無茶苦茶長いタイトルですがこんばんは。
銀匙です。
前回、DIYであれこれやるの楽しいよみたいに書きました。
けれど、DIYすると言うことは自分がプロセスがもたらした結果に付いて一番よく解ってる訳で、あぁ、あそこで妥協したからこうなったんだなとか、あの時こうしてれば寸法が合ったんだなとか思い起こされるわけです。
そういう時にまだやり直せる余地がある材料があり、やり直せる時間があれば、やり直してしまうのが人間と言うものです。
ええ。
3つも作ってしまいました。
左が1st、中央が2nd、右が3rdです。
1stについては前回書きましたけど、要は高さが高すぎる。
あと前に転びやすい=現場でレンズを傷つけるかも。
ただ、持ちやすかった。
なら低く安定感あるデザインを、という事で床面積を広げたのが2nd。
素材も1.2mm厚ポリプロピレン樹脂を型紙を作って9枚切り抜いて重ねて削ってその上から皮を巻くという豪華仕様。
でもボツにしました。
安定するんですけど小指が予想以上に持ち上げられて水平を取りづらい。
水平垂直取りは写真の基本にして割と難しい事ですから、そこを邪魔しちゃアカンわけです。
というわけで1stを低くしつつ出来るだけ床面積を確保したのが3rd。
わざわざホームセンターに行って詰め放題200円の端材を買いに行きましたさ。
というわけで3rdだけ200円かかってます。
で。
やりましたよ。
ほら。
時間ピッタリ・・じゃない、高さピッタリでしょ。
それにLA-EA4後端からボディ下までの僅かな距離もグリップの床として確保したので安定感抜群です。
ちなみに1st~3rdまでどれくらい高さが違うかというと。
こんなもんなんですよね。
ほんっとーにコンマミリ単位で調整を重ねてます。
くそ、両面テープの厚みが0.14センチあったか・・などとぶつぶつ言いながらデジタルノギス睨んで、端材相手にコッピングソーとか電動ドリルにマイクロホールソーとか装填して作ってます。
今まで買った工具代?そんなもの知りませんな。
あと、作ってる途中で皮を縫う糸にはロウを塗った方が後で引っ張りやすいんだったとか色々思い出していくので、1stよりは2ndが、2ndよりは3rdの方が出来は良くなります。
というわけで、3rdで完成。

家で保管する時にもLA-EA4付けっぱなしで良くなりました。
やー良かった。
折角LA-EA4使えるようになったしと表を見れば、そろそろ夜明け。
なら行ってみるかと言う訳でやってきましたゲートブリッジ。
持ってきたのはこの3台。
1台目:
α7s(CMOS)にLA-EA4経由でAF24-85
α330(CCD)にAF28mmF2
DP1X(FOVEON-X3)
ちなみにボディのお値段ですが、α7sがざっくり20万、α330が1万ちょっと、DP1Xが2万弱という感じ。
文字通り桁違いですα7s。
では、その時の心境なんかを交えて。
まずはα7s。
やぁやぁまだ空は真っ暗だね。
おっ、明かりに合わせればこんな夜中でもさくさくAF決まるねぇ。
うん?ISO上限上げすぎたか?
いや普通だよなぁ・・
橋の誘導灯は短い時間で点滅するからシャッターあわせるのが大変やね。
それにしても・・
手持ちでさくさく撮れるのは凄いけど・・凄いけど・・
空とか、なんか10年前の300万画素コンデジ並みに荒れてない?
あぁ、そろそろ日が昇って来たか。
ふんふん。
うん。まぁこっちは見られるレベルだね。
では、同じ時間帯をα330と過ごすとどうなるか。
はは、夜中だから手持ちなんて論外だね。
じゃあ三脚立てて、エレベータは使わずに・・と。
あ、あれれ?まだブレてる。
三脚のネジは・・緩んでないよな。
あーシャッターボタン押す時の指の圧力のせいか。
じゃあセルフタイマーかけて・・っと。
それでも長秒シャッターだから成功率少ないなあ。
ブレてないのは5枚に1枚くらいか。
マンフロットのミドルクラス三脚だからそんなに揺れないと思うけど、やっぱりアルミだからなぁ・・高剛性のカーボン三脚とか買わないと成功率は上がらないんだろうなぁ。
お、そろそろ日が昇ってきた。
あははは、CCDすげぇ。
こんなしょぼい背面液晶でもちゃんと描いてるのが解る。
三脚車に置いて、24-85に付け替えてちょっと歩いてみるか。
ボディも軽いけど、撮った時の音も軽くて静かだから気にならないねぇ。
あ、飛行機。
やっぱり雲の描写が良いねぇ。
さすがCCDは繊細やね。
ISO上げられないから日の出の前はどうにもならないけど・・
では最後に、DP1Xの場合。
さぁて、やってきましたよっと。
じゃあ三脚立てて、水平取って、DP1X乗せて。
夜中にAFなんて無理だからMFの・・無限遠っと。
撮影はインターバルタイマーを・・1分毎に50枚で良いか。
よし、後はほっとこう。
・・・お、50枚終わったって事はここにもう1時間くらいいるんだ。
そろそろ日の出だね。
バッテリー1本目が切れそうだね。2本目行くか。
三脚は置いて、胸ポケットに入れて散歩でもしようか。
・・・まぁ何枚か取れたね。
途中でバッテリー2本目が切れて3本目も1コマ減ったか。
そろそろ帰ろう。
さて、現像だ。ちゃんと写ってるかなあ。
・・・んー、雲の具合とか良い感じなのはこれかなぁ。
あ、現像してみると大した事無いね。じゃあこっち・・・
(1時間経過)
んー、朝の色具合ってどんなだったかなあ。
まぁ良いか。今良いと思う調子で整えてしまおう。
よし、まずは夜中。
といってももう明け方の方に撮れた1枚だね。
まぁ良い感じに仕上がったかなぁ
次が・・日の出の後か。水面もFOVEONだと結構良い感じだよね。
これは散歩の時の1コマだったっけ・・日の出以降はさくっと手持ちでこういうのが撮れるからDP1Xさんは偉いなあ。
でも一番印象的だったのはこれかなあ。
撮った時は普通だったんだけど、現像でX3FillLight上げてビックリしたんだよね。
やっぱり雲を撮らせたらDP1Xが一番かなぁ。
でも70枚の現像で1時間ちょっとか。目がしょぼしょぼしてきたし、当時の印象なんて忘れちゃったよ・・寝るか。
如何でしょうか。
まず、α7sのラチュードが深ぇ深ぇと騒ぐ向きがあったのは、あくまで「現行のCMOS搭載モデルの一眼としては」だと思うんです。
実際RAWで弄ってもJPGで撮ってもほっとんど変わりません。
飛んだり荒れた所は救えません。
それでも、昼夜問わずAFの手持ちで撮れるから便利なカメラ。
私はやっぱりそういう評価になります。
誤解して欲しくないのは、「便利なカメラ」というのは現代においてもとてつもなく偉大である、という事です。
ハッキリ言えば、このカメラを越えるCMOS一眼レフなんてありません。
α7だろうとα7Ⅱだろうとα7Rだろうとその他だろうと、です。
簡単に撮れる。
この一言をユーザーに実感させる事がどれほど難しいか。
世の中には、簡単便利を謳うカメラは星の数ほどあります。
ですが、例えばそうしたカメラの1つであるIXY160で、それもまだ優しい日の出直後の時点で撮ればこうなります。
これがまだ「上手く行った方」です。
それこそ気を抜けばあっさりこうなります。
IXY160は手振れ補正も付いてる、つい最近まで売っていたカメラですよ、念のため。
安価なコンデジは簡単便利ではありません。
とんでもないスキルを人間に求める、大変難しく不便なカメラです。
撮影を簡単にするのはカメラ自身が大変優れてなければならない。
最新の技術を使えば良いと言うものでもない。
ノウハウと試行錯誤と方向性と技術のスペックが揃わないと成し遂げられない。
α7sは20万の価値があるカメラです。安くなって欲しいですけど。
いかなる時にも手持ちで撮りたい、簡単に撮りたい。
それを本当の意味で叶えてくれるカメラは、2016年現在α7s系しかないでしょう。
ただし、あまりにも最先端ゆえ、α7s系はまだ発展途上です。
Ⅱで完成が見えてきたα7系やα7R系とは異なります。
また、α7sⅡの受光部は変わってないし、あの値段ですから、手振れ補正だけに倍払う価値は無いと思います。
α7sでも手振れが大きな問題になる事は無いですし、仮にα7sでISO12800になるのが手振れ補正機能によってα7sⅡではISO3200で撮れたとしても、上のような真夜中の空の写真の荒れ方はそう変わりませんし、被写体が動く事によるブレは手振れ補正ではどうにもなりません。
今またα7sがジワジワ値上がりしてるのは、α7sのディスコンが見えている中、高感度で夜中に撮れるという価値に支払って良い上限がα7sの今の値段であり、α7sⅡに対しては嘆き節しか聞こえてこないのはそういう事なのだと思います。
最終的には日の出以降に出せる絵くらいは光の少ない真夜中の空に対しても吐ける位の受光部を開発して欲しいですね。
それがα7sの価値と言うか、進化方向だと思うんです。
α7sはいつぐらいに本当の意味で完成するか。
私は受光部があと1か2世代進んだⅣかⅤくらいかなと思います。
多分CMOSベースだと完成しないでしょう。
それくらい難しい事をα7sはやろうとしています。
何かって?
人間の目と脳の受光処理能力をもっと正確にデジタルで再現する
って事です。ある意味、神の領域です。
今のα7sでも光の多い、たとえば街中の夜であれば問題無いと思います。
空のように輝度が少なく、極端にコントラストや彩度が繊細な物を夜中に撮るとざらざらになる、そういう事です。
ちなみに上の状況にNEX5Rや6を持っていっても撮影者は肩をすくめるだけですよ。
α7sは-4EVまでAF出来ますが、NEX系やα7系、α7R系は0EVまでしかAF出来ません。LA-EA4なんかつけたら絶対フォーカスが合いません。
だから私はNEX5Rや6にUWHやJupiter3といったマニュアルフォーカスレンズを付けるんです。
ボディ的にAFが無力化したら、例えばSEL1018といった現在のAFレンズは役立たずですよ。
なにせフォーカスリングがバイワイヤ式で永久に回せる為、無限が解らないですからね。
次にα330。
これはα330に限らず、いわゆるCCDタイプの一眼全般に言える事ですが、とにかく夜の撮影は話になりません。
上ではわざと触れませんでしたが、自らのミラーショックで像がぶれる訳です。
手振れ補正をONにしようがOFFにしようがそう変わりません。
この辺りがNEXのようなミラーレスに駆逐される原因にもなりました。
NEXなら同じISO400でもミラーショックが無いので歩留まりが上がるんです。
APS-C受光部というのも変わりませんしね。
だからCCD機は夜に対して無力です。
ただ、高感度に強いCMOS万能説によって黙殺された、推奨最低感度での繊細な追従性というのは、主に自然現象を撮影する時に如実に現れてきます。
α330の場合はどうやら推奨最低感度はISO200のようで、ISO200でAF24-85なりAF28F2を軽く絞って撮ると実に良い絵を吐きます。
コンクリートに塗ったペンキや大理石のような極端で一律な彩度とコントラストならば、CCDでもCMOSでも見られるレベルは超えるでしょう。
だから都市で撮る分には差は見えづらい。
しかし自然に対しては、CCDはjpg撮って出しであっても明確に優位性がある。
惜しむらくはSONY/MINOLTAがフルサイズCCDのカメラを作ってくれなかった事ですかね。初代α900がCCDなら飛びついたんですが、あれはすでにCMOSでしたので。
この比較論はGRDigital4とGRにも言えます。
1/1.7型「CCD」受光部を持つGRDigital4に対し、APS-C型「CMOS」受光部に切り替えたGRは、GRDigitalで確立した最大の特徴である完璧なまでのホワイトバランスと描写力という2点を一気に失い、ついでに1cmマクロまで失ったわけです。
おまけにレンズはグリーン多重円がべったり乗るゴーストが出るので、話にならないほど逆光耐性が下がりました。
上で書いた通り、都市のスナップショットなら失ったポイントはさほどの欠点になりませんが、たとえ街路樹や高層ビルに阻まれた空であっても、自然な物体にレンズを向けた時点でアウトです。
すぐ解りますよ。だからGRやGR2の中古価格はだだ下がりじゃないですか。
GRDigital4の中古はようやく3万円を大きく切って2万9千円台になりましたけど。
寡黙な天才で完璧な執事であるGRDigital4と、変に世間に擦れたガキがチャラけて執事服を着崩してるかのようなGR。
GRDigital is Dead.
あぁリコー、まったくなんて事をしてくれたんだ。
GRD4のままGRD5,6と進化してれば今頃DPクアトロと勝負出来てただろうに。
最後にDP1X。
これほどまでに見て解る違いを叩き出すDP1Xは孤高で、恐ろしい。
FOVEONはCMOS系ですが、その仕組みは独自であり、またミラーショックの無いコンデジシステムは、真夜中であっても三脚さえあれば平然と一眼を置いてきぼりにするハイスコアを叩き出します。
ただしその運用は非常に癖があり、現場では確認できず、現像を要します。
撮影と現像は絶対に一体である事が求められます。
そして現像が終わった時が撮影の終了であり、シャッターを押した瞬間の色を、彩度を、コントラストを、そして何より何を表現したかったかを現像の時まで自分が覚えていなくてはなりません。
それはまさに写真部に通う学生がモノクロフィルムをカメラに詰めて撮り回り、自分で暗室で現像した、あの運用スタイルです。
プロ写真家がそうしてるかどうか解らないのであえて写真部の学生と書きましたけどね。
まぁ要するに長いです。手間隙かかります。
70枚撮っても現像し終えて残すのは5枚くらい。
それはインターバル撮影等で同じような写真を量産するからです。
このシーンを一番よく撮れてたのはこのショット、みたいな感じですからね。
現代のjpg撮って出しで満足というカメラとは全く違います。
でも、DP1Xの価値は、実はそのプロセスの長さかもしれません。
撮影した時、後で現像の時にうまく写ってると良いなあと願い、家で素の状態を見ながら、現像でうまく化けるかと期待を膨らませ、パラメータをちょこまか弄って出てきた絵に改めて驚く。
これこそがシグマの提示したかった写真という趣味の形なのかもしれません。
このスタイルだと、たとえばX3FillLightを極端に上げたり、カラーバランスを弄ったりと、およそその時の現実とかけ離れた仕上げになる事もあります。
それが楽しかったりしますし。
でも、現実を現実のまま写しているカメラなど、実は無いのです。
よく、このレンズは線が細いとか、エッジが立ってるとか、コントラストが硬いとか、彩度が高いとか言うじゃないですか。
Aという現実をレンズという関数を使ってボディを通じてデータに変換するのが撮影ですから、レンズを通した時点で現実のままにはなりません。
ただ、DP1Xのスタイルは、いわゆる一般的な現実の取り込みという撮影を超えてますし、撮影者に「現実はOOだったけど、俺はXXと表現したい」という事を覚えて置けと強いる時点で、扱いが面倒だと感じるのだと思います。
ちなみに言えば、プロ写真家はほとんどAdobeLightroomを使って「雑誌や写真集で見た時に映えるように」極端な2次加工をします。
ですから、DP1XとSigmaPhotoProどころではないエグい加工も日常茶飯事ですので、実はレンズなんてその範囲を写せればいいと仰る人もいます。
写ってる物なら消すなりボカすなり料理出来るけど、写ってないものを描く事は出来ないからねぇ。
その方がそう仰ったこの一言が、いかに現像過程で大量の2次加工がなされているかを暗示しています。
ですからまぁ、私は写真雑誌や写真集の撮影機材なんて、今となると情報不足だなあって思うんです。
現像するのに何のソフトを使い、どんなパラメータをどんなツールを使って弄ったのかも示さないと、本当にそのボディとレンズ買って来て、そのF値とシャッターとISOで撮ればそんな凄まじい1枚撮れるの?と思うような写真ばかりですからね。
この差異が、写真という趣味に金を注ぎ込んでも期待したほど良い写真が撮れなかったといって肩を落として去る人を生み、それが写真業界全体の凋落を生み、挽回しようとますます高性能をうたい、その為に2次3次加工を重ねるという悪循環になってることに、そろそろ業界の長老であるニコン・キャノンは気づいて欲しいし、止めて欲しいですね。
是正する技術はすでに揃ってると思うのです。
なお、上の写真は、α7sやα330の奴はjpg撮って出し、DP1XはSigmaPhotoProで現像しただけです。
記事を書いて収入がある訳でもないですし、アクセス数で稼いでるわけでもない私は読む方を騙す必要も理由もありません。
ただ、見捨てられた技術にも良い所がある事を知って欲しい。
写真の世界は古い物にも目を向ければもっと広げられる事を知って欲しい。
願わくば、それらを必要としてる人に届いて欲しい。
それだけです。