依水園・寧楽美術館(奈良市)
奈良市唯一の池泉回遊式庭園依水園と併設されている美術館・寧楽美術館
2014年09月09日

依水園は、明治期を代表する庭として、昭和50(1975)年に国の名勝指定を受け、総面積1万3500平方メートルある奈良市唯一の池泉回遊式庭園です。
依水園という名は、万葉集に詠われた吉城川の水に依っている事と、杜甫の漢詩に「名水依緑水」という一説があり、それを引用したとも伝えられています。
庭の構成は、西側の前園と東側の後園からできています。これらは創始を全く異にする二つの回遊式庭園を組み合わせたものです。
前園は古くは興福寺摩尼珠院の別業があった場所とされており、江戸時代の延宝年間(1670年代)に奈良晒業者の清須美道清が別邸を設け、宇治黄檗山の木庵禅師が名づけた建物「三秀亭」が現存しています。前園の特徴は、三秀亭を中心に前池の護岸石の石組みと池の中に鶴亀をなぞらえた中島、要所に置かれた灯籠など江戸期の作庭を伝えている所です。
後園は、明治32(1899)年に奈良晒業者の関藤次郎の気宇を汲んで、裏千家十二世又妙斎(ゆうみょうさい)が作り上げた庭と伝えられています。東大寺南大門、若草山、春日奥山、御葢山を取り入れた借景は、万葉世界を彷彿させる眺望となっており、また、書院造の建物や茶室、柳生宝徳寺から移築された柳生堂によって構成されています。
後園の特徴は、細い路地を経て東に進むと、視界が急な広がりを見せて想像もしていなかった借景が姿を現すという意表をついたところです。
また、中島と築山を芝生にすることで、遠景の若草山との連なりを見せ、さらに奥行きをもたせています。
依水園は、昭和14(1939)年に中村家の手に渡ります。中村準策(1876~1953年)は、神戸で財を成し、収集美術品を展示する財団法人寧楽美術館を創立するに当って、美術品を鑑賞する環境を兼ね備えた美術館を設けるという当時としては画期的な構想を持って、依水園を購入します。しかし、第二次世界大戦の勃発により、財団としての公開は、準策の孫である準佑(1930~2001年)が果たすこととなりました。こうして受け継がれた依水園は、世界遺産に囲まれる中で、今も昔の景色を護りながら四季折々の風情を楽しめる空間として公開されています。
寧楽美術館は、大和屋根の特徴を瓦で表現した建物で、収蔵品は財団設立者中村準策の収集美術品の内、第二次大戦中に幸運にも戦火をまぬがれた二割ほどの東陽の美術工芸品です。中国品は古鏡・古印・碑帖など、韓国品は高麗・朝鮮時代の陶磁器など、日本品は文人画家で有名な田能村竹田筆、重要文化財「亦復一楽帖」をはじめとする江戸時代の茶陶磁類で合わせて二千数百点です。
(パンフレットより)
開園時間 9:30〜16:30
休園日 毎週火曜日(4・5月、10・11月は無休)、年末年始
入園料 一般650円 中高生400円 小学生250円
※平成26年10月1日より一般900円他に改定予定
Photo Canon EOS 5D MarkⅢ
H26.9.3
住所: 奈良県奈良市水門町74
関連リンク
タグ
地図
関連情報