中将姫誓願桜(岐阜市)
ヤマザクラが偶然変異した極めて珍しい変種・中将姫誓願桜
2022年04月24日

中将姫誓願桜は、願成寺の境内にある天然記念物の桜です。
願成寺には次のような伝説が語り継がれています。
天平の昔、藤原鎌足の子孫で藤原豊成という貴人の姫に中将姫というとても美しくて賢いお姫様がありました。継母に大へん憎まれて殺されそうになりました。危く難を逃れた姫は追手を避けて諸国を流浪し、やがて当寺へ辿り着かれました。
ところが慣れぬ長旅で婦人病に患り、困り果てて願成寺の十一面観音に祈られましたところ、病気は忽ち治ってしまいました。姫は喜びのあまり境内に一本の桜を植え、願いを込めて祈られました。「桜よ、いつまでも私に代って、ここの観音様をお守りしておくれ。又菩薩様、この桜の花や葉を大切に持つ婦人があれば、女の身にしか分からない心身の悩みから解放してやってください。」姫はこうして九十日もの長い祈りを終えると、大和の当麻寺で織ったのと同じ曼荼羅を蓮の糸で織り、記念に当寺へ納められました。この曼荼羅は後に故あって、愛知県の江南市にある飛保の曼荼羅寺へ伝わって行ったと言われています。
この桜が珍らしい品種であることが分かったのは、郷土の偉人で昆虫翁と言われた名和靖氏の尽力によるもので、東京帝国大学の岐阜県恵那市岩村出身の三好学博士に大正12(1923)年調査を依頼したところ、学術的にも未発表の新種でヤマザクラが偶然変異した極めて珍しい変種であることがわかり全世界に発表されたのです。普通のヤマザクラと違うのは、花弁の形が細長く、その数が23〜36枚と非常に多いことと、24〜36本ある雄しべの「葯隔(やくかく)」という花粉袋の器官が伸び出し、白旗状になることです。葉芽は黄色で、ヤマザクラと同じように、4月中旬頃薄い淡紅色を帯びた白色の花が葉とともに開きます。
この桜は現在は天然記念物に指定されていますので自由に花を取ったりすることは許されませんから、開花時に百花ほど摘んで安産などのお守りとして当寺より出しています。
平成20(2008)年11月、このサクラの種子はスペースシャトル「エンデバー号」で宇宙に届けられました。種子はそのまま国際宇宙ステーションに約8か月半滞在し、地球を約4,100周して、翌年7月、若田光一宇宙飛行士と供に地球に帰ってきました。これまで中将姫誓願ザクラは種子から発芽したことがありませんでしたが、この宇宙桜の種子は、発芽に成功し、中将姫誓願ザクラ直系2世として平成26(2014)年4月に開花を果たしています。
平成29(2017)年2月に中将姫ゆかりの奈良県の當麻寺中之坊に原木から接ぎ木で枝分けした苗が植樹されました。
Photo Canon EOS 5D MarkⅣ
R4.4.9
住所: 〒501-3124 岐阜県岐阜市大洞1丁目21
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