が腐ります。
その他クラウンやセンチュリーなど高級車であっても、該当の年式のものは例に漏れません。
液は漏れていますが。
クラウン(JZS130)
ホンダではビート、シビック(EG6)、三菱ではGTO、ランエボ(CD9A)あたりがド定番です。
日産は不思議なもので、該当する年式のものでも液漏れの事例をあまり見かけません。
どの自動車メーカのECUでも、電解コンデンサのメーカは日本ケミコン、ニチコン、
松下が主流で、たまにルビコンやマルコンを見かけるくらいです。
電解コンデンサの潜在的な良否はあくまで年式の違いであって、
そのメーカによる違いというわけではなさそうなのですが...。
自動車メーカでもコンデンサメーカでもなくECUのメーカに着目すると、
トヨタはデンソー、ホンダは電子技研、三菱は三菱電機、日産は日立です。
日立が電解コンデンサに負荷をかけないような回路設計が上手い、ということなのでしょうか?
マツダやスバルも予防整備程度に過去に数件お受けしたくらいで、液漏れはありませんでした。
スズキは割と頻繁に手掛けますが、電解コンデンサの液漏れに関して言えばやはり例がありません。
該当年式のECUのメーカについては、スバルはユニシアジェックス、
マツダとスズキはトヨタと同じデンソーなのですよね...。
謎が謎を呼ぶ!
...謎の話ではなく!
余所で見放されたような修理案件でも、ぜひ一度弊事業所にご相談ください。
国内では簡単に手に入らない半導体部品の取り寄せにもご対応可能です。
もっとも、ソフトウェアのトラブルや、ハードウェアでも
最近の日立製ECUのようなものではご対応不可となってしまいますが、
ネオヒストリックカー世代のものならお任せください(≧ω≦)
※最近の日立製ECU
スズキ ジムニー(JB23W)
フィアット グランデプント