洞昌院（伊勢原市）

洞昌院（とうしょういん）は山号は蟠龍山、曹洞宗の寺院です。
道灌が関東管領上杉憲実の弟道悦和尚のため建てた寺と伝えられています。境内には太田道灌の墓があり、伊勢崎市の指定文化財になっています。
現在、伊勢原市では、毎年10月の第1土・日曜日に観光道灌祭を行って、偉業を偲んでいます。
太田道灌は幼名を鶴千代といい、成人してからは資長または持資といいました。また仏門に帰依してからは、道灌と号しました。道灌が生まれた頃、父資清は相模の糟屋に本拠をおいていたので、道灌は現在の伊勢原市内で生まれたものと思われます。幼い頃から非常に利発で、神童といわれていました。当時の日本は戦国時代で、各地の武将の間に戦が絶えませんでした。道灌は25歳の時、武蔵野の原に、海に臨んで城と町とを築きました。後に、この城は江戸城といい、徳川幕府300年の居城となりました。明治以後、町は東京とよばれ、城は皇居となりました。これにより道灌は、いまでも東京の基礎を築いた人として、その名が高いです。
道灌は築城軍略の大家であるばかりではなく、詩歌を好み、風流を愛する文武兼備の人でした。上洛の折、時の天皇の勅問に和歌をもって答えた逸話や、山吹の説話など有名な話も多いです。
文武両道に優れ、人々から兵法の師範と称された道灌も、若年の頃は武略のみを心がけ文の道は省みなかったと伝えられています。
しかし父の道真資清は当時、和歌の名手、連歌の達者として知られ、また馬上に打物を取っては、享徳の乱において、白井長尾景仲とともに「東国不双の案者」と讃えられたほどのき勇者でした。
狩りに出た道灌が雨にあい、雨具を借りに立ち寄った賎が家の乙女の差し出した山吹の花の意味が分からず、自ら深く愧じて学問を志した説話は、あまりにも有名です。
関東に生まれ関東に育った武将でありながら都の文人にも劣らぬ文化人であり、また江戸の築城に当たっては都市計画の先覚者でもあった、道灌の非業の死を悼んで、花が咲いても実とならぬ山吹の花を選んで道灌への思慕の情を托したものであろうか。

みやび男の子の
　　　道灌さまは
　花も実もある　あづま武士

土地の人が歌った道灌追慕の唄です。

晩年、道灌は京都の足利幕府と関東の公方とが、互いに協力して政治を行わなければ平和は望めないと考え、力を尽くしました。しかし、主君の上杉定正は、己の権力の増大のみを求めていたため、道灌は怒りにふれ、志半ばにして粕谷の上杉館で誅殺されました。時に54歳でした。死後の道灌は洞昌院の裏山で荼毘に付され、ここに胴を、下糟屋の大慈寺に首を葬ったと伝わります。このときの洞昌院では傑山祖栄という僧侶が3世住職を務めていましたが、その後は洞昌院の山門に扉をつけてはならないと言い伝えられています。

（現地説明板などより）

Photo Canon EOS 5D MarkⅣ
H30.12.29
住所: 神奈川県伊勢原市上粕屋1160