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2019年06月15日 イイね!

『安全運転サポート車限定免許』のナンセンスな面?

題記、『安全運転サポート車限定免許』について、その試案が『選択制』であることに対して意味を疑う報道番組が多い様ですが、もし逆に『強制』とした場合にも意味を考えねばならない面があると思います。

そもそも、『誤操作が発生した場合に、ドライバーないしは同乗者が最悪の事態を回避できない状況にしている主たる原因は車両のAT化にある』というキホン中のキホンがあるからです。

AT車から乗り始めてAT車しか乗った事が無い方にはピンと来ないかもしれませんが、逆に昨今話題となっている高齢運転者であれば免許取得当時はそれこそMT車オンリーで、AT限定免許自体が存在しなっかったこともあり、そのことはご理解いただける事実ではないかと思います。

「むしろ安全のためにMT車に乗るべき」と言うコメンテータがいらっしゃる背景です。

故に、世の中が完全にAT車オンリーであれば、前記限定免許の強制に意味があるかもしれませんが、現時点でMT車が残存する限りは、MT車の安全性と言うか、事故回避機能が有効と考えれば、むしろMT限定免許の方がリーズナブルと言える面があると思います。

では、MT車がAT車比で『暴走し難く安全』と言える点とは何か?

(1) まず第一に、原則クラッチペダルが最右の離れた位置に存在することより、結果的に実走行中も無意識のうちに絶えず相対的なペダルの左右位置感覚がより確かめられることで、昨今起こっている踏み間違いが起こり難い傾向があり、加えては万が一アクセルペダルをブレーキペダルと間違って踏み込んで暴走状態となったとしても、クラッチペダルを踏んで動力を切り離すことが運転の自然な流れの中で可能であって、まず一つ目の有効なサーキットブレーカとして機能します。
故に、根本的に踏み間違いから来る暴走が容易には起こり難く、恐らく事実上MT車では最悪の暴走事故は起こっていないのではないかと思います。

(2) 第二に、トランスミッションを駆動して、走行を開始するためには、いわゆる『半クラッチ』の操作が必須であり、当然これにはそこそこの技量を必要とすることで、そもそもぎこちない運転技量ではエンストとなって走行を開始することさえ出来ません。
即ち、停止状態からの誤操作では、暴走する以前にエンストとなることで、停止してしまうことはあれど暴走することにはなり得ません。

まずは、上記2点だけでも、昨今問題となっている100km/h前後の速度で何百メートルも暴走する状況を起こすには、AT車比でそこそこの意識、意図が無いと不可能と言えます。

(3) 第三に、何がしかのシフトレバーがある訳で、仮にアンコントローラブルな暴走状態となった時、暴走の原因となっている駆動を強制的に切る事ができ、たとえ誤ってアクセルを踏み続けていたとしても、完全な空噴かし状態となって、車両自体は下りでも無い限り減速に入り、いくらパニック状態であったとしても、反射的に踏み込みを緩めて、本来の制動行為に移行する事ができると思います。

これは一般のガソリン車のAT車でも同様と言えばその通りですが、通常運転において、たとえ信号や踏切の停車においてもDレンジが推奨されて、ほぼ乗降や後退以外でシフト操作をしない習慣の延長では抵抗が大きく、遥かにMT車のドライバーの方が自然に操作できるであろうことは自明の理です。

なお、プリウスに関して、YouTube動画の中に、シフトをDやRに入れた後にレバー位置がNに戻っていながらDやRのままと言う仕様を問題視する見解を示す投稿がありますが、まさに本項目で想定している暴走状態での回避操作が行い辛い仕様に思えますので、プリウスに悲惨な暴走事故が多いことと関連があるのではないかと思います。

(4) 更には、従来のMT車の標準仕様としては、サイドブレーキによる補助ブレーキの実装が多く、アクセルペダルの誤踏み込みによる吹け上がり、加速、暴走時に、ブレーキペダルと勘違いしている可能性を想定するならば、ペダルを全開放すると同時にサイドブレーキを引くことのみで減速、停止が可能です。
さらには、助手席や後部座席からも操作可能であることから、ドライバーの体調に異常が発生した際にも、操作して減速、停止させる事が可能です。
たとえアクセルが勝ったとしても、最悪の衝撃を緩和する方向で働くでしょう。
『運転資格』と言う課題はあるものの、実際にバスの運転手が気を失ってコントロールできなくなった事例で、乗客のサポートにより事なきを得た例があるだけで無く、そのサポート者は表彰されこそすれ罰せられた例は聞いた事がありませんから、他人を殺めかねない状況において有効な機能となり得ることは言うまでもありません。
この機能があれば、事故直前にドライバーの異常に気付いて何とかしようとドライバーシート以外の方が、シートベルトを外して虚しい対処をする様なことも一切必要がありません。
恐らく、後部座席からでもシートベルトを少し引っ張り出す程度で操作可能でしょう。

ただし、サイドブレーキについては、一部AT車でも実装している車両がありますので、それを選ぶ事がドライバーにとっても同乗者にとっても、最も有効な暴走事故対策の基本機能になると思います。

『いざという時はこれを引けばいいんだね?』みたいな。

これまでの深刻な暴走事故を起こした車両は大所注意深くウォッチしていますが、それらの車両はペダルブレーキの類か電磁ブレーキで、その装備が無いものばかりだった様に思います。

もしあったとしたなら、「サイドブレーキ機能を熟知しているはずの高齢運転者が、何故習慣的な動作として前記の様な操作を全くしなかったのか?」という素朴な疑問が湧いて来ますから。

要は、一部の一時的踏み過ぎは別として、百メートル以上も暴走することが最悪の事態を招いているとすれば、一刻も早く停止させられればいい訳で、『暴走時の非常停止ボタン(機能)』さえあればかなりのケースが確実に解決するであろうことより、例えばセンターにあるハザードスイッチの連打や長押し等でソフト的にその機能が実現可能であれば、四の五の言わずサクッと仕様追加した方が確実に今後の悲惨な事故の圧倒的抑制になると思います。

動作イメージとしては、非常停止起動によりアクセル操作を無効にして動力駆動を停止させるとともに、横滑りすること無く車両を停止させる感じで、エマージェンシーのサイドブレーキより安定して暴走を抑止出来る仕様です。

個人的には、これに比べれば『踏み間違い防止システム』など、昨今発生している最悪の暴走事故に対しては、中途半端で本質的にはほとんど役に立たない機能だと思います。

もし仮にハードの構成が上記暴走時等の非常停止機能を物理的に実現可能な仕様であれば、ひとたびプログラムを作成してしまえば、あとはディーラで流し込む作業のみで、製造原価はほぼゼロで導入可能です。

株主総会で取り上げるなら、即実施可能かどうかはともかく、それくらい実効的な内容で無いとほとんど提示する意味が無いですから、トヨタのボードメンバーに即効の解決能力が欠けているのやら、狡猾であって出席株主の質問が突っ込み切れていなかったのやら。

確かに、仕様的に考えると国土交通省の届け出的な問題はありますが、連日の様に報道される悲惨な暴走事故を考慮すれば、たとえ起動スイッチの増設が必要であるにしても、『待った無し』の状況では無いかと思います。

そう、はっきり申しまして、近年のカメラやセンサを活用した高度な『安全運転サポート車が必須と言う訳では無い』という『クルマのキホン』に目を向ける必要があると思います。

『安全運転サポート車』を全面否定する訳ではありませんが、闇雲にほぼそれのみを盲目的に暴走事故対策として推進するのは、利権に毒された詐欺的な物を感じます。

「これからの時代は電気自動車や燃料電池車だ」とお先バラ色かに言ったところで、その実材料、燃料源やインフラに関する課題が山積していたりします。

そういった観点から、『安全運転サポート車限定免許』の発想にはナンセンスさを感じざるを得ないのです。
Posted at 2019/06/15 19:52:53 | コメント(1) | トラックバック(0) | 交通安全 | クルマ

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