
こんばんは、銀匙です。
さて、SONYのEマウントレンズはNEX3の発売当時に比べれば随分とにぎやかなラインナップになったのですが、銀塩時代のミノルタレンズラインナップと比べると大きな穴が存在します。それは
28mm単焦点レンズの少なさ
です。
先日紹介したSEL16F28も換算24mmですし、E/FE全て見回しても28mm単焦点はFE28mmF2.0の1つだけ。
そしてこのレンズも別にGとかでもなく、ワイコンとか付けて遊べますよ的な、あまり力を入れている気配が感じられないレンズです。
別にミノルタ時代を回顧したいわけではないのですが、私はずっとGRDigital4が手放せない、写真の広角といえば28mmという人間です。
そして28mmという画角に相応しい使い方といえばフットワーク、つまり自分が歩き回って近寄って離れてを繰り返して撮影するので重たいレンズは似合いません。
ゆえに銀塩時代から最新、一眼から引き延ばしレンズまで、特に小さくて軽そうな色々な会社の28mmレンズはだいたい手を出してきましたし、気に入らない物は下取りに出して整理しているのですが、これがなかなか残らないのです。
GRDigitalと同じメーカーであるリコーのライカMマウント用のGR28mmも買いましたが、α7Ⅱでもマゼンタ転びが酷くて使いこなせませんでした。
なのでいつまでもGRDigital4を手放せずにいますし、GRは1から3まですべて買いましたが、全部気に入らず1ヶ月と経たずに手放しました。
本当にGRDigital5が出ないかしらと肩をすくめるしかありません。
私が現在手元にフルサイズボディとして置いてるのはα7SⅡで、これはほとんどバルナックライカレンズ専用機と化しているのですが、マウントアダプタを豊富に揃えたとしても小さいレンズを求めればフランジバックが短いレンジファインダーレンズかミラーレスレンズを求める事になります。
換算24mmのSEL16F28や換算30mmのSEL20F28があんなにパンケーキなのはその辺りの焦点距離がパンケーキとして作りやすく需要もあるからだと思うのですが、なぜかソニーはAPSCなら18mm、フルサイズなら28mmというレンズを出してくれない。
24mmと28mmと30mm(35mm)は全部意味の異なるレンズなのですが、24と30があるから28は要らんと判断されてしまったのでしょうか。
24mmは複数ラインナップしているというのに、とても残念でなりません。
そして先程示したSEL28F20は実は何度も買いに行っては店頭で唸って結局買わないレンズの代表格なのですが、何故かといえば鏡筒が長過ぎ、そしてボケが汚いのです。
さらにいうとミノルタ時代のAF28mmF2を持っていて、そちらの方が描写や色表現は遥かに良いのです。LA-EA4経由前提になるので御世辞にも小さいとは言えませんが。
どうしてLA-EA5はあんな中途半端なまま捨て置かれているのか理解に苦しみます。ミノルタのラインナップをカバーするつもりがないなら、LA-EA5で全てのEマウントボディでコントラスト検出AFで良いからとりあえずAマウント全部AF化出来ますよとファームアップすれば今開いてる幾つもの穴をカバーできると思うのですが。
一眼レンズでも例えばオリンパスのOM28mmF3.5のように、写りも良く鏡筒が短くコンパクトなレンズはあります。ただ、直接OMボディで使うならともかく、OMマウントとEマウントのフランジバックの差が結構あり、α7SⅡでマウントアダプタを経由すると長物になってしまうのです。
オリンパスはオリンパスで社内が大変な事になって、フォーサーズ規格にとらわれすぎてフルサイズを出さないので折角のOMマウント規格が死蔵されてるとか色々ありますけどね。
フォーサーズで友達だったはずのパナソニックはシグマと共にライカバヨネットL規格でフルサイズ路線に乗っちゃいましたし。
じゃあ今まで買った中で良かったものは何かといわれると、
1)ORION15-28mmF6(L39マウント):
→圧倒的に軽く小さく、ライカマウントなのでアダプタも短く、写りも良い。ただし解放Fが6とかなり暗いし、パンフォーカスの実用はF8から。せめて解放F4ならと思う。逆光のゴーストとボケのざわつきに注意。なお今はまず売ってない。
2)OM28mmF3.5(オリンパスOMマウント):
→軽く小さく写り良し、ただしもともと一眼のOMマウント用なのでアダプタが長いのでα7での取り回しは普通。少々ボケがざわつく。最近妙に高騰中で店頭で見なくなった。
3)MINOLTA-AF28mmF2(ミノルタAマウント):
→写り良しボケ良し。一眼レンズとしては小さい方だがLA-EA4前提となるのでデカいし重い。まともな個体はほとんど見なくなった。
次点)MINOLTA-MF28mmF2.5(ミノルタMDマウント):
→写り良しでとても安価。一眼レンズなのでアダプタ長め、レンズ自体も長め。逆光のゴーストとボケのざわつきは多め。MDレンズの中でも割と珍品なので店頭であまり見かけない。
こんな感じです。PENTAXのSMC28mmもレンズ自体は小さいのですがいかんせんM42にしろAにしろフランジバックが長い。同じ理由でニコン・キャノン・リコーのレンズも候補から外れます。
フランジバックの短さだけなら圧倒的にライカですがズマロンにしろズミクロンにしろ、もはや狂気の沙汰のお値段となっています。
例えばズマロン28mmF5.6なんて46万、ズミクロン28mmF2に至っては80万とか100万とかそれどこの中古車って感じです。
MのELMARIT28mmなら中古で15万くらいからあるよっていう情報が妙に安く聞こえますけど普通に考えたら高いですからね。
唯一買えそうなのはL39の35mmズマロンでしたけど、そもそも28mmではなく35mmですし、それでも中古で7万です。
そういう意味では1のORION15は売っていれば中古で4万くらいですが、アルミ鏡筒が黒く腐食しやすく程度が良い物がまず出てきません。最近では店頭で見ること自体無くなってしまいました。
20mmルサールは再販されたのですがオリオンは出てこないですね・・
なのでSEL28F20で妥協しようかと思えば中古で3万くらいで買えてしまう。
焦点距離を2mm我慢すればSEL16F28なら1万円以下です。
単焦点に拘らなければSEL1855なら1万少々です。
いかにフットワークが軽くなるコンパクトな28mmレンズというものを欲すると酷い事になるかが解りますね。
なので前回はSEL16F28とNEX5Rというコンパクトなコンビを組み合わせてみた訳ですが、やっぱり欲しいんですよね、ちゃんと撮るための28mmってのが。
大きさだけなら少し前からアマゾンで見かける、中国製の某28mmF4.5のレンズなんかは結構良い線いっているのですが、致命的な事に絞り機構がなく、よりによって中途半端なF4.5での固定と解った時点で候補から外れました。
この辺りをカメラ屋の店員と話したのですが、たとえば最近中国製レンズメーカーでライカレンズのレンズ構成を丸パクリして10数万の値段をつけてたりするのですが、初動は良くてネットで評判になるも、少し経つと中古市場でだぶついて程なく新品が売れなくなるというパターンに陥るそうです。
そしてその中国から今も大量に転売ヤーが日本や欧米のレンズを買いに来ると。
現在は特許社会ですから、全く同じ形や機構にすると訴えられ、膨大な賠償金を払う事になります。
なのでフォーカシング機構で動かすレンズの枚数を変えたり、レンズ形状をほんの少し変えたりしているようですが、そこで弄り過ぎて肝心な描写やボケまで台無しにしたり、その形状なら必要ない筈のフォーカスロック機構をつけたりと、どうにも対応にチグハグな印象があります。
結局彼らは特許だけ小手先の技術で回避しようとするから、その製品がなぜそういう形をしているか、なぜそこが動くのかという意図を理解していないのだろうと店員は言っていました。
確かにCCTVレンズにライカ風フォントを印刷しただけの数年前の製品に比べれば製造精度は上がっていますが、進歩には光学的、あるいは使い勝手を意識した設計をする気があるかどうかが重要ですし、だとすればタイヤ同様、現在の中国製品にあまり大金を投じることに意味はないと思います。
刹那的に特許を回避した、安さだけが売りの見掛け倒し的製品のままなら、です。
韓国に関しては例えばサムヤンはMFに限ればかなり良いレンズを作っていますので、中国よりは技術をモノにしている感じがします。怖い怖い。
景徳鎮や料理、酒などを見れば分かるように、元々中国人は器用で頭も良く努力できる人達です。なのになぜ刹那的で短絡的な詐欺を働くことだけ本気になり、技術を会得しようとしないのか。
鄧小平があれだけ先進国の工場や企業を誘致したのに、クマのプーさん時代までかかっても何も変わらないのは勿体ないなあと思ってます。
戦後の現中国政権が国民同士を疑心暗鬼にさせる政策を止めない限り、刹那的に他人を騙して生きていくやり方は変わらないのかもしれません。
もっとも、本気で変わったら変わったで日本が没落するので困りますし、日本や欧米、ロシア、インドだって中国の事言えるのかといわれると黙るしかないです。
ポル・ポト率いる旧カンボジア軍事政権なみに冷酷な共産党政治になったのも、あまりにも多民族すぎる状況を力で押さえつけるしか内政安定策が無かったともいえますし、結果として賄賂で役人が堕落し、漢民族への恨みが集まり、そこに日本以上に急速な少子高齢化が襲っているとかそこまで話を広げてどうするんだ私。
さて、話を元に戻しまして。
そんな訳で28mmレンズ探しを続けている中で、今回買ったのがフォクトレンダーのCOLOR-SKOPAR 28mmF2.8というレンズです。
私が買ったのは写真の通り、Type1というバルナックライカ風味の強い外装を持つシルバーの個体で、マウントはVM、つまりライカMバヨネットマウント。
新品です。
何故かというと全然中古が出てこないんです。
L39マウントとかType2はいくばくか出てきましたが中古でも新品Type1のVMマウントよりはるかに高いんですよ。
そうこうしてるうちに新品在庫までどんどん売り場からなくなっていて、これは在庫があるうちに買うしかないと思い、中野のフジヤカメラさんで買ったのでした。
支払った値段は大体52000円。
下取り値引きとかあったので恐らく最安値に近いと思います。
ちなみにSEL28F20やSEL20F28で妥協していれば中古で3万少々。
それに比べれば高いわけですが、居並ぶライカレンズのプライスタグを見ていると文字通り1ケタ安いわけです。ライカレンズって中古でも2桁万円ですし。
で、買う前に心配していたのが鏡筒がシルバーであるがゆえの色のマッチング。
SEL16F28の時にも言いましたが、ボディが黒一色でレンズがシルバーって微妙に浮くんですよ。
もっと困るのはα7Cのようにボディにシルバーが配色されていても、そのシルバーとレンズのシルバーが微妙に色が違う場合。正直これが格好良くない。
ただ言ってしまえば格好の問題なので性能優先で考えればどうでもいいのです。
もちろんフォクトレンダーというかコシナはその辺もフォローしていて、COLOR-SKOPAR 28mmF2.8は全てのバージョンでブラックペイント版があります。
ただ、1万円以上高いんですね。
性能全く同じなのにお値段高いって私は納得できないんですよ。
あれば中古で全く構わないですし。
なのでシルバーを買ったわけです。
じゃあどうだったかというと、
意外と浮かなかったのはひとえに銘板と標準添付のレンズフードがブラックだったからでしょうね。
SEL16F28でもそうでしたが、銘板とフードが黒いと黒ボディに割と溶け込んでくれる気がします。
あとはこのシルバーの質感がプラスチックに銀色塗りました的な銀色ではなく、重さを伴った鈍い銀の発色という事もあると思います。
私はコンパクトさを求めてType1にしましたが、工夫にもなりませんがEマウントとVMマウントを埋めるアダプタにはヘリコイド機構がついています。
そして普段はアダプタ側のヘリコイドでピントを合わせているので、このレンズ自体についているフォーカスロック機構はどうでも良いといいますかマクロ撮影の時にしか使っていません。
ただ、ライカ本家よりロック機構の解除もロックも滑らかで力がいらないので撮影の邪魔になる事は少ないかと思います。
また、Type2は直進ヘリコイドになった以外にアルミを多用していますので、僅かでも耐久性を求めるならType1に分があると思います。
ただまぁ、初代UltraWideHeliarはもう修理不能となりオーバーホールまで拒否されましたので、コシナさんの会社としての姿勢には疑いを持ってますけどね。
ライカレンズを作る会社なら製造終了後1世紀は修理可能にしてもらわないと(ry
肝心な写りの話になるのですが、さすが最新設計の新品レンズ。
ピントピークのきちんと出た描写は鋭く、発色はやや青っぽくも豊かです。
青空を多めに入れた風景写真とか良さそうです。
ボディ側でコントラストを上げて彩度を落としても良いですし、逆にコントラストを減らして彩度を上げても良いです。
花や人物目的なら赤に転ばせても良いかもしれません。
外観はレトロでも中身は最新。ボディについていけるレンズです。
もっとも、私は1200万画素しかないα7SⅡで撮影してますので、α7RⅣとかの超高画素機で撮影してどうなるかは知りません。
ただ、ライカ自体が6000万画素機などを投入している中での新品ですから、相応の高画素対応はされてるとは思います。
1枚だけ雑なサンプル。フロントガラス越しに撮ってますが撮って出しです。
ナンバーだけは塗りつぶしましたけど。
オールドボルボの青のグラデーションやビルのガラスの質感など、私は現代的なレンズ設計だなあと判断しています。
確かF5.6位ですが、ボケもガサガサしてないですよね。
というわけで、私は総じて良いレンズと評価します。
解放Fが2.8を気にするかもしれませんが、風景やスナップシュートならF8以降まで絞るでしょうから1.4でも2.8でも大した問題ではありません。
何より写りが良くてコンパクトな事が重要です。
唯一星空撮影なら解放F値が物を言うかもしれませんが、その時はα7SⅡの最大ISO40万まで可という仕様に物言わせてF3.5か4位で撮ろうと思います。
もっとも、夜景ならRX10M3やRX100のM3以降で撮る方が良い結果になるでしょうけど・・彼らは普通に天の川撮れますからね。
まとめれば、軽快なフットワークを28mmに求める場合、Eマウントユーザーは難民になりがちですが、COLOR-SKOPAR 28mmF2.8を頼ると幸せになれる可能性が高いですよ、という事になります。やっぱり中古市場で見かけないレンズは名品が多いですね。
あ、当然ですがこのレンズはMFです。
AF機構は入ってませんのでご注意を。
また、Type1に関して言えばフィルタ径が34mmととても小さい為、プロテクタでさえ入手性に難がある事に注意です。
では、では。