目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
6時間以内 |
1
4117km
前回、オーバーホールしたキャブを取り付けて油面測定しましたがあまり芳しくなかった原因について考えてみましたが、フロートの浮力が狂っているかニードルバルブに問題があるのではないか疑い始めました。
四基のキャブの比較的マシなパーツで組んだとはいえ、それらがいつ組みつけられたパーツか分かりません。ひょっとしたら製造当時のものかもしれません。
特に気になっていたのがニードルバルブの段差とフロートリップの窪みです。
これらは変化した油面を調整する度に接触を繰り返し接点が抉れてゆきます。
どちらも状態が比較的良好な物ではセッティングが狂うほどの影響はなさそうですが、オーバーホールの本来の目的である初期化を考えると特にセッティングに大きく影響がでるパーツの中古使用は避けたいところです。
そこでダメ元でメーカー純正パーツを取り寄せてみることにしました。
とはいえ、アプリリアから取るには平行輸入車はNGだし車体番号を申告して取り寄せて貰ってもメーカー欠品になっている可能性も高いので、幸いにもエンジン供給元のスズキのRVGガンマのものが流用できるのですから、今回もガンマ用パーツを取り寄せてみます。
2
パーツリストと品番が変わっているものもいくつかありましたが、驚いたことに注文を掛けた全てのパーツは出ました。
唯一、ニードルジェットだけがアプリリアRS250と同じ番手がリストで見当たらなかった事から注文しませんでしたが、調べて貰えば出てくるかもしれません。
今回注文したのは、
13672-12C00 ガスケット、フロートチャンバー @2 420円 840円
13250-12C00 フロート @2 2152円 4304円
13370-22D00 バルブアッシ、ニードル @2 2782円 5564円
13374-35C00 Oリング @2 178円 356円
13383-22D20 ニードル、ジェット @2 945円 2890円
02112-0412A スクリュ @12 52円 624円
13551-12C00 バルブ、ピストン、CA:1.5 @2 5952円 11864円
13693-36500 プレート @2 168円 336円
13693-30010 プレート @2 168円 336円
13278-02340 Oリング @2 105円 210円
13671-12C00 クリップ @4 73円 292円
で主要なパーツが揃いました。
ひょっとしたらキャブレター本体も出るかもしれませんがジェットの番手が違うので今回は中のみ入れ替えます。
3
ジェットニードルはスロットルワイヤーによってスライドバルブとともに上下する事で吸気流速に適したガソリンが穴から吸いだされるようにテーパーが調整されており、組み付けに問題があったりするとニードルジェットと擦れて痩せていき、徐々にセッティングが狂ってゆきます。
見たところ、車体に組みつけられていたものと今回取り寄せたものとで目だった差異は認められませんでしたが対策品で素材などが変わっている事もありえますので入れ替えていきます。
4
スライドバルブはキャブと接する箇所が若干削れて塗装もくたびれていました。
このバルブが磨耗しているという事は受け側のキャブレター本体も磨耗しているという事になります。
磨耗限界がどれくらいか分かりませんが、ココにガタが生じると上記のジェットニードルがニードルジェットの穴と触れるようになってしまい、セッティングを狂わせる事になります。
取り寄せたものと番手の刻印が上下逆さまになっていますがカットアウェイの形状、厚みなど差異はありませんでした。
5
ニードルバルブはバルブシートなどとセットになっています。
バルブとシートが当たる箇所に僅かにリング状に凹みが出来始めていますが、まだセッティングを狂わせるほどではないようです。
ただし放置しても悪くなる一方ですのでこれも交換します。
バルブシート上面には番手(恐らくは口径)を表すと思われる2.5という刻印がありますが、SMやパーツリストで特に指定もない事から一種類しかないのかもしれません。
(追記、1.7という番手も存在するようです)
ただし今回取り寄せたものはバルブシートのホールが面取りしてありました。
流入抵抗を減らしてスムースにガソリンを送り込むためでしょう。
6
ガスケットは今回、フロートチャンバーの分しか注文しませんでした。
今まで組みつけてあるものも変形や変質は少ないように思いましたが新品と比べるとやはり弾力が全然違います。
縮む事を見越してか、新品はやや大きく作られているので、はみ出さないように注意して組み付けます。
キャブのフロートチャンバーやトップのフタを留めているネジも今回新品と交換です。
何度も組みつけられたネジ、ボルトではネジ山が変形していたりする事もあり、トルク管理の観点からも新品との交換が望ましいです。
7
組み上げたキャブを車体に取り付けて油面を確認します。
左側はフロートレベル9mmで油面7mmと優秀でした。
右側は水平を確認するのが難しいですが油面9~10mmくらいで規定値よりちょっと低いのですが、まぁ高回転でガス欠気味になるくらいかな、という事で今回はそのまま組み付ける事にしました。
8
外して磨いておいたソレノイドやステーも組みつけていきます。
各ワイヤーや配管をうまく通すために何回かバラしましたが元通り収まりました。
普段清掃できない箇所も綺麗になり、輝きを増しました。
あとは始動テストです。
余計なトラブルを排除するためにプラグを新品に交換します。
ガソリンタンクのコックを開き、ガソリンが落下したら漏洩がない事を確認してイングニッションキーをオン、キックしますが反応がありません。
組み付けに失敗したのかカブらせたのかとプラグを確認すると左バンクは被っており、右バンクはガソリンが来ていませんでした。
カブったプラグを洗浄して、ちょっと思案してからチョークを引いてキックすると火が入りました。
アイドリングが急上昇したのでタンクを降ろしてエアスクリューを調整、再びトライすると1500rpm付近で安定してアイドリングしています。
感激の瞬間です。
しかしスロットルを捻ると片肺の時のように2000rpmに届かずにエンストしてしまいました。
あまりに力強くアイドリングしていたので片肺だとは気付きませんでしたが、症状からすると片方が燃焼していません。
右バンクが若干オーバーフローしているようです。やはり油面調整がマズいのか。
試しにチョークレバーを引くとすぐさま200rpmほど上昇します。
これはキャブオーバーホール前には無かった事です。
やはりこれまでプランジャーガイドが破損していたために空燃比が適正でなかったのかもしれません。
この状態で少し暖機してやると、スロットルに反応して吹け上がるようになりました。
ここで日没時間切れ。
フロントフォークに問題があるため、試走はしませんでした。
今回、ガソリンホースを配管するにあたりクイックガスジョイントを入れてみました。
これは配管の途中に噛ませてやると分離、結合がワンタッチできるという優れモノですが、いかんせん樹脂製のため、耐久性には疑問が残ります。
誤動作で外れてしまうという事はないと思いますが走行中に外れたり、しっかりはまっていないでガソリンが漏れ出したら、たいへん危険な事になります。
ここらへんは以前の乗っていたDUCATIの996などはガソリンタンクにホースをワンタッチで差し込むジョイントになっていたし、サイドカウルもクイックリリースファスナーで工具なしで簡単に取り外せました。
シートカウルもキーを開ければ片方がヒンジになっていて開閉できたりと、とにかく整備性が抜群に良く、走りや音以外にも感激したのですが、市販車にそこまで求めるのはやはり酷なのかもしれません。
クイックガスジョイントに余計な力がかからないようにL字ジョイントなどで配管経路を見直す必要がありそうです。
[PR]Yahoo!ショッピング
[PR]Yahoo!オークション
関連整備ピックアップ
関連リンク