残念さんの墓（尼崎市）

この墓は、長州藩兵山本文之助の墓です。文之助は元治元（1864）年の蛤御門の変のとき、山崎路（西国街道）をとつて京都から帰国の途中、大物の北ノ口御門あたりで捕らえられてしまいました。文之助は、捕らえられたその日のうちに、留置された会所（役人の詰所）のなかで自殺してしまいました。
ときに29歳で、後日尼崎藩からの報告によれば、彼の所持品の刀の袋に名が記されていましたので、姓名がわかったということです。文之助は黙否して名乗りませんでしたが、彼は長州藩来栖源兵衛組に属する装条銃中間（足軽の身分）文左衛門の子ということが記録されています。
大阪本町の呉服屋扇屋真助が手代に書かせた日誌によると、文之助の書置きには「残念で口惜しい、もし口惜しいことがあれば自分に参れば1つだけ願いをかなえてやろう」と書かれていたとあります。噂を伝え聞いたおびただしい人びとが大阪から文之助の墓へ参詣しました。これ以後、願い参りが太流行し、大坂町奉行所は一切これを禁止しようとしました。
この禁圧のなかで彼の墓は人びとから「残念さん」と呼ばれるようになり、世人の長州藩に対する同情も高まっていきました。
（現地説明板などより）

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H31.3.18
住所: 兵庫県尼崎市杭瀬南新町４丁目９