こんにちは、今日2本目投稿の銀匙です。
さて、今回はタイトルの通り、デジタル一眼レフの御話です。
ミラーレス一眼の話ではなく、ガチでマジでレフレックスミラーがある、デジタル一眼レフの話です。
●デジタル一眼レフ(デジイチ)の歴史
まずは歴史をおさらいしてみましょう。
そもそもレフレックスミラーと高度なシャッターを持つ一眼レフはフィルムカメラの連写性能向上の一環で始まりました。
よって20世紀中の一眼レフと言えばほぼフィルムカメラだったのです。
20世紀から21世紀に変わる足音が聞こえる1999年、ニコンがD1を発売します。最初からデジタルカメラとして開発されたデジタル一眼レフ。ボディだけで65万円したそうです。
(ただし1991年頃からコダックやキヤノンがデジタルバックとして数百万円のセットを発売していました)
それからというもの、年1回以上のハイペースでニコンとキヤノンはデジイチの新機種を発売し続けます。
ミノルタやペンタックス、フジフィルム等もデジイチに参入、大競争時代に入ります。
そして2010年5月、ソニーが初代ミラーレス一眼であるNEX3を発売した後も併売されましたが、小さく軽く安いというコンセプトが支持されたミラーレス一眼がシェアを伸ばし、2020年のキヤノンEOS1DX Mark3、ニコンD6の発売をもってデジイチは21年間の歴史を事実上閉じました。
ちなみに今のミラーレス一眼とレンズの最上位セットは当時のデジイチセットより遥かにデカくて重くて高いというのはなんという皮肉。
車でもそうですが、歴史は巨大化を繰り返すのでしょうか。
ここで豆知識。
一眼レフの一眼って何かというと、撮影前に撮影範囲の確認をするレンズと、撮影する為のレンズが1つになったという意味です。カメラには二眼カメラという、ボディに上下2つのレンズが並び、それぞれ撮影範囲確認用と撮影用にレンズが物理的に分かれたカメラもあります。二眼カメラに対する一眼のレフレックス機構付きカメラが一眼レフ、という事です。
●デジイチの技術革新
大きな技術革新は2つありました。
1つは受光部の種類、もう1つは受光部のサイズです。
最初、受光部はCCDという素子で作られました。
CCDは1970年代からあり、防犯カメラやデジタルビデオカメラで広く使われておりました。
ただしそれらで使われていたCCDのサイズは1/2.3等、35mmフィルムに比べると大変小さなサイズでした。
CCDはフィルム写真の特徴である濃い色合い、滑らかな諧調、柔らかい解像が演出可能なノウハウが揃ってる一方で、35mmフィルムと同サイズの受光部を作ると消費電力が激増し、歩留まりが極端に悪化して製造コストが跳ね上がり、データ転送速度が遅くなりすぎるなどの欠点が出るので克服する必要がありました。
よってメーカーは受光部のサイズをAPS-Cにしました。
今でもこのAPS-Cというサイズで売られている機種はありますが、簡単に言えば受光部面積がフルサイズのおよそ半分、正確には対角比で0.66倍、面積比で43%しかないのです。
厳密には違いますが、大雑把に言えばフルサイズ受光部の長辺を半分に切って縦横逆にしたものがAPS-Cといえます。
例えば35mmF2のレンズを装着するとフルサイズなら当然35mmの撮影範囲ですが、APS-Cでは50mmレンズと同じ範囲しか写せないのです。
この撮影範囲の換算係数が対角比0.66の逆数、つまり1.5であり
「35mm換算するにはレンズの焦点距離を1.5倍してくださいね」
というあの説明に繋がります。
ただし、レンズの遠近感やボケ方などは変わりませんから50mmレンズの写真とも違う独特の写りになります。
狭くなると何が起こるかというと、既存のレンズラインナップでは広角が不足する為、18mm、14mm、10mmといった超広角レンズの開発が求められました。
フィルム時代に比べて今のレンズラインナップで超広角が増えたのはこの頃の影響があります。
このAPS-CサイズのCCDを積んだデジイチは例えばニコンではD100、D80など、ミノルタではαSweetDigital、ペンタックスの*istDS2等がこれに当たります。
(キヤノンの初代 EOS-1DはAPS-H、ニコンのD1は独自規格のサイズだったため除外)
APS-Cというサイズにしたのは歩留まりを下げる等、つまるところ製造側の都合でした。
しかし、特にフィルムユーザーからするとレンズの性質と撮影範囲の感覚がズレるため、常に違和感が付きまといました。
実はフィルム時代にも同じようにフィルムの感光面積を半分にしたハーフカメラという存在があるのですが、ハーフカメラは36枚用フィルムで72枚も撮れますよという安さを売りにしていて一般的に描写性能も割り切った物だった為、メーカーはハーフカメラとAPS-Cデジイチが同一イメージで見られる事を特に嫌いました。
そのためかメーカーはAPS-Cの詳細仕様や違和感の理由に関してだんまりを決め込んだので、ユーザーは名状しがたい違和感を抱いたままフルサイズを待ち望み、メーカーは1つの決断を下します。
それがCCDという受光素子と決別し、CMOSという受光素子に切り替えるというものでした。
CMOSは一言でいうと「低コスト・高速・低電力」というCCDと真逆のメリットを持ちます。
一方で初期のCMOSはローリングシャッター、低感度でも色乗りが悪い等のデメリットがありました。
ローリングシャッターというのは詳しく説明すると長くなるのですが、電子シャッターのみ、あるいは機械式シャッターでもシャッタースピードが極端に遅い時、かつカメラを動かしながらの撮影、あるいは動いている被写体を撮影した際、被写体が平行四辺形の形に歪む事を指します。これはCMOSでしか起きない欠点です。
もう1つの低感度での色乗りは「フィルムカメラとは違う、淡白な写り」という意味であり、これはカメラに内蔵するjpg処理エンジンやPCでRAW現像する現像ソフトの努力によって克服しています。
(この流れに逆らい、うちはフルサイズCCDを搭載すんだと言って発売されたのがライカのM9です。あれが事実上世界で唯一残存するフルサイズCCDカメラですが、そのCCD受光部が朽ちていくカメラとしても有名です。あと値段も高い)
なお、フルサイズを待ち望む風潮があったことは確かですが、フィルムの一眼レフユーザーではない人は別に違和感を感じないとのことです。例えばケータイの写メから始まった世代やスマホカメラに慣れ親しんだ世代はそもそも35mmフィルムと35mm用レンズという世界に馴染みがありませんからね。
よって、たとえばチェキとかでフィルムライクな写りを好む層にとってはCCD受光部を持つ一眼レフカメラはフィルムに近いニュアンスで写してくれますし、当時人気が低かったことで中古価格もお手頃とメリットしかないカメラでもあるのです。
かくしてCCDからCMOSへという技術革新を経て、待望のフルサイズデジイチが発売されました。
それが2002年9月に発売されたキヤノンEOS-1Dsです。
ただ、幾ら低コストとはいえ新技術ですからもともと高く、そして人々が待ち望んだフルサイズというプレミアム感を維持したかったのかは解りませんが、とにかくフルサイズデジイチは高い上位機種にのみ設定されました。
先述のキヤノンEOS-1Dsはキヤノンの最上位機種、プロ用のカメラです。お値段は100万円くらいしてました。
その後ハイアマチュア用の5D系統、アマチュア用の6D系統がフルサイズで発売されていきます。
ニコンでも2007年のD3に始まり、D700、D3X・・・と続いて発売されます。
このフルサイズ=超高額機種という概念を破ったのがソニーのα7初代であり、フルサイズのミラーレス一眼にもかかわらず、たった15万円で発売され、時代がミラーレスに一層傾いていく一つの要因にもなりました。
●なぜ、今デジイチを選ぶのか
さて、じゃあ今デジイチを選ぶことにどんなメリットがあるの?という事ですが、一言で言えばコスパです。
安いだけではなく、その費用で得られるパフォーマンスがミラーレスよりも良い場合がある、という意味です。
デジイチはフィルムカメラ末期の超高性能ボディにCCDという受光素子を組み込んだ事に始まり、ミラーレス陣営に取って代わられるまでの21年間生産されたわけですが、特にフルサイズはニコンとキャノンが出揃った後半13年の間、上位機種に限って生産され、当然高かったため中古市場に流れても高いまま、今も最終盤の機種は高値を維持しています。
しかし数年前にYoutube動画で流行ったように初期に近い機種は値段がこなれており、一方でミラーレス勢が肥大化、高額化、重量化してしまったこともあり、改めて比べると良いんじゃない?という見方も出来るのです。
良い、というのは色々ありますが、例えばバッテリの持ち。
私がソニーのα7ⅡやNEXを使ってますが、100枚200枚の単位でどんどんバッテリが減っていきます。
それはミラーレスのファインダはEVFという電子式で常時バッテリを食っていくからなのですが、対してデジイチは純粋な光学機器でファインダを見る時に電源が要りません。
AFを動かす、撮影する、記録する、そういう部分的な電気の利用の仕方であるため、本当に減らないのです。
また、デジイチ用のレンズもまた値下がりしています。
フルサイズ用はまだミラーレスでも変換アダプタを付けて使う人が居るので需要がありますが、裏返せば安くなったからこそ変換アダプタをつける面倒さを飲んでいるので、値下がりありきなのです。
また、APS-C用のレンズは人気が無く、当時評判の良かったレンズでもだいぶ安く買えます。
私は以前から写真の決め手はレンズであると言ってますが、ことデジイチまで時代を遡るとJPGエンジンが未成熟だったり受光部が老朽化していたりとボディ側も考慮する必要が出てきます。
また、APS-C用レンズはプラスチック製マウントの黎明期だった事もあり、マウントが折れているジャンク個体とかもあります。
なので、そうしたリスクを避けられて、かつ私が実際に買った中からこれは良いと思った組み合わせと、そのサンプル写真を乗せたいと思います。
●私のお勧めデジイチ3選
まずはAPS-CのCCD機から。
ボディ:ニコン D80
レンズ:ニコン AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED
今でこそボディが1.3万円、レンズが1.7万円の合計3万円くらいで買えますが、発売当時はボディが12万円でレンズが18万円の合計30万円した構成です。当時の位置づけはアマチュア向け、いわゆる中型機であり、中型機としては最後のCCD機になります。
正直、D80のファインダはF世代のフィルム一眼レフを引き継いでおり、合焦時の赤ランプは見えにくかったり、jpg設定が余り無かったりと、出たての甘さを感じる事はあります。
一方でボディもレンズも丈夫な造りをしており、CCDは誠実に描写し、jpg撮って出しで繊細なタッチで描きます。
当然今でも十分通じます。
サンプル画像(jpg撮って出し)
続いてフルサイズデジイチ、どちらもCMOS機です。
ボディ:キヤノン EOS5D Mark2
レンズ:キヤノン EF17-40mm F4L USM
今でこそボディが2.7万円、レンズが3万円の合計5.7万円くらいで買えますが、発売当時はボディが30万円でレンズが13万円の合計42万円した構成です。ハイアマチュア用、プロのサブ機として開発されています。
確かに年代を感じさせます。記録メディアはコンパクトフラッシュ(今のCFExpressとは別物の古いメディア)ですし、電子水準器もありません。
しかし、フルサイズらしく大きくて見やすいファインダ、さすがキヤノンというべきAFの早さ、正確さ、そして暗所でも合焦してくれる心強さ、頑丈なシャッター、そして日付保持用の電池はボタン電池でユーザーが簡単に交換できるなど、さすが長期利用を想定したハイアマチュア用カメラだなと唸ります。
CMOSという懸念もハイアマチュアが納得するレベルまでキヤノンが設計したjpgエンジンですから心配無用。
レンズに関してもさすが当時高級ラインだったキヤノン純正Lレンズ。17mmという超広角から始まるレンズですが、全域で文句なしの描写です。
サンプル画像(jpg撮って出し)
ボディ:キヤノン EOS6D
レンズ:キヤノン EF24-105mm F4L IS USM
今でこそボディが3.5万円、レンズが5万円の合計8.5万円くらいで買えますが、発売当時はこのボディとレンズのセットで25万円した構成です。
3つの中で最も新しい世代ゆえ値段の下落率では一番少ないですから、α7Ⅱが6万円前後で買えることを考えるとこの辺りが優位性を発揮できる最後かな、という感じです。2026年現在の話ですが。
ただ、新しいがゆえに記録メディアもSDカードですし電子水準器もあります。
5D並の大きくて見やすいファインダ、AF性能の高さはさすがのキヤノン、ただ、アマチュア用ゆえに日付保持用電池は内蔵電池でユーザー側では交換出来ませんが、6Dは5DMark2より全体的に軽快です。
実際重さも6Dボディは680g、5DMark2は810gとだいぶ軽量になります。
CMOSというかjpgエンジンも更に新しい世代でレンズも当時セット販売されるくらいですから相性ばっちり。
広角24mmから望遠105mmまでの純正Lレンズは何でも任せて大丈夫、便利だし写りも良しと言える1台です。
サンプル画像(jpg撮って出し)
さて、デジイチを今のPCで運用する上では幾つか注意点があります。
つまり周辺機器の話です。
まず記録メディア。これが結構迷路です。
EOS5D Mark2は上でも書いたように記録メディアがコンパクトフラッシュで、タイプ1タイプ2どちらにも対応しています。ただし現在メモリ暴騰とコンパクトフラッシュ自体が絶滅危惧種なので、両方のあおりを受けて値段がとても高いです。
SDカードなら32GBでも1500円も出せば買えますが、コンパクトフラッシュの32GBは、例えばサンディスクエクストリームで3万4千円です。冗談でもなく桁も間違えてません。べらぼうに高いんです。
ちなみに私はjpgでしか撮らないので昔買っておいた8GBで運用してます。
ただ、そうはいかないよ、長期旅行で使いたいから大容量メディアが欲しい、そういうニーズもあると思います。
その場合はコンパクトフラッシュの形をしていて、中にSDカードを差し込めるアダプタというのがあります。
製品としてはタイプ1形状、タイプ2形状共にあるのですが、タイプ1のアダプタはとてつもなく評判が悪い。
SDカードが入らない、入れたらアダプタが膨れてカメラに入らない、カメラから取り出せない、数回で部品が取れて認識しなくなったなど、本当に酷評のオンパレードです。私も1つ買って見事にカメラから取り出せなくなり、散々苦労して摘出して速攻捨てました。
ですのでEOS5DMark2のようにタイプ2も使えるよというカメラなら迷わずタイプ2用のCFSDアダプタを勧めます。
お勧めはサンワサプライ(Sanwa Supply) SDXC用CF変換アダプタのADR-SDCF2という製品があります。

お値段は4~5千円と高いですが、SDカードに抜き差しも問題なく、EOS5DMark2にもスムーズに着脱でき、PCでも問題なく認識します。UDMA対応というのも安心ポイントですね。
だがしかし、問題は続きます。
コンパクトフラッシュのタイプ2という規格はコンパクトフラッシュという絶滅危惧種の中でもさらに珍品にあたります。
すると何が問題になるかというと、PCと接続するカードリーダーが対応していないのです。
タイプ1に比べ、タイプ2は厚みが増します。ゆえにタイプ2対応と明記していないリーダーには物理的に入りません。
そしてタイプ2対応を明記しているカードリーダーの少ない事少ない事。
昔は沢山ありましたが、現行商品かつ信用の置ける品となると、私は下記の国産品1件しか見つけられませんでした。
(中国製の説明書きさえ怪しい商品はリスクが高すぎるので未確認です)
エレコム(Elecom)カードリーダー 超高速タイプ(USB3.0) MR3-C402BK

お値段も3500円程度と普通ですが、これはコンパクトフラッシュタイプ2のUDMAにも、マイクロドライブにも対応している大変貴重な1台です。

私はこれを買いましたが普段使いはせず、上記のコンパクトフラッシュタイプ2のアダプタから読み込む時だけ取り出して使おうと思っています。それだけ延命処置しないと心配なくらい、今は貴重な貴重な1台なのです。
次にバッテリです。
D80のバッテリはEN-EL3eですが、純正正規品は仕方ないですが終売状態です。
ですので互換品しかありません。
EOS5DMark2やEOS6Dで使えるバッテリはLP‑E6またはLP‑E6NまたはLP‑E6NHですが、特にLP‑E6NHはEOS R世代用のバッテリなのでバリバリ現行品です。
ただ、お値段も相応なので、こちらも安く済ませるなら互換品という選択肢があります。
どちらでも出てきた互換品ですが、無名の製品を買うと燃えたり使えなかったりすぐ切れたりします。
そういうトラブルを極力遠ざける選択肢としては、ROWAJapanの製品がお勧めです。
EN-EL3e、LP‑E6/LP‑E6N用は私も買って使ってますが問題ありません。
本当にバッテリが減らないので却って不安になるくらい撮影できます。
そしてバッテリと対になるものと言えば充電器。
こちらも沢山互換品があります。
カメラについてくる純正充電器が一番ではありますが、AC100Vを要求されるかと思います。
互換充電器のメリットに、USB給電でいいというのがあります。出先の車内でちょっとでも充電したいというとき、今時の車ならUSBコネクタが標準でついてたり、コンビニに駆け込めばシガーソケットからUSBを取り出せる変換器も売ってたりします。私は2個同時充電OKというのを1つ持ってます。
最後はちょっとだけ液晶保護の話を。
EOS5DMark2は5Dシリーズの中でも形状が特殊で、正直探すのが大変でした。
EOS6Dはまだ見つかりましたが、選択肢は無かったので似たようなものですね。
D80は保護フィルムや保護ガラスより純正部品のBm-7というプロテクタ(カバー)を買いましょう。
こっちの方がまだあります。ニコンユーザーの方は皆これを使ってます。
以上、2026年夏時点で良いんじゃないかなと思うデジイチのおすすめ3セットを解説してきました。
写りを決めるパラメータやボディ設定なんかは好みの世界ですので省いてます。
ただ、フルサイズミラーレスやdp0等の高精度カメラを長く使ってきた人間の目から見ても、今なお光り輝いてるなと思えるカメラ達ですので、興味があったら探してみてください。
これは今のミラーレスカメラとレンズが余りにも高くなり過ぎたことへの私なりのアンチテーゼでもありますが、物理的にミラーが動き、シャッターが重厚な音を立てるデジタル一眼レフカメラでの撮影は、撮影しているという雰囲気が濃厚なので没頭出来て楽しいですよ。
では、では。