お休みの方、そうでない方こんばんは。
銀匙でございます。
前回、
HOLGAをα7で使う為の改造を書きましたが、今度はもう少し面倒な改造編。
CHAIKA(チャイカ)というカメラについている、インダスター69というレンズをNEXで「ちゃんと」使ってみましょうというお話です。
インダスター69は、レンズマウントはL39、つまりライカLレンズと同じです。
しかし。
ライカLマウントのフランジバックが28.8mmなのに対し、CHAIKAのフランジバックは
27.5mm (←2014/5/1修正)
です。この、たった1.3mm短いという事が何をもたらすかというと、
無限遠にしても、遠い所にピントが合わない
という深刻な問題を引き起こします。
しかし、これはマウント規格の差異であり、インダスター69が悪い訳ではありません。
それなのに、世の中にはズサンなライターやマスコミが居りまして、
「チャイカはピントが合わせられないのも楽しむべき」
「インダスター69はこのままトイレンズ感覚で」
などという事を平気で、商売で書いてる書籍や記事に書いてる人が居る。
ふざけちゃあいけません。
これじゃあCHAIKAが、インダスター69が可哀相です。
考えてみてください。
もし海外でNIKONのレンズをロックもせずにガタガタのまま撮影して、
「色々歪んでるしボケてるけど、これがニコンの限界」
なんて書かれたら日本人としてアタマに来ませんか?
マスコミが手を抜くんなら、私がちゃんと使う方法を書いたるというのが今回の企画。
というわけで。
インダスター69の到着。
ヤフオクで3000円少々でした。
今はウクライナ経由でも5000円近い事もありますから、ちょっと相場より安かったです。
半年くらい前はウクライナ経由なら4000円て感じだったのですがね。
恨むぜ円安。
円安になって企業の内部留保が増えた以外、何か良い事あったかしら?
ちなみに、Webで調べますと、インダスター69自体を分解し、内部を改造して1.8mm奥まで回せるようにしてる人は居ました。
しかし、それだと折角ある距離目盛の表記が狂ってしまいます。
インダスター69を規格通りに使ってあげたいなあ。
じゃ、どうするか。
NEXとインダスター69を繋ぐ、専用のマウントアダプターを作れば良いんです。
ということで、以下、その作り方を書いていきます。
こういう、L39-NEXアダプタを買ってきます。
私はamazonで1500円くらいで買いました。
元々ライカLレンズをNEX(α7)で快適に使う為のアダプタの条件、というのがあります。
インダスター69専用アダプターとして購入する時も別の理由で同じ条件が必要なので、この条件を大公開しちゃいます。
この条件を見つけるのにアダプタ3個くらい買い換えたんですよ・・・当然自腹で。
解りますか?
この写真を見ながらアマゾンで「L39 NEX アダプタ」という条件で検索すると、「あ、これだな」というのが幾つか出てくると思います。
その中の「送料込みで一番安いヤツ」をポチッてください。
では、アダプターが手に入ったら作業に入ります。
まず、内側の銀のパーツを外します。
レンチで3箇所のイモネジを緩めていきましょう。
注意点としては、この先何度もイモネジを緩めたり締めたりしますので、イモネジを痛めないよう、しっかりレンチを差し込んで回しましょうという事。ナメたら終わりです。
外れました。
それでは、内側の銀のパーツだけをインダスター69にセットして、この後の作業イメージを書きます。

解りますか?
銀のパーツはレンズとアダプタを結ぶパーツですから、このパーツの厚みを1.3mm削ればフランジバックを短くする事が出来るんです。
2mmと書いてるのは、27mmというフランジバックも精密な数字じゃないようなので、ややオーバーインフ目に設定してるだけです。
(2014/5/1:27.5mmが正式な規格と教えて頂きました。感謝です。ちなみに私は2mm削るつもりが実際には1.6mm位しか削れていなかった模様)
それでは、銀の金属パーツを何で削るか。
100円ショップでこういう物を売ってます。

ちゃんと金属対応って書いてますよね。
で、メッシュヤスリを平らな台の上に置き、銀のパーツを前後に動かしながら押し付けて削っていくわけです。
このヤスリを3枚、裏表とも使い切ってやっと削れるって感じですかね。
平らに削っていかないとレンズがCMOSに対して傾いてしまいますので、ヤスリを台に固定するのがポイントです。

あと、上にも書きましたが、銀のパーツは削ってる間、物凄く熱くなります。
だから濡らしたティッシュの塊を至近距離に置いておきましょう。
そして、
ゴム手袋なんて簡単に削れますから、滑り止め付きの布手袋の方が良いかもしれません。
ただ、パーツ自体が薄いですから、皮手袋とか、あまり厚手の手袋はやりにくいでしょう。
私は極薄手袋を使ってますが、まぁこれは買い置きがあるから使っただけです。
素手でやるとマメ出来て火傷しますからお勧めはしません。
私は手袋やっててもマメ出来ましたけど。
後はごっしごっし削るだけです。
30秒くらい削ったら、銀のパーツを冷やし、30度くらい回してずらし、再び削る。
これを繰り返します。
秒数は「熱くなって持てなくなったら」と読み替えても良いです。
だいぶ削れたかなーと思ったら、銀のパーツを洗い、外の黒いパーツに嵌め、インダスター69をつけて、実際にNEXに装着してピント合わせしてみてください。
これが何回もイモネジを開け閉めする理由です。
最後の方は「もう良いじゃない」と思うくらい頑張っても、あと少し合わない、なーんて事になりますしね。
私が削り終えたのは1時間位後だったかなあ。
というわけで、単調な削り作業の果てに、
で、ございます。
前後比較しますと、こんな感じ。
銀のパーツが小さいと、インダスター69が沈み込めないなんて事もあります。
ちなみに最初に書いたアダプタの3条件、なぜLレンズでも大事かというと、
銀のパーツが大きく、盛り上がってないとLレンズのロックボタンが押せず、ロックが解除できなくなります。
中古市場でロックボタンがバカになってるLレンズが出てくるのは、段差の無いアダプタを買った人がロック側を削ったのだと思います。
それにしても、生産されてるアダプタを買い換えず、もう生産されていないLレンズの部品を削る・・・まぁコメントはここで止めますが。
次に、イモネジで銀のパーツが回せると、しっかりLレンズと銀のパーツをねじ込んだ後、イモネジを緩めてLレンズが使いやすい角度に調整する事が出来ます。
PENTAXのSレンズは「ネジマウントなのにきっちり停止位置がズレない」脅威のマウントですが、Lレンズにアダプターの場合、普通にズレます。なので、使いやすい位置に自分で調整出来るようになってないと、「面倒くさいレンズ」になってしまうんですね。
アダプタは値段やどこのメーカーかじゃなくて、機能性で選んで吉だと思います。
といっても、この条件に合うアダプタも1500円とか2000円くらいなんですが。
え?
そういや何でNEXって言ってるのかって?
インダスター69は元々ハーフカメラ、つまり35mmフィルムの半分を使って1枚とするカメラです。
なので、35mmフルサイズのCMOSではケラレが出過ぎるんですね。
ただ、ハーフとしては余裕があったようで、APSCサイズではケラレません。
ちなみに、α7で壁を撮ってみたのがこんな感じ。
別にα7でケラレを気にしないで使うとか、APSCクロップで使っても良いんですけど、他のレンズと交互に使う時にAPSCクロップ設定のONOFFはウザいし、絶対忘れます。
HOLGAのように絞りが固定で、気にならないレベルなら良いんですが、F16を普通に使う私は、与えられた機能は気にせず使いたい。
なので、最初からAPSCのセンサを持つNEXと書いたわけです。
え?お前NEX売っただろって?
その通りです。だから買い直しましたよ。3を。
アダプタもレンズも黒でしたから黒のNEX3を買ってみました。
今日時点でフジヤカメラでAB+の物で税込9180円、だったかな。
本当は5Rでも買いたかったのですが、予算の都合上。
まぁ、3ならインダスター69専用構成として使うのも良いです。
NEX3と組み合わせるとインダスター69は35mm換算42mmですから、ちょっと広めの標準。
普通に使えます。
NEX3くらいこなれたカメラだと、肩ヒモでガチガチに使うよりはコンパクトカメラ感覚でハンドストラップ付けて気楽にポケットやリュックに入れて使う方が合ってる感じがします。
肝心の、削った後の写りはどうなったかですか?
まずは無限遠の状態は、こうなりました。
インダスター69は決してダメ子じゃありません。
しっかり撮影出来る、ロシア製のハーフサイズカメラレンズです。
言葉じゃアレなので、他にもサンプル乗せますね。
何で中野の写真なのかといえば、フジヤカメラでNEX3を買った帰りだからです。
表現がかなり優しいですね。あと、色乗りが濃いです。
中野の写真はAWB+スタンダードという一番基本の設定で撮ってますが、これだけ乗る。
アウトフォーカスでトイレンズとされたのも、この柔らかさ、優しさがあったからでしょう。
しっかり写ってると思いますよ。
NEX3との相性も良いです。
全体としてカタマリ感のあるフォルムになり、威圧感も皆無。
操作性も悪くありません。
α7+HOLGAのような、ピントすら合わせる気が失せる粗雑さはありません。
GRDより緩めに、標準域の画角で見たままに、優しく、味のある写真を撮りたい。
そして、α7より肩肘張らずに持ち運びたい。
ただ、最短撮影距離は80cmなので、料理やスイーツ写真には不向きでしょう。
特性から用途をあえて言えば、これで奥様や知人の女性を撮ると喜ばれるでしょう。
毛穴とかくすみとか、見て欲しくない部分がボカされ、優しい風合いで撮れますからね。
普及型コンパクトやスマホよりは遠近感の誇張が少なく、不自然さもありません。
NEXなら威圧感も無く、高画質ですし。動画も一応撮れます。
というわけで、家族のお出かけやデートスナッパーとしてなかなか優秀だと思います。
もしデートが上手く行かなかったとしても私はモチロン責任取りません。
悪しからず。