猪目洞窟(出雲市・旧平田市)
「あの世」につながると信じられていた猪目洞窟
2015年01月29日
猪目洞窟は、昭和23(1948)年に、漁船の船置場として利用するため入口の堆積土を取り除いた時に発見されたものです。
猪目湾の西端に位置し、凝灰岩の絶壁に海食により出来たもので、東に向かって開口しており、幅約30m、奥行き30mあります。
古代の人々は、死者の世界を「黄泉」と表現していました。「出雲国風土記」には、「夢にこの磯の窟(あな)の辺りに至れば、必ず死ぬ。故、俗人古(いにしえ)より今にいたるまで、黄泉の坂、黄泉の穴となづくるなり」と書かれ、
「夢の中でこの洞窟に行くのをみたならば、必ず死んでしまう。ここは昔から黄泉の坂、黄泉の穴と呼んでいる。」と記されています。
古代には、この洞窟は「あの世」につながると信じられていたようです。
この遺跡は、縄文時代中期の土器片も少量採集されていますが、弥生時代以降、古墳時代後期まで(2,300~1,400年前)の埋葬と生活の遺跡といえます。
埋葬の遺跡としては、人骨が13体以上見つかっており、特に注目されるものとしては、南海産のゴホウラ製貝輪をはめた弥生時代の人骨や、舟材を使った木棺墓に葬られた古墳時代の人骨、稲籾入りの須恵器を副葬した人骨などがあります。
生活の遺跡としては、各種木製品、土器、骨角器などの道具や、食料の残滓と思われる貝類、獣骨、鳥骨、木の実など、また多量の灰などがあります。
発見当時、大社考古学会により調査が行われた関係から、出土品は現在、大社町の史跡猪目洞窟遺物包含層出土品収蔵庫で保管されています。
(現地説明板などより)
Photo Canon EOS 5D MarkⅢ
H26.12.30
住所: 島根県出雲市猪目町1338
関連リンク
タグ
地図
関連情報