こんばんは、銀匙です。
今回は「今更始めるNEXオールドレンズ遊び」と題してみました。
あえて、「遊び」と書いたのは、私が聞いた数名のプロの方は
「うーん、本気でお仕事をする時は最新のAFレンズを使います。
オールドレンズはどうしても収差や歪み、ゴーストやフレア等の
劣性があるので、それを必要とする仕事があれば別ですが、
基本的にオールドレンズを使うことは娯楽の範疇だと思います」
と、異口同音に仰ったからです。
そして私も正直、本気で失敗したくない時はα55にSONYやSIGMA、タムロンのAFレンズをつけます。
確かに写りは憎たらしいほど面白みはありません。しかし、そう思うだけレンズは諸収差を厳格に補正しているということであり、ボディ側の電子水準器やHDR、手振れ補正といったデバイスが機能する事による安心感はやはり違うのです。
いずれにせよ、写真を生業とされている方が私の日記で何かを決めるとは思えませんが、私は楽しみとしてのスタンスで書きますよという意味で、「遊び」と書かせて頂きました。
そして、タイトルには「今更」、ともつけています。
NEXは、その初期モデルである3が出た当時から、ライカ等のマニアックなオールドレンズを装着して楽しむ遊び方が存在しておりました。
それはSONY陣営がαのAレンズと平行してEマウントレンズの開発を進めざるをえなかったがゆえにラインナップの充実が遅れた事、そして、NEXの特性的に、オールドレンズを装着する為のマウントアダプタを作るのが簡単だったがゆえに、主に中国と香港にて猛烈な勢いでマウントアダプタの開発と供給が進み、大変安価なアダプタが市場に溢れかえりました。
その証拠に、NEX用のマウントアダプタがどれだけ供給されているかをまとめた非常に有用なサイトがありますのでご紹介します。
こちらです
参考URL:http://no.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/e-8713.html
このサイトで把握しているだけで199種類あるそうです。
ええ、もう何でもありの状態です。
ちなみに、このサイトでさえ把握していないマウントアダプタもあるようです。
でも、そもそもそんなにカメラのマウントの種類があったっけと思うのですが、同マウントにn個の製品がある場合もn種類とされているので、実際はそこまで多くはありません。
とはいえ、過去から現在に至る世界中で供給されている相当数のレンズを手中に収めてしまった状態といえるのが、SONYのNEX(Eマウント)です。
同じようにマウントアダプタ遊びが出来るカメラとしては、マイクロフォーサーズのカメラやペンタックスのQ、リコーのGXRもあるじゃないかという意見もあるでしょうが、マイクロフォーサーズやペンタックスのQマウントは元々のレンズが写した範囲の中で写真として残せる範囲があまりにも少なくなってしまう事、そしてGXRはほぼライカ専用マウントと言えるので、ここではNEXのみ取り上げます。
正直、私の趣味的観点です。
さてさて。
オールドレンズ遊び自体は新しいものではありません。
以前から一眼レフにマウントアダプタを装着して使うという遊びは存在していました。
しかしながら、対象のカメラが一眼レフととっつきにくい大きく高価なカメラであった事と、正直言えばAPSCデジイチにM42レンズ等、ごく限られたパターンしかコストパフォーマンスと装着可能である安全性が確保された組み合わせが無かったのです。
ですからM42ブームは数年前に起きましたが、それ以外のマウントのレンズは蚊帳の外だったわけです。
流行といっても乗った人数もたかが知れているので、マウントアダプタも6千円なんて安いほうで、中には数万円もするものもあり、敷居はかなり高かったのです。
一方、SONYのNEXは、一眼とはいえミラーレスのコンパクトなカメラで、普通の人でもまぁ買っても良いかなというサイズでしたし、世界中で普通に売られたカメラです。
そして、使ってみて合わないなあという人は早々に手放しましたので、特に3系の中古市場は安価に推移しています。
2013年3月時点の話ですが、初期のNEX3ボディなら、普通の程度でも1万円ちょっとで手に入ります。
次に、NEXでのオールドレンズ遊びはライカレンズが始まりだったと思いますが、前に書いた理由でNEX発売とほぼ同時期に始まり、市民権を得るのも早かった為、商機と見て安価なマウントアダプタの大量供給が早くから始まり、2013年現在でもティルトとか絞り機構、三脚用台座等が無いものなら1種類あたり3~4000円もあれば大体見つかります。
最後に、肝心のレンズですが、M42など直近に流行があったレンズは高騰してますが、例えばCANONのFDレンズなど、蚊帳の外が長く続いたレンズほど中古の市場原理が働いて、発売当時は良いとされたレンズでさえ捨て値で売られています。
個人的には純粋なプラナー構造(CANONいわくガウス形式)でとろける様なボケを醸すFL50mmF1.8というレンズがありますが、これなどは普通の品でも2~3000円、ちょっとホコリでも入ったジャンクなら500円とかで売ってます。
プラナーに何万も出すのも1つの趣味です(私もとあるプラナーを探し続けてますし)が、安価で自分が気に入るレンズを探すというのも面白いと、私は思うのです。
どっちの写りが良いとか悪いとかは主観の問題ですから言及しませんし、気に入るレンズが見つかるまでに幾らかかるんだ、という根本的な問題があることもまた事実ですねw
なお、日本では比較的どのマウントのレンズも中古カメラ屋で丁寧に陳列保管されてきました。
この結果、今までAF世代のフィルム一眼やデジタル一眼レフでは使えずに見向きもされなかったオールドレンズが突然NEXによって脚光を浴び、国外のバイヤーが秋葉原や新宿等に押し寄せてごっそり買っていくといった現象が起きているそうです。
そもそも生産量が少なかったコニカARレンズ等は焼け野原状態とか。
実際、ARは本当に見かけないですね。
あれではアダプタを買ってもレンズが見つけられないでしょう・・・・
実家のタンスの中にひょっこりあった、なんて人が実に羨ましいですが、
そういう人くらいしかチャンスが無いのではないかという位です。
加えて、最近(2013年初頭)の急激な円安も、外国の方にとっては喜ばしい事態だそうです。
まあ79円から110円とすればざっくり3割引って事ですからね。
「3月くらいから急に”Can U speak English?”と聞かれる事が増えたよ・・・」と、新宿にある中古
カメラ屋のおじさんが言ってましたっけ。
ともあれ、CANONやニコンなどで、当時人気だったカメラボディとセットで売られていた50mmレンズなどは大量に在庫がありますから、1本数百円から3千円もあれば買えます。
今までの話をおさらいすると、手軽に始めるとすれば、
・ボディ(NEX-3か5):1万円~1万5千円
・マウントアダプタ:4000円/種類
・レンズ:3000円
なので、ざっくり2万円あれば一式揃ってしまいます。
強いて言えばマウントアダプタ用にレンズキャップとボディキャップを買っておくと便利かもしれません。
例えばCANON-FD用マウントアダプタを買ったのなら、FD用ボディキャップと、Eマウント用レンズキャップですね。
ちなみに、FD等のメジャーなレンズのキャップは現在も新品が製造されています。
当時の純正品を中古で探すと大変高価な場合がありますが、現在売られている非純正の互換品であれば、FDのレンズキャップ・ボディキャップ共に1個300円もあれば買えるでしょう。
ヤフオクなどで探してみてください。
次に、一眼レフによるM42遊びの時もそうでしたが、オールドレンズ遊びは、28mmの広角から200mmの望遠までの単焦点レンズを探すのが基本です。
ズームレンズはM42に比べれば進化しているケースが多いですが、単焦点に比べると最短撮影距離や写り具合でまだ発展途上といえるものが多く、また、なによりも単焦点の方がカビ等が生えた時に直せる確率が高いのです。
焦点距離を28mmから200mmに絞ったのは、フィルムカメラの時代、この範囲がいわゆる一般的な焦点距離であり、供給量も豊富で名玉が集まっているのです。
これより広角、あるいは望遠の領域は、当時はマニアックな人が揃える特殊なレンズだったので、高いばっかりであまり美味しくないのです。
ただ、NEXはCMOSサイズがAPSCゆえ、どうしても広角レンズを求めたくなります。
よって、そこをカバーする為には、例えば標準のE16mmF2.8や、意外と評価の高いE18-55OSS、あるいは変り種としてHOLGAのNEX用などをあてがっておくと楽しいかもしれません。
HOLGAのNEX用は新品で2600円程度(by中野のフジヤカメラ)の割に24mmと広角なので意外と遊べますし、オールプラスチックなので軽くて嵩張りません。ほとんどボディキャップ。
ただし、HOLGAはプラレンズの上、個体によっては元からレンズがぐにゃんぐにゃんに歪んでますので、あくまで値段の割に面白い絵が取れるというだけで、精度とかを期待してはいけません。
綺麗に撮るならE16mmF2.8にワイドコンバータをつける方が良いです。E16mmF2.8単体よりワイドコンバータをつけた方が綺麗という噂もあります。
実際、ワイドコンバータが出てから中古市場でE16mmF2.8が蒸発するように消えましたしね。
とはいえ、E16mmF2.8は新品で買うほどの評判でもないし、なかなか悩ましい所です。
いずれにせよ、国内でも知ってる人はとうに始めているし、中古カメラ屋に行けばFDレンズとかニッコールレンズ片手に、明らかに日本語じゃないよねという言語で店員さんと会話している方々がいらっしゃるような有様なので、「今更」とつけたわけです。
ただ、「今更」であるがゆえに、先駆者の苦労は要求されません。
申し上げたようにマウントアダプタは今が最盛期状態であり、値段も安価で在庫も豊富に揃っています。
それこそ、今集める予定が無くてもマウントアダプタだけは揃えておいても良いじゃないかと思うくらいです。
まぁライカ用とかハッセルブラッド用なんて買っても、それらの名玉の値段を考えると本当に意味があるか悩ましいですし、安価なアダプタでも1本4~5000円、ちょっとマイナーだと8000円とかしますから悩みどころではあります。
ただ、ブームが終わってからマウントアダプタを求めても、きっと在庫切れか、とんでもない値段を吹っかけられるに決まってますから、興味のあるレンズマウント用のアダプタだけは揃えておいても良いのではと思います。
ライカだって1本だけなら数万円で済むわけですし・・・・
ちなみに私は4種類ほど買ってますが、うち2種類はジャンクレンズなら1本1000円の予算でも選択肢があるという可哀相なほど叩き売られているマウントだからという理由であり、残り2種類は元々持っていたレンズで、一眼レフのボディ側がフィルムしかなかったので、NEXでデジタル化
する為に買い求めた次第です。
どのマウントかは言いません。
まだ未入手の銘玉と呼ばれるものもありますので、バイヤー対策にね。
・・・1つだけ明かせば、CANONのFDマウント用です。
CANONがEF世代にした時、FL/FDレンズを全て非互換としたせいで叩き売り状態になっているのです。
上でも書きましたが、特にFL世代のレンズは総金属製で、良い仕事をしてくれます。FD世代にも良いレンズが沢山あります。
525円で買ったジャンクのFL50mmF1.8をちょいと直したらこんな良い写りをするなんて・・と驚きつつニヤニヤが止まらない、そんな感じです。
自分の嗜好にあうレンズを掘り当てて喜ぶのがオールドレンズ遊びの醍醐味ですから、気長に何度も中古カメラ屋に足を運んで、ちらちらとショーケースを眺めるのも楽しいものです。
ジャンクで買ってきて数日を費やして直して撮影に行くもよし、良品を買ってきてその足で撮影に行って楽しむもよしです。
NEXには割と使えるMFアシスト機能がありますので、そのうち慣れると思います。
なにより、NEXは動画が取れます。
NEX3でもmp4動画は撮影できます。
オールドレンズはMFですから、ピント合わせにモーターを使いません。
モーターの動作音が一切無く動画が取れるのはメリットともいえます。
それで写りが良くて安価となれば・・・
ちょっと手を出してみるのもいいとは思いませんか?
もし予算に余裕があるなら、電子水準器やファインダーの付いたNEX6等の新世代を買ったほうがより幸せでしょうが、一番初期のNEX3でもそれなりに楽しく遊べます。
最初からどーんと投資して「しまった!」となるのは悲しいですから、まずは自分に合うかどうか、NEX3ベースの安価なセットで揃えて始めてみるのがいいんじゃないかなと、私は思うのです。
もし、ちょっとだけ予算があるのであれば、NEXのC3世代以降を勧めたいと思います。
C3から採用されている受光部はNEX-3や5より1世代後になり、α55等でも使われ、夜景にも強く、総じて評判が良いです。
その分しっかり中古価格に反映されており、数千円高くなりますがちょっとだけ予算に余裕があればお勧めします。
というわけで、「今更始めるNEXオールドレンズ遊び」第1回は如何でしたでしょうか?
コメントなど、頂戴した反応を見ながら、更に情報提供を行うかどうか決めたいと思います。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
うちの関連日記・・α7系の情報ですが、よろしければこちらもどうぞ。
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番外編:引き伸ばしレンズについて
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2014/4/20追加
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