プリウスのバッテリー制御について書きます。プリウスの燃費のいい要因の1つとして回生ブレーキがあることはご存じだと思います。
通常の車ではブレーキング時に摩擦熱として排出されてしまうエネルギーを、プリウスでは回生ブレーキシステムにより、電力としてバッテリーに蓄積することができます。本来捨ててしまうエネルギーを動力として再利用できるためにハイブリッド車は燃費がいいのです。
少々乱暴な例えですが、プリウスはブレーキを踏むたびに、ガソリンが湧き出してくるようなシステムが搭載されていると考えてもいいかもしれません。
しかしバッテリーに溜められるエネルギーには限りがありますので、バッテリー残量が一定レベルに達してしまうと、いくらブレーキを踏んでも電力が回収できない状態になってしまいます。この状態を回生失効というそうですが、プリウスはさほどバッテリー容量が大きくないため、長い峠の下り坂では回生失効という状態がしばしば発生します。
前置きが少々長くなりましたが、バイクで楽しく走る予定であった峠道を、図らずもプリウスで走ることになったことは先日のブログに書かせていただいた通りです。
峠の下り道で、典型的な回生失効とその後の不思議なバッテリー制御が記録できましたのでご紹介いたします。
まずは回生失効発生前のバッテリー残量です。これは峠の頂上付近で撮影した写真ですが、頂上到達時点ではバッテリー残量はできるだけ減らしておくのが低燃費走行のコツです。これから下り局面に入るので、バッテリーは空っぽにしておくほうが回収できるエネルギーが多くなるためです。

写真の左の方の電池の形の青色のアイコンがバッテリー残量🔋を示していますが、この写真では3セグメントのバッテリー残量となっております。この時点の燃費は23.2km/lです。
次の写真は、回生ブレーキによりバッテリー🔋が満充電となった状態の写真です。

スピードメーターの下に走行距離(41.4km)が表示されていますが、先ほどの峠の頂上の写真からわずか2.3kmの間に回生ブレーキにより満充電🔋に達しました。
まだまだ下り坂は続きますが、これ以上は電力は回収できませんので、今後は回生失効状態が続きます。この状態になると電力を溜められないばかりか、エンジンが頻繁に回り出し、せっかく溜めた電力を放出するような制御がされはじめます💦バッテリーを保護するための制御のようですが、燃費のことを考えると何とも微妙な気持ちになってしまいます。
続いて回生失効状態で走り続けた結果、バッテリーレベルが2セグメントまで減ってしまった状態の写真です。

トリップメーターは50.9kmを示していますので、バッテリーが満充電となった2枚目の写真から9.5km走行しております。距離はそこそこ走っていますが、ずっと下り坂のため、本来ならバッテリーにはほとんど負荷がかからない状態のはずです。
それにも関わらずバッテリーレベルが満タン状態から、ほぼ空っぽである2セグメントまで減ってしまっています。これは一旦回生失効に陥るとその後は、積極的にバッテリーレベルを減らすという制御がされているためだと思います。長距離の下り峠ではよく見られる制御です。
また、下り坂が続いたにも関わらず、2枚目の写真と比べ燃費は3.6km/lしか伸びておりません。この事から一旦回生失効状態に陥ってしまうと、非常に非効率な状態が続いてしまうことが分かります。エンジンの空回りとバッテリー放電のダブルで非効率な状態です。
適度なアップダウンはプリウスにとって得意な領域ですが、急こう配が長距離にわたって続く峠道などは、どうしても効率が悪くなってしまいます。上り坂が非効率であるのは当然としても、(回生失効に陥ると)下り坂でプリウスの強みを十分に発揮できず、上り区間の燃費悪化を下り区間で挽回できないため、結果的に峠道の燃費は悪くなってしまいます。
目的地に到着した時点の燃費です。

往路は63.4km走行して、燃費は31.8km/lでした。途中の峠道で回生失効を起こしたので、燃費としてはイマイチです💦
復路は若干遠回りになりますが峠を避けるルートを選択しました。

写真は往復の総合燃費ですが、復路単独の燃費は36.1km/lでした。往復の総合燃費も34.1km/lまで挽回しました。
復路は国道中心の幹線道路を通るルートで、アップダウンのある区間もありますが、回生失効を起こすことなく効率的に走れるルートでした。
発着地の高低差がありますので、往路と復路の燃費を単純に比較できませんが、回生失効の有無により燃費効率は大きく変わってくると思います。回生失効はできれば避けたいものですね。
ブログ一覧 |
車 | 日記
Posted at
2020/08/04 20:51:31