入江泰吉旧居(奈良市)
奈良の風士を約半世紀にわたって撮り続けた写真家・入江泰吉旧居
2023年04月30日

入江泰吉旧居のある周辺は水門町といい、東大寺境内の南西隅にあたります。水門という名前は『茶良坊目拙解』(享保20年、1735)によると、吉城川の水を東大寺南面の築地南西から寺内へ水門を構えて引いたことに由来するとされ、現在も、吉城川が町内を流れ、そこに2つの小川が合流しています。近世には、興福寺の子院があり、東大寺や手向山八幡宮の関係者も居住したとされる町です。
江戸時代には、吉城川の水流を利用した奈良晒(武士の裃などに用いられた高級麻織物)の西場があり、後に晒問屋の清須美氏が借景庭園のある山荘三秀亭を設けました。
明治33(1900)年には、豪商の関氏が依水園を築造するなど、明治から大正期にかけて水門町付近には大庭園を有する邸宅が多く建てられ、土塀や門を構える屋敷が立ち並ぶ町並みが見られるようになります。
この場所を拠点に活動したのが、奈良の風士を約半世紀にわたって撮り続けた写真家の入江泰吉です。入江は、明治38(1905)年に奈良市に生まれ、大阪で写真店を開業したのち、大阪大空襲で奈良に引き上げてきてから、奈良の仏像、風景、伝統行事、万葉の花などを題材にした作品を発表しました。
ここ入江泰吉旧居は、吉城川沿いに建つ近代和風住宅で、居室から吉城川を望む景色は格別です。この場所で入江は、大和の歴史に関する書物を細解き作品の構想を練り、創作活動にいそしんだといわれています。
親しかった第206世東大寺別当・上司海雲、文豪・志賀直哉、司馬遼太郎、画家・杉本健吉、随筆家・白洲正子をはじめ、多くの人も来訪しました。
平成4(1992)年4月、入江が全作品を奈良市に寄贈したことから入江泰吉記念奈良市写真美術館がオープンし、8年後の平成12(2000)年、奈良市は入江の妻ミツヱ氏からこの建物の寄贈を受け、有効な活用方法を検討していましたが、平成27(2015)年に公開施設としてオープンしました。
土間がない玄関、編集者と打ち合わせを行っていた客間、茶室、アトリエ、書斎、庭などが公開されています。
現在は入江の仕事ぶりや毎日の暮らし、人となりや作品制作にかける情熱を感じ取れる場として、多くの人に親しまれています。
開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜 (休日の場合は開館し、翌日休館)、休日の翌日(その日が平日の場合)
入館料 大人200円、高校生以下無料、
Photo Canon EOS 5D MarkIV
R5.4.1
住所: 奈良県奈良市水門町49番地の2
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