鍋島家が士族授産のために開いた茶園につけた名称を今につなぐ・鍋島松濤公園
2023年09月30日
鍋島松濤公園の付近一帯は、江戸時代には紀州徳川家の下屋敷でした。明治時代になって、その跡地を購入した鍋島家が、士族授産のために開いた茶園につけた名称が松濤園でした。
松濤とは茶の湯のたぎる音から出た名で、この銘のお茶を生産していました。それがもとになって、昭和3(1928)年にこのあたりの松濤という町名が生まれました。令和5(2023)年に放送された連続テレビ小説「らんまん」で主人公・槙野万太郎の妻、寿恵子が渋谷を訪れ、渋谷で生産されていた緑茶とボルトガル伝来の焼き菓子ボーロを食べる場面や、鍋島家が寿恵子が見に来た物件の所有者が「昔は鍋島様のところで奥勤めしてたらしい」と告げられるシーンなどが放送されました。
松濤園のなかにあった、池を中心とするこの一画が現在の松濤公園です。
大正13(1924)年に鍋島家が児童遊園地としての施設をつくって公開した松濤遊園地が、昭和7(1932)年10月に東京市に寄附され、昭和9(1934)年から渋谷区の管理に移り、戦後に区立の公園となりました。
かつて渋谷区内には、数多くの自然湧水地がありましたが、開発などにより著しく減少してしまいました。
松濤公園の池は、数少ない湧水地として貴重であると同時に、池の周辺には昔ながらの面影が残されています。
Photo Canon EOS 5D Mark Ⅳ
R5.9.17
住所: 東京都渋谷区松濤2丁目10