伴五郎地蔵〔畑中地蔵・富永伴五郎一族討死の地〕（西尾市〔旧吉良町〕）

永禄4（1561）年9月、松平元康（後の徳川家康）は、東条城攻略のため、小牧砦に陣を進め、十三日を期して総攻撃をかけました。
小牧本陣（南方約500m）からは、本多広孝、酒井正親らが出陣し、東条城からは城主吉良義昭の重臣で室城（西尾市室町）城主富永伴五郎らが手兵を率いて迎え撃ち、ここ藤波畷において遭遇戦となりました。
深田の中の細い縄手道で討ちつ討たれつ、無勢の吉良方が不利となり、善戦及ばず、富永勢は全滅、伴五郎もこの地で討死しました。時に25歳といいます。
勇将を失って城は陥ち、名門東条吉良氏三百有余年の支配は終わりました。これを藤波畷の合戦といいます。
後年享保2（1717）年、村民は憐んで、伴五郎討死の場に地蔵尊を祀り、台座にいわれを刻みました。
「旧跡荒廃彫刻地蔵菩捶石像一躯　永世住還。緇俗一膽一礼」
時は流れてすでに400余年、富永一族の霊は寺嶋の大通院（このちより西方約300m）に眠っています。

Photo Canon EOS 5D MarkIV
R5.3.19
住所: 愛知県西尾市吉良町寺嶋五反田５７