本日はTBスポーツシートに関してトヨタ紡織さんにお話を伺うことができました(^^)
このシートはiQ GRMN S/Cに初搭載されたシートではあるのですが、
その開発スタートは2008年に遡り、トヨタ紡織の中のBR-SP室というセクションで開発されました。
当初はデザイナー平井さん
(こちらで紹介されている方です)とシート機能実験室の後藤さんら
ごく少人数でスタートしたそうです。
TBスポーツシートの開発話はとても興味深い内容で、もともと4ドア車用に開発されたシートであること、
表皮一体発泡成形を採用した初めてのシートとなること(つまりiQ GRMN S/Cは限定車として
搭載された第一号車となり、量産レベルでは5/16に発表された新型ISが初らしいです)、
成瀬さんと「日本のレース車両に海外サプライヤーのシートではなく日本製のシートを搭載したい」と
話したエピソード、iQ GRMN S/Cに採用されるにあたって施されたチューニングなど、
シート設計メーカーとしての意地とプライドで作り上げた製品であることを知ることができたのでした(^^)/
そして最後に「今回、TBスポーツシートを世に出せたのは、トヨタのガズー推進室、スポーツ車両統括部、
そして身内の関係部署のお陰あっての事で、開発者としてたいへん感謝しながら、
より張り切って情熱傾けることができた」とのお話でした。
トヨタ紡織レポートという小冊子があるのですが、その中に「TBスポーツシート」の開発ノートが書かれているので、
その一部を抜粋してご紹介します。
「自動車メーカーの要望に応えるだけではなく自分たちが本当に良いと思うシートをつくりたかった」
「スポーツシートは、高速走行で大きなGがかかっても身体の軸がぶれないホールド性、身体に密着
しながら不快感を感じとさせないフィット感、マニュアルシフトなどをスムーズに行うことができ
る操作性など、ドライビングに特化した性能が求められます。自分たちが本当によいと思うシート
をつくることは、すべてのシートに通じるノウハウを蓄積することにつながる」
「私は、これがモノづくりに携わるデザイナー本来の仕事であると考えています。単にスタイルを
優先するのではなく、製品の性能を100%引き出すために、どんな困難な条件が提示されても
デザイナーの意地にかけて美しい意匠にまとめあげる心意気で挑みました」
この技術は更にニュルブルクリンクで24時間耐久レースに出場したLFAに採用されたHANSシートや、
また別の開発チームで製品化された86/BRZスポーツシートへ繋がります。
以下は86/BRZスポーツシートの開発者の言葉です。
「技術的に一番苦労したのは、これまでのスポーツカーの中でも、特に低い車高に合わせたヒップ
ポイント(着座位置)です。尻が前にすべらないように工夫するとともに、カーブ走行時の高いGでも
サイドサポートが変形しないように剛性を高めています」
「最も重要視したのはドライバーの姿勢を安定させることです。尻の収まりがよく、身体になじむ
シート形状を追求しドライバーとシートの一体感を目指しました。また、日本のサーキットだけでなく
ニュルブルクリンクでもテスト走行を行いました。そこで得た官能評価を定量化していって
開発の最終段階まで改良し、スポーツシートとしての性能、乗り心地、安全性を高めていきました」
「最大のポイントは、サーキットでスポーツカーとしての走りが楽しめる一方で、乗り降りがしやすく、
日常でもストレスなく使えるように設計している点です」
現在、トヨタ紡織ではトヨタ車の大半のシートを手がけていますが、スポーツシートはこういった拘りが
詰まったシートであるというメッセージを受け取ることで、またドライビングの愉しみが増しますね(笑)
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GRMN | 日記
Posted at
2013/05/17 22:40:51