2025年10月13日
こんにちは、銀匙です。
今回は色々な理由があって写真はありません。
この連休中、面白いレンズないかしらとカメラ屋の店舗を巡ったり、サイトを漁っていた私ですが、特に中国製のレンズで気になった事があったのでお知らせしようと思います。
最近、特にレンジファインダー用のレンズにおいて、例えばライカの過去の名玉と同じような外見と似たような構造を持つレンズ、あるいはMS-OPTICAL製の超薄型レンズを外観だけ模して別のレンズ構成を入れたといった、似て非なる中国製レンズを店舗でもネットでも見かけます。
過去の中国製レンズと言えば監視カメラの先っぽを切り落として来たような朴訥とした形状で、安価で、ただCCTV用らしく画角が広く作ってあるので安価な超広角レンズ~標準レンズ、という物が多かったです。
明るくもあったので星景写真の分野でも試されたりしてましたし、私も幾つか試しましたが描写は芳しくなかったのを覚えています。
さて、そうした過去見かけた物と今見掛ける物の明らかな差は値段です。
例えば過去から売っていて、今でもAmazonで売っているTTArtisanというメーカーの50mmF2はソニーEマウント版で1万5千円くらいです。
しかし、最近発売されたThypoch(タイポッシュ)というメーカーのEureka 50mm f2というレンズは真鍮製だと14万円します。
10倍です。
ここまでなら別メーカーの別製品なんだから・・で済みますが、わざわざ書き起こしたのはその買取値にあります。
前者の買取値は1000円。たった6%での買い取りです。
ただ、絶対金額が安いおかげで1万4千円の差額ですからまあまあ仕方ないかくらいで済む訳ですが、後者の買取値は何と1万6千円。
たった11%での買い取り、差額は12万4千円に達します。
1万5千円を1000円で買い取られるのも悲しさはありますが、14万で買ったものが新品同様でも1万6千円にしかならないのはさすがにショックでしょう。
ええ。
これら中国製レンズは口先だけ上手く、ロクに使いもしないで提灯記事を量産する自称カメラマン達の手で、発売当初は賞賛が沢山寄せられていました。
しれっとメンズエステのCMとかにも出てくる勘違いした連中のことです。
自動車評論家にも居ますよね。ああいう手合いです。
しかし世間の評価を最も克明に映し出すのは買取値であり、それがこれだけボロカスであるという意味は製造上の不良品が余りにも多くてゴミ扱いされているか、性能が大した事ないかの2択ですが、このレンズで前者の噂を聞いた事はないので後者となるわけです。
※前者の例はトキナーのFirin20mmF2です。片ボケ個体ばかりでまともな個体を見た事無いとまで言われており、新品さえ投げ売り状態です。
では中国製ではないレンズの例を出しましょう。
例えば日本製のVoigtlander(フォクトレンダー)のAPO-LANTHAR 50mm F3.5 Type I VM マットブラックは新品9万に対し買取値は3万と、大体1/3。
差額6万。
このように通常は大体新品の3割での買い取りが相場でしょう。
なかには同じVoigtlanderのAPO-LANTHAR 28mm F2 Aspherical VMのように、売値約13万円に対して買取値9万円というものもあります。
会計した瞬間に3割落ちるのはなんだか日本車みたいですが、これは割と高く買ってくれるケースです。相当人気なのでしょう。
他には本家ライカのズミクロン M 50mm F2 ブラック(11826)は新品42万円の買取値18万円。
元が高いので絶対的な金額差(24万)に震えますが、一応4割での買い取りですから良い評価と言えます。
同じく本家ライカのエルマリートM f2.8/28mm ASPH. ブラック(11677)は新品40万の買取値22万なので、こちらは50%を超えます。
絶対的な金額差(18万)に私は尻込みしますけど。
すごいなライカレンズ買う人達って。
これも外車の買う時と売る時を見てるみたいではありますが・・
ちなみにソニーのFE 50mm F2.8 Macro(SEL50M28)の場合、新品で5.7万円の買取3万円。約52%での買い取りで差額は2.7万円。
タムロンの17-50mm F/4 Di III VXD (Model A068)の場合、新品8.6万の買取4.9万円なので約56%での買い取り、差額は3.7万円。
どちらも優秀ですね。
このようにカメラのレンズは「必ず買った値段より買取値は落ちる」ので投機商品としては失格です。
時間が経って値上がりするのはライカのごくごく一部の超人気レンズ位です。
先日復刻されたあれも買った直後に売れば大損です。
今後何十年と経ったときに上がるか下がるかですが、それは投機というより歴史の観察者的な感じです。遺品として譲り受けた孫が喜ぶか否かという感じ。
カメラのレンズを使って個人で短期的に儲けようとすれば、程度の悪い品を安く買い、程度が良いと騙して売るしかありませんが、それでもトントンがいいところでしょうし、一発で出品者として最低評価と大クレームを食らうでしょうから割に合いません。
ちなみにオークションで商売してる人の儲けの大半は送料から出ています。
出品価格は競争の争点ゆえ、”上”から買い取った値段にオークション使用料を乗せたギリギリをつけますが、送料は梱包材あわせても800円程度しかかからないところ、1200円だの1500円だの取っても目立たないので、その数百円の固定的な儲けを得るわけです。代わりに出品数を膨大にする。ちりも積もればってやつです。
送料無料なら出品価格に送料分を含めているだけです。
もし競合と同じような価格なら程度が1ランク低いのでしょう。
今のオークションはもはや個人がちょっと私物を売ろうかな、なんていうケースはほとんどなくて、大体は送料とかで稼ぐ人達で、その供給源は買い取り屋とかリサイクルショップ、そんなビジネス構造ですので売値も程度ごとに自然と揃いますし、買う側としては幾らだから程度はそんなもんかと解るほどであり、当然良い物が安く手に入るという幸運もほぼありません。
だって少し私物整理しようと思う人が古物商の免状なんて取りませんよね?
ちなみにメルカリはもはや犯罪者の盗品市場ですから品物の状態なんてお察しですし、巻き込まれる可能性がありますから手を出さない方が良いです。
何で出品物がキャリングケースに収まったカメラ本体とレンズだけでマニュアルも充電器もついてないかって、そりゃ旅行者が観光中にカメラと一緒にマニュアルや充電器を持ち歩かないからですよ。
それで日本で売ってない筈の海外版カメラだった日にはもう・・
門司か苫小牧か関空か成田かTDRか万博会場のどこで盗んだんだ、ってね。
話がそれました。
まとめると、まず幾らメーカーがハイブランドになりたくても、現時点で世論は中国製レンズの描写を全く評価していないという事です。
描写の良いレンズは中古に出にくい(買った人が手放さない)し欲しい人が多いので値段が上がるという、実にシンプルな構造です。
逆に少量仕入れた分さえもなかなか売れないレンズなんてカメラ屋も買いたくないからどんどん買取値を下げる訳です。
買取値は買った値段より大幅に下がるもの、という常識を持った目で見ても中国製レンズの買取値の低さはあまりにも酷いので、よほど歩留まりの悪い不良品レンズという噂が無ければ、実力がなくて売れてないレンズ、というサインと読める訳です。
これが例えばHeliarHyperWideのように35mmフルサイズ用の10mmF5.6といった超尖り散らかしたスペックのレンズなら、広角過ぎて使いこなすの難しいからなあという手心を加える余地がありますが、50mmF2は定番中の定番ですから適用できません。
こんな定番でよくここまで低い評価を出せたな、とも思います。
恐怖への興味に対して13万円捨てるのは惜しいですから買いませんが、レビューの数少ないサンプル写真を見るだけでも「あ、こりゃダメだ」という物がちらほらありましたので裏付けも取れたわけです。
私の印象ではCCTV用レンズの設計思想から離れられていないと思います。
どうしても確かめたければ1万5千円のレンズを買って20枚も撮れば解ると思います。
今回は高価でも中国製レンズって結局CCTV用レンズだからつまんないし買い叩かれるから買わない方が良いよという話でしたが、どの国の物、どのメーカーの物でも、新品が高価なレンズだからといって良い物とは限らないし、紹介記事の文章はあてにならないからサンプル写真をよく見て判断しよう、という事を注意喚起しておきたいと思います。
レンズはレンズ自体の見てくれの為に買うわけではなく、レンズを通して写した写真が良いことこそ、存在価値なのですから。
では、では。
Posted at 2025/10/14 10:53:08 | |
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