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2014年07月19日

夜や悪天候でもレンズのピント調整がしたい人へ(広角限定)

こんばんは、銀匙です。

私は以前からレンズを分解清掃したりマウントを改造したりしています。
その時に困るのが、

夜や悪天候の時のレンズの無限遠調整

なのです。
特に標準より広角側。
これはうちの近所が田舎の住宅街ゆえに、

夜に目標とすべき明かりがほとんどない

という事も影響してますし、

朝から作業して無限遠調整をする段階まで進むのが決まって深夜1時とかだから

というのもあります。
ええ、大人しく寝て翌朝やりゃ良いじゃんと思うでしょう?
区切りが悪いと気になって寝られないんです。
それに万が一、フランジバックをミリ単位でしくじっていたら、接着剤が完全乾燥する前に剥がさねばなりません。
Dマウント広角系等は最短から無限まで僅か1.5ミリしかないといった鬼のような精度を求められるので、1ミリずれたら致命的。
一眼の150ミリ望遠とかになればcm単位ですけどね。
まぁそれはさておき、深夜にピント調整をしたいレンズを持って外を見て、真っ暗なので呆然とするわけです。
都内だったら高層ビルとかターゲットにすれば良いんでしょうが、まさかそれだけの為に都内に作業場を借りるわけにもいきません。
じゃあ本業の方はどうしてるのと言えば、コリメーターを使うのが普通です。
ただ、コリメーターデカい。そして安いものでも5万以上、本業の方が使うのは数十万もします。
とてもじゃないですが趣味の金額領域じゃないです。
・・・ええ、α7は15万でしたが何か?

で。
広角レンズ調整用のコリメーターを何とか自作しちゃおうというのが今回のお題です。
試行錯誤の結果、ようやく満足行くものが出来ましたのでご説明します。

用意するのはこちら。
・銀塩一眼レフのジャンク品(まともに動くものは勿体無い)
・上記カメラに装着出来る焦点距離135mmのレンズ、出来ればF2.8
・黒く厚い紙(黒画用紙でOK)
・ざらざらとした半透明のクリアフォルダ(なくてもOK)
・絹針(細い針ならOK)、細身のカッター、極薄両面テープ
・定規、アルコール、ドライバーなどの工具類


まず、Webサイトを漁りまくり、ジャンクの銀塩一眼レフとそれなりにまともな望遠レンズがあれば良さそうだという事が解りました。
で、手に入れたのが、これ。



懐かしきミノルタの銀塩一眼レフ、SRT101と135mmF2.8です。
オークションで100円スタートで、誰も買い手がなかったのでそのまま落札。
この、135mmというレンズは間違いなく「それなりにまとも」なので狙い目です。
なぜか。
銀塩一眼レフの時代、カメラと一緒についてきたのは標準レンズの50mm。
その後、人々が買い求めたのは圧倒的に、28mmか35mmの広角系レンズと、135mmレンズだったのです。
当時、まだフィルム精度は悪く、ISO100が圧倒的に安牌でした。
すると、シャッター速度がどうしても下がってしまう。ゆえに200mmや300mmを買ってもぶれまくって使えない。
手持ちでギリギリ運用できる限界が、事実上135mmでした。
ちなみにPENTAXは150mmという焦点距離のレンズを売っており、これが事実上の限度でした。
でも今、実用ISOは1600を超えました。
300mmレンズなんて安物ズームでも持ってます。そしてそれでもそんなにブレません。
さらにAPS-C全盛の世にあって、換算202mmというハンパに長いレンズ。
風景、スナップ、ポートレートには長すぎ、鉄道には短すぎる。
だから135mmなんて誰も使わない。
でも、当時はまともに作られていた。
何故ならまともに作らなければメーカーとして疑問符をつけられてしまう程、皆が重要視するレンズだったんです。
というわけで、うちに来たSRT101と135mm。
プリズム腐ってますしシャッターも極めて不安定。
僅かな期待を抱きながら分解しようとしたのですが、ああう。
カメラ本体はネジ頭がことごとくボロボロに潰れてます。
うん。開けられないし壊れてるならジャンクだね。納得です。
レンズの方はちょっとカビてましたが、こちらは大人しく分解出来たので、レンズを取り出して1枚ずつ洗いました。
バルサム切れてても対応出来るので開けられりゃこっちのものですが、水洗いだけで完了。
絞りもヘリコイドも至極快調。あっという間に終わってしまいました。
SRT101で慎重に無限を確認し、これを覚えておきます。
うちの場合は無限マーク(∞)の中央部で無限が出ましたので、解りやすかったです。

で。
ここからが改造です。
手を加えるのはカメラだけです。
まず、カメラを後ろから見て、右側面、前半分にアルコールをダバダバかけます。


しばらくしてから表革をぺりぺりと剥がすと、ネジが4つ見えますので、これを外しますと裏蓋が外れます。


次に、シャッターをバルブ(B)にしてシャッターボタンを押し続けます。
ミラーが上がり、シャッター幕が開きましたら、そのままミラーを接着してしまいます。
私は瞬間接着剤でやりました。これはファインダー側からの余計な光を遮る事にもなります。だからこそのジャンクです。


シャッター幕のほうも切り取るか、開いた状態で接着しましょう。


次に、乳白色状にザラザラした、「すりガラスのような」クリアフォルダを持ってきます。
クリアフォルダをフィルムレールの長さに切ります。


実際に置いて寸法を調整します。


極薄の両面テープを銀色のフィルムレールに上下それぞれ貼り、不要な部分を切り落とします。


次に、黒く厚い画用紙を、フィルムレールの内側の寸法で切ります。
(SRT101の場合は3.5cmx6.5cmくらいでした)


そしてシャッター幕の開いた(=フィルム感光部分)の中央部に確認用のパターンを作ります。
例えば等間隔の印をつけ、絹用の針(=とても細い)で穴を開けます。


両面テープにパターンをつけた画用紙を貼ります。
その上から先程切った「すりガラスのような」クリアフォルダを貼り付けます。


カメラに先程の135mmレンズをつけ、適当な三脚に取り付けます。


そしてレンズの方から覗くと無限遠の位置に確認用のパターンが見える、という事です。
これで自作コリメーターの完成です。

では、ピントを合わせたいレンズをどうするか。
レンズをα7やNEXなど、ピント拡大機能があるデジカメに装着します。今回はα7とします。
装着後、必ず絞りを開放にしてください。
自作コリメーターとα7を向かい合わせにします。
注意はコリメーター用レンズを必ず無限位置にあわせる事。


上ではレンズ同士をぴたりと重ねてますが、50mm以下のレンズのピント合わせで、135mm程度の望遠レンズを使うなら、離しても特に影響はありません。

α7側でピントを合わせたいレンズを調節しながら、確認用パターンがにじまない所でセットします。
これで無限遠調整は完了です。
なお、確認用パターンは単純な点の列より、色々な形があったほうが良いかなという気もしました。
なので、私はこんなパターンも作りました。

特に密集した小さな穴と細溝のクロスは良い感じですね。
ピントがずれて滲むとこうなり、

無限遠が出ればこうなりますので。


なお、後ろに貼った「すりガラスのようなクリアフォルダ」は光の拡散用と確認パターンを彫った画用紙の保護用です。
ただ、確認用パターンを貼らず、レンズセットして見るとこう見えます。

まさにフィルム面にすりガラスを置くようなものですね。上下逆像になるのは一眼レフカメラの仕様です。
現在、すりガラスを用意するのは大変なので、このクリアフォルダ式は簡易補助になるかもしれません。

確認用パターンはISO12233のチャートを使っても良いのですが、これをフィルムサイズに「正確に印刷出来るプリンタ」がなかなかありません。
潰れてしまったり間引かれてしまったり。
薄いA4白紙に印刷して、チャートの一部だけ切り抜いて使うのもいいかも知れません。


最後になりましたが、主目的が広角レンズのピント合わせですので、この方式では50mmまでのレンズを対象としています。
それ以上、例えば85mmとかのレンズでは、コリメータ側レンズの焦点距離をもっと望遠にする必要があります。
200mmとかのレンズを調整したければ、600mmとか1200mmとかのレンズが必要です。
一眼レフ用のそんなレンズを用意するなら最初からまともなレンズを買ったほうが安いです。
それでもどうしてもあわせたいというのであれば、中古の天体望遠鏡にアダプタをかまし、上記のカメラを付ける事をお勧めします。
相当場所を取るでしょうけど・・・
ちなみに本当のコリメーターは焦点距離で言うと最低600mmクラスのレンズを使っています。だからこそ高いのです。

なお、標準以下の広角系に限定するとなぜ135mmで良いかという疑問をもたれる方もいると思います。
延々とした説明が必要になりますので私は記しませんし答えません。ただ、ヒントを言えば

焦点距離の2000倍以上を無限遠として良い

というルールを示しておきます。
50ミリなら100メートルより先は無限扱いです。
135mmレンズが識別出来る距離、無限1つ前に刻印された距離、無限遠までのピントリング角度。あとは長くなるので割愛します。
とにかく、50mm位までのレンズなら、上記方法で実際の景色を使って確認するのと同程度には無限遠が出せますよというお話です。
なお、古典レンズとかではぽわぽわ過ぎて無限がよく解らないという場合もあります。
アーガスC3の50mmレンズなんかがそうでした。
この場合、実写しても無限位置がよく解りません。ゆえに神経すり減らしてまで調整する必要はないのです。
ちなみにオートニッコール、OM、XRリケノンの28mm、さらにはタムロンの24mmやFDの17mmでもズビシっと解ります。
撮影する前にレンズ自体の性能まである程度解っちゃうって事ですね。

これで気兼ねなく、おうちの中で無限調整出来ますよ~(広角レンズだけ)
ブログ一覧 | α7とオールドレンズ | 日記
Posted at 2014/07/19 20:31:04

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