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銀匙のブログ一覧

2009年02月16日 イイね!

AFレンズのカビ取り

こんばんは、銀匙です。

昨日の日曜、リサイクルショップの片隅でこんなものを見つけました。

ミノルタ AF100mmF2.8マクロ(I型) 5250円

これ、半年前なら4万円台も見かけた事がある高級レンズで、私はタムロンの90mmマクロを2本持ってる事もあり、今まで購入に踏み切れませんでした。

ただ、安いのは当然で、値札の隅のほうに小さく「カビ」と書かれているのがその理由です。
まぁダメでも良い、話の種にAFレンズもやってみようかというわけで買ってきました。

私はMFの単焦点レンズなら今までもカビの生えたレンズを直して使ってきたのですが、AFレンズは初めて。
AF用のセンサとかが心配でしたが、クモの巣のように張ったカビを見て、えいやと覚悟を決めて分解してみました。

結果から言うと、カビは取りきれませんでした。
これは構成している8枚のレンズ全てにカビが生えていたうえ、レンズは群単位で圧着してあるらしく、どうしても外し方が解らない部分があったからです。
MF世代だと圧着や接着といった手法が取られていないので時間をかければ必ずバラせたのですが・・・残念無念。
やはり「AFレンズのカビ玉は楽しみの無いジャンク」という法則が生きてしまったようです。

心配していたAFやセンサ系は、たまたまこのレンズがミノルタの初期のAF単焦点レンズだったという事もあり、予想より難儀はしませんでした。

また、等倍マクロなのでヘリコイドが複雑かと思ったのですが、内部はほぼ総金属製で実にしっかりした作りであり、下手なM42レンズより簡単でした。

分解中の写真1(マウントと外筒を外した時)


分解中の写真2(ほぼ完全分解の時)



分解・清掃・再組み立てに計7時間ほど消費し、カビは数箇所残り、手には無数のすり傷を作ってしまいましたが、フォーカスリミッターや無限遠も含めて元に戻す事が出来ました。
取りきれないカビがあったのは残念ですが、さすが評判の良いレンズだけあって、この状態でもなかなか良い写りをします。

ほぼ最短、前後のボケ


白黒で描写力のテスト


カラー&絞りF5.6での描写力テスト


まだ直したばかりなのでMyFunLensesに加えるかどうかは解りません。
気になる点として、タムロンの90mmマクロ(152EM)と比べてもAF速度は遅いと感じました。

さてさて、どうなりますやら。
Posted at 2009/02/16 22:55:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2009年02月11日 イイね!

My fun lenses 04 - イベント向きのタムロンズーム(19AH)

こんにちは、銀匙です。
折角の祝日なのにこちらでは天気が冴えません。
というわけで、また1つご紹介します。

今回はタムロンのMFレンズですが、70mm-210mmF3.5通しという望遠ズーム(19AH)を紹介します。

まずは外観から。アダプトールはお約束の63Cです。

前から


後ろから


はい。何の変哲も無い望遠ズームです。
カメラボディに付けて正面から見ると、しすぎてるんじゃないのと思うくらいあっさりしています。
ズームリングと兼ねられたピントリングは手のひら全体がすっぽり収まりますので操作性は良いのですが、一言で言って、地味な筒です(汗)

市場では単なるズームレンズの古い奴という評価ですので、大体6千円から、高くても1万円程度だと思います。
フードは専用品を付けないとズームリングが干渉してしまいますが、このフードがなかなか無いですね。
私もまだ見た事がありません。


さて、このレンズ、最初から明言しますが普段使いには向きません。
約1kgもあるので重いし、全長は16cm位と長めですし、70mmから210mmという焦点距離も使いにくい。
風景やスナップには70mmでは長すぎるし、遠くを写すには210mmでは短いのです。
例えば飛行中の旅客機や鳥の撮影等となりますと、400mm、600mm、下手すれば1000mmクラスを引っ張り出すことになります。
加えて、単焦点の52BB達と比べると、描写は甘いです。
いくらSPレンズとはいえ、年代物のズームに過剰な写りを期待してはいけません。
特に開放Fではマクロの鋭い写りと比べると、よく言えば柔らかい、悪く言えば芯の無い写真です。
F5.6以上絞ってあげないと鋭さは出てきません。
文字等を精密に描写するより、布などをしっとりと写すほうが似合っていると思います。

では、このズームは何に使えるか。
APSCデジタルではやや狭めではありますが、まずはイベントには使いやすいでしょう。
ロープ等が張られており、被写体との距離が4~10mのレンジにあり、さらに奥の背景を整理したいという時に使えます。
被写体の背景がすっきりしているとか、大きいもの(例えば囲いの中の車とか)なら70mmで良いですし、背景がごちゃごちゃしていたり、被写体と接近している場合なら210mm側で処理できます。
ただし、レンズ自体の重さが結構ありますから、広範囲を歩き回る場合はそれなりの体力を要求されるでしょう。


ちなみに、あまりこのレンズの特徴として挙げられる事は無いのですが、最短撮影距離が全域で85cmを確保しており、開放Fも同じく全域でF3.5という点があります。

最短85cmなんてマクロでもないし、F3.5って中途半端じゃない、と思われるでしょうが、それが210mmで行えるという所がミソなのです。

最短撮影距離もFも同じ場合、焦点距離が大きいほどピントの合う距離範囲は狭くなりますし、被写体は大きく写ります。
実際、210mm側で85cmとなりますと、2.66対1と、ハーフには及びませんが、マクロの領域になってきます。

下の写真はF3.5の85cmで撮影したものです。
ISOは200で撮りました。

210mm側


70mm側


物は100円ショップで売っている、高さ10cm程度のミニミニ三脚の頭の部分ですが、210mm側で撮った場合、何だか解りますか?
ピントは前後のボケを見て欲しかったので、どちらの写真も三脚の向かって左の脚に合わせています。

90mmマクロ等と比べればピントがあっている部分でも芯が無いので、ピントが合ったところだけが鋭く浮かび上がるという事はありません。
ただ、全体的に柔らかな表現で統一されています。

ピントを合わせた脚自体は直径1cm位の円柱ですが、既に脚自体からボケが始まっています。
後側の脚、手前にある三脚の頭のネジのボケ方も自然ですので、前ボケ、後ろボケともに変な違和感はないと言えます。
背景には茶色い床、白い壁、そして扇風機があるのですが、扇風機を210mm側で識別するのは難しいと思います。
同じ距離とFで撮った70mm側では良く解りますが。

芯が無いというのは、精密な描写が必要な用途では致命的な問題とも言えます。
今ではあまりありませんが、新聞や雑誌を複写する際、文字がふにゃふにゃでは役に立ちませんよね。
しかし。

私もそうだったのですが、人を撮る場合、撮り手は出来るだけ被写体を緻密に撮りたい、それが良い写真だと考えてしまいます。
一方で、本人に見せると緻密であるほど間違いなく嫌な写真だと評価します。

人は自分を鏡で見る時、実は不都合な部分を見ないように勝手に脳が処理してしまいます。
後退した生え際、鼻の毛穴、シミ、そばかす、目元のカラスの足跡、吹き出物の跡、抜き忘れた産毛などなど。

ところが写真を見る場合においては、人は見たまま脳が処理してしまいますから、そのギャップに愕然とするわけです。

事実、私も絞り込んだマクロレンズで撮影した自分の写真は大嫌いです。
ああ寄るな来るな、緻密に俺の隅々を写すんじゃない、と。

ポートレートで必要なことは、良い所だけを映し、悪い所を隠せるレンズです。
悪い所というのは上記のような緻密性ともう1つ、遠近感というのがあります。

ポートレートだと、およそ100mmを中心として、それより広角になるほど遠近感が誇張され、望遠になると圧縮されます。
例えばよほどの意図が無い限り、広角レンズで人の顔を顎の下の真正面から撮ってはいけません。
なぜなら顎が突き出て、鼻の穴が目立ち、鼻の高さや目の大きさが小さく写るからです。
これは被写体のせいではなく、レンズの持つ遠近感という特性が悪いほうに出てしまったからです。
レンズに最も近い顎、唇、鼻の穴程度までは「近」、つまり大きく写される一方で、鼻の上部、眉、目などは「遠」、つまり小さく写されるからです。
広角は小さく写るし寄れるから~などといって、緻密な描写をする広角レンズで上記のような角度から撮ればぶん殴られること請け合いです。

ただ、広角が使えないわけではありません。
足が短いと気にされている方がいらしたら、広角で、足を斜め前に、ヒザを伸ばしてカメラに対してまっすぐ出してもらい、ヘソのあたりを中心としてやや離れて撮りましょう。
すると胴は実際より短く、足は長くすらっと、顔も小さく写ります。
(無論、盗撮と間違えられないようにちゃんとマナーは守ってくださいね)
この姿勢、コンパニオンさんがよくやってますよね。
これを顔の側、斜め上から撮るとコンパニオンさんの意図が台無しですのでご注意ください(笑)

また、顔が大きいと気にされている方を準広角で撮る方法もあります。
その時のコツは、腕をカメラ側に突き出してもらうこと。
別に空手のような姿勢でなくても、ひじを曲げて手は髪でも良いのです。
こうすると、「近」にあるひじは大きく、「遠」にある胴や顔は小さく写ります。
人は現実のイメージ、つまり相対尺度で物を見ますので、「ひじがこの大きさだから、顔はこんなに小さいのね」となるわけです。

一時期、お嬢さんが両手をカメラに突き出し、手を広げてとるポーズが流行りましたよね。あれは手を大きく写す事で顔を小さく見せるわけです。
逆にこのポーズを後ろから撮ると「手がこのくらいの大きさって事は顔は相当デカイの?」となりますので、やはりぶん殴られるでしょう(汗)
この場合の適正値は28mm~40mm前後です。
24mm以下ではやりすぎとなり、脳を騙せなくなりますのでご注意ください。

望遠の場合は真正面だけ避ければ失敗は少ないでしょう。
(正面の望遠では鼻の高さが圧縮されてしまい、のっぺりした印象になりますから注意してくださいね)
また、望遠で見下ろす角度で撮ると身長が縮んで見えます。
背が高い事を気にされている方には一つの薬ですが、低い事を気にされている方には逆効果ですのでご用心ください。

150mm以上はどちらかというと遠くの人を撮る場合でしょうね。
撮影出来る距離は1.2mからせいぜい2.5mですが、そこまで寄れない場合も多いです。でも、300mmとかにすると圧縮効果が激しく、全身の凸凹まで圧縮してしまいます。
列車を撮る人も標準から135mm程度で撮るようですが、これも焦点距離による遠近誇張・圧縮感を嫌う為のようです。

よって、70-210mmというのは、ポートレートにおいてどの焦点距離にしても失敗が少なく、ぶん殴られる確率の低いレンズといえます。
開放F値が通しである為、63C経由で絞りをボディ側で制御したとしても、一度設定したF値がずれる事がないというのも失敗を減らすのに一役買うでしょう。

ただ、動物園、運動会などには微妙に望遠側が足りず、撮影会といった本気のポートレート撮影では広角側が足りないんですね。
従って1万円以下という現在の市場価格は適性と言えます。

イベントに持っていき、立ち位置が制限される中で人を撮ったり、210mm側で小物のマクロ撮影も出来るレンズ。
そう考えて頂くのが良いと思います。

なお、ズームリングとピントリングが一緒になったMFレンズですので、何枚か連続して撮ることはお忘れなく。
210mmの接写では絞ってもピントの合う範囲が非常に狭いですし、人は瞬きをしますから・・


参考情報(タムロンのサイトです):
19AHのページ
購入当初のブログと屋外サンプル写真
Posted at 2009/02/11 14:14:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2009年02月05日 イイね!

My fun lenses 03 - アダプトールのお気楽マクロ(52BB)

こんばんは、銀匙です。

マクロが続いておりますが、今回もタムロンのMFマクロレンズ、SP90mmF2.5(52BB)を紹介します。
前回の52Eと同じ52系マクロですので、52Eとの違いとアダプトールの話を中心にお話していきます。

タムロン90mmマクロの歴史はこちらをご覧くださいね。

まずは52BBと、PENTAX-KA用アダプトール(63C)の写真から。


ちなみにこの写真は昨日ご紹介した52EでF5.6で撮影しています。
KeiG師匠、こんなもんで如何でしょうか・・・


さて。
52系の2代目となる52BBは、初代の52Bと同じレンズ構成ながら、52Bの総金属製からプラスチック製の鏡筒へと変わり、幅の広いブロックパターンの刻まれたゴム製のピントリングが与えられました。
また、52Bでは等倍接写する際は2倍テレコンを使うしかなかったのですが、52BBではマクロエクステンダーという専用の部品も供給しました。
ただし、現在ではこのエクステンダーを見る事はほとんどありません。
別売りだった事もありますが、脱着にレンズを一旦外さねばならず、不便だったのでしょう。

プラ製レンズを見慣れた現在の目から見ると52Bの方が総金属製で新鮮に見えますが、当時はプラスチックの工作精度は発展途上だった為、最先端の技術でもありました。
そして、この52BBは市場で良く見かける事から、寿命という点でも良かったのだと思います。

ちなみに、金属製ですと氷点下の世界では指とレンズが貼り付く事がありますが、プラ製ではそのリスクが少ないというのも、当時は宣伝文句だったようです。
そんな酷寒の中の撮影なんて・・あ、私はあるか(汗)

ただし、個体によってコンディションのばらつきも値段のばらつきも大きいです。
ちょっと外見がスレてるからと8000円位の札を下げてる店もあれば、52系レンズだからといって大したコンディションでもないのに2万以上の札を下げてるところもあります。
1万ちょいでレンズの状態が良い物を買えると思ってください。
アダプトールは別途入手する必要がありますが。

さて、52Eも52BBもプラ鏡筒ですが、52BBはピントリングがめっちゃ太いので、いかにもマクロレンズといった風情です。
また、ファインダーで見た時、このレンズはピントの合った所とそうでない所の区別が異様にハッキリ解る為、私の持っているMFレンズの中ではピントの合わせやすさはトップクラスです。
つまり、MF専用ですがピンズレを起こす確率が異様に少ない、誠に良く出来たレンズなのです。

52Bのように神格化されていないので値段も52系で最も安く、接写主体の90mmハーフマクロならば、これは良い選択肢・・・と言いたいのですが、ここで注意点があります。
マウントの問題です。

タムロンではこの時期、アダプトールと呼ばれる、各社用の銀色のマウントリングをアダプタのようにレンズ後端に付ける事で各社向けの対応をしていました。
アダプトールはADAPT-ALLから来ているようです。
マウントが乱立した頃の対策だったのでしょう。
私が知っている限りですが、PENTAX-ES(自動絞り対応のM42マウント)、PENTAX-K、ミノルタMD、CANON-FD、CANON-EOS、α、ニコンAiS(爪有無それぞれ)、オリンパスOM用など、かなりの種類を出していました。

しかし。

αとM42とPENTAXの事情しか知らないので、その3つについて留意点を述べます。
まずα用ですが、これは55Bという500mmF8ミラーレンズ専用のアダプトールだったので、絞りを制御する事が出来ません。なぜならミラーレンズはF8しか選べないから、制御する必要がないのです。

ではM42用はどうかと言うと、α700で言えば使いにくいのです。
M42アダプトール(ES用)は外周に大きな出っ張りがある為、αボディにM42マウントアダプタを装着したままM42アダプトールをねじ込んでいくと、回している途中でファインダー部に当たってしまいます。
従って、他のM42と一緒に使おうとしても、M42アダプトールを使う時だけは一旦αボディからM42マウントアダプタを外し、M42アダプトールにM42マウントアダプタをねじ込んでから、αボディに入れ直さなくてはなりません。

これは至極不便です。

元々M42マウントのカメラ、例えばペンタックスSP(銀塩カメラ)であれば問題なく使えますが、ファインダー部が前にせり出しているAF世代のボディでは注意が必要です。

では、アダプトールレンズはデジカメでは使えないのかというと、そんな事はありません。
私はPENTAXのデジカメで違和感なく使っています。
PENTAXのKマウント用のアダプトールは、マウント面がつるつるのK用と3つの電子端子が並んでいるKA用の2種類があります。
このKA用(型番63C)を使うと、例えば私の使っている*istDS2では、PENTAX純正のAレンズと同じ使い方が出来ます。
ファインダー内にはF値が表示され、ボディ側ダイヤルで絞りをコントロール出来、露出調整も指定した絞りに応じて行われ、ISO自動追従モードも作動しますし、フォーカスインジケータも作動します。
要するにMF専用と言う以外、今のレンズと違いがないのです。

ただし。
皆さん同じ結論になるようで、例えばAiS用のアダプトールは大量にみかけ、2000円も出せば買えます。CANON-FD用も同じ。
しかし、M42用はたまに見かけて5000円くらいします。
そしてPENTAX用はK用がたまに5000円程度で見かけますが、KA用は本当に少なく、出たら8000円~1万円と極めて足元を見られます。
なお、EOSやαは今まで現物を見た事がありません。

私は63C(KA用)を3本、1年かけて見つけ出しました。
1本は63C単体で8500円で購入し、1本はジャンクの55Bとセットで15000円で購入し、最後の1つは63C単体で懇意にしているカメラ屋さんから、動作未確認という条件付で2100円で買いました。

この、「動作未確認」て何?という点も説明します。
他のアダプトールと異なり、63C(KA用)アダプトールはボディ側に電子情報としてF値を伝える機構が備わっています。
この機構が非常に繊細で、また、ボディ側が接点位置を微妙に規格変更している影響で、接触不良を起こしている個体があるのです。

従って親切なカメラ屋さんでは63Cの場合はちゃんとKAマウントのカメラにつけてみてF値が正しく伝達される個体の場合だけ売り、それ以外は調整を試みて、ダメならジャンク扱いとします。
しかし、世の中は不親切(あるいは無知)なカメラ屋も多く、ネット上では接点不良や伝達不良品を高値でつかまされたと言う酷い話も聞きます。
従って、ネットオークションで買うのは極めてリスキーな品なのです。

また、63Cは生産総数がK用よりも少なかった事も災いし、母数が少ない上に故障個体もある、買った人は予備の意味で複数入手して手放さない、なのにデジイチ人気も手伝って欲しい人は増加しているという状況なので、63Cだけ異常な相場になっているのです。

なお、63Cの故障個体のうち、調整不良の場合と接点不良の場合は修理することが可能だそうで、その方法を公開している方も居られます。
ただ、それなりの器用さは求められるようですが。

そんなわけで、52BB自体は現代でも遜色なく使えるレンズです。
ただしPENTAXユーザーは、その価値はありますが、63Cアダプトールを根性で探す必要があります。
オリンパスOMだと今のフォーサーズでも使えるのかな?
OM用は少ないですが、M42用と同じような頻度で見かけますから、オリンパスやパナソニックユーザーには穴場の選択肢かもしれません。
でも、フォーサーズだと180mm相当になりますから、使う状況が限られてしまいますね。

もし良い状態の52BBとお手持ちのデジカメに合うアダプトールが手に入ったなら、たとえば菜の花や桜などを、そぞろ歩きしながらパチリパチリとやると楽しいこと請け合いです。

52Eでも書きましたが、この子も9枚の円形絞りを持っていますのでボケの質は良いですし、ピント合わせも楽しいです。

なお、アダプトール世代のレンズを複数のボディで使う場合、ボディ側にアダプトールを残したままレンズだけボディ間を行き来させるという手もあります。
これですと複数メーカーのカメラボディを持っていても、それ毎のレンズを持参しなくて良いので、携行重量を減らせるというメリットもあります。
アダプトールはアダプトール用のタムロンレンズならどれでも使えますので、たとえば70-210mmF3.5(19AH)と90mmマクロの2本を持ち、PENTAXとニコンのボディにアダプトールを付けていくという事が出来るのです。

最後になりましたが、重さは456gと52Eよりも50g程度重いです。
ちなみに52Bは金属製なのに420g。
この辺が、52BBがなぜ安いのかというひとつの理由かもしれません。

参考情報(タムロンのサイトです):
52BBのページ
過去、私が撮ったサンプル写真(桜)
Posted at 2009/02/05 23:57:10 | コメント(3) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2009年02月04日 イイね!

My fun lenses 02 - タムロンの鬼っ子マクロ(52E)

こんばんは、銀匙です。

今回はタムロンのAFマクロレンズ、SPAF90mmF2.5(52E)を紹介します。
前回のタクマー50mmF4と同じマクロレンズに分類されますが、別の性格付けがなされたレンズです。

私の持っているのは52Eのミノルタマウント、52EMという物です。
ちなみにミノルタマウントは通称ではαマウントと呼ばれますが、正式名はAマウントのαレンズです。豆知識。

タムロンの90mmマクロレンズは最初に発売されたMFの52Bから最新の272Eまで人気のあるレンズですが、実は型番数字末尾が52で終わる52系と、72で終わる72系では、その性格が異なります。
ちなみに、現在発売されているレンズは72系の272Eとなります。

数字後のアルファベットはBがMFレンズ、EがAFレンズを指すようですが、型名はやや不規則です。
52系は初代は52B、2代目は52BB、3代目がこの52E、4代目が152Eで、72系は72B、72E、172E、272Eとなります。

また、市場では52系といえば、初代の52Bが圧倒的に人気だそうです。
アダプトールMFレンズである52Bか、次点として52BBを指名して探す人は多いものの、52Eや152Eを指名で探す人は珍しいそうです。

あるカメラ屋の店主いわく、「52のAF系はいわゆるマクロレンズらしい撮影には不向きだし見た目も安っぽい。やはり52系でマクロなら初代の52Bだよ」と仰ってました。
これはある側面で正解であり、花の撮影で有名な丸林さんも、タムロンの90mmで一番好きなのは52Bだと仰っていました。

52系を店頭で探すなら2代目の52BBが最も探しやすいです。
圧倒的に良く見かけるからです。
52Bは上の通り今では神格化されておりますので市場に出てこないのは解るのですが、実は52E系も市場に出てこないのです。
52Eや152Eは、物があれば1.5万前後で購入できるでしょう。
ただし、E系はアダプトールマウントではないので、マウント違いで涙を呑む可能性はあります。
ちなみに私の52EMは現在α700に装着しておりますが、全く問題なく使えている事を報告しておきます。


さて、その52Eの外観写真です。



ご覧の通り小さな茶筒のごとき形で前玉も小さく、とても高そうには見えません。
総プラスチック製の鏡筒ながら405gとマクロタクマーより重い。
ちなみに最新の272Eも405gです。

私は52BBも持っておりますが、接写する場合ならMFながらピントリングの太い52BBの方が意のままに操作しやすいと感じます。
52Eはご覧の通りピントリングが細くてMFが脇役という感じですが、接写ではMF調整が必須ですから、AFがむしろ脇役なのです。

また、52系と72系の異なる点はまずは開放F値で、52系はF2.5ですが、72系は半段暗いF2.8となります。
一方、72系は等倍まで接写出来ますが、52系は1/2倍までしか寄れません。
さらに、52Eと152Eには60cm以下に寄れなくする為のフォーカスリミッタースイッチが装備されています。

ただでさえ寄れないのに、何故こんな事をしたのか。

タムロンの52系レンズは、マクロレンズとしては異端の存在でした。
マクロレンズは本来、小さな物や寄って精密に撮影したい時に使うレンズとして設計されており、ボケは2の次3の次というのが普通でした。

マクロの王道であるマクロタクマーも文書複写や小物撮影、あるいは学術的な用途向けに設計されており、当時のカタログに載っているサンプル写真も外国の切手のアップでした。
マクロレンズは接写用途を求める人のみが購入する特殊なレンズ、それが当時の常識でした。

しかし、タムロンはマクロレンズにある特徴を与えました。
全域でのボケの美しさ、という特徴です。
マクロでは使われていなかったレンズ構成を用いた上、ボケを綺麗に描く為に絞り羽は円形を描きやすい9枚の羽を与えました。
寄る事で主体以外を強くボカし、さらにレンズ構成上の特性と絞り羽でケアしたのです。

元々はネイチャー系フォトグラファーが中距離の被写体でも背景を綺麗に溶かしたいという要望から生まれたそうですが、これが思わぬ副産物を与えました。
人物撮影にも適していたのです。

人物を撮る場合、たとえ上半身しか撮らないとしても60cm以下まで寄る事は少ないです。
そして、52Eはリミットモードにした場合AFが速くなり、ほぼ普通の中望遠レンズが持つレスポンスを叩き出します。
また、60cmという距離は、普通の85mm中望遠の最短撮影距離が85cm前後ですので、さらに半歩踏み込めるという上手い設定でした。
また、開放Fを普通の中望遠単焦点とそのまま比較すればF2.5対F1.4、つまり1.5段劣るので、ボケは明らかな差が出るはずです。
しかし、マクロ設計ゆえに近い被写体が得意で、開放から十分芯のあるシャープな描写ができます。
一方で普通の中望遠は無限遠が最も良い描写ですから、近い被写体の場合は1段絞らないと芯がやや甘くなる=1段絞るのはお約束となっていた為、実質はF1.4から1段絞ったF2対F2.5となり、さらに5mm長い焦点距離と半歩踏み込める事が功を奏し、互角に戦えるポートレートレンズになっていたのです。

同じ距離なら中望遠レンズよりちょっと大きく撮れ、リミットモードでも後1歩踏み込める。その気になればリミッターを左親指で解除して39cmまで寄れる。
ポートレートに適した距離域で開放でも芯はしっかりしてボケも綺麗、必要ならあえて絞ってもボケの綺麗さは維持される。
そして、普通の中望遠単焦点よりずっと軽い。

52系は全てレンズ構成が一緒なので、初代52Bから「ポートレートマクロ」という異名を持っておりますが、AFとリミッターを持つ52Eと152Eは特にポートレート向けのチューニングを受けたモデルといえます。

無論、純粋にマクロ撮影を求めるネイチャーフォトグラファーがAFを使いたくて選択したケースもあるとは思いますが、ポートレート目的でこそ本領が発揮されるという、タムロン90mmマクロの中でも、いわば鬼っ子的なレンズ。
それが52Eなのです。


しかし、タムロンは等倍化のニーズに応える為、新設計の72系にする際、綺麗なボケは残したものの、マクロレンズ本来の接写向けに最適化しました。
従って現在でもタムロンの90mmマクロはボケの綺麗なマクロとして人気ですが、AFレスポンスに関しては他のマクロレンズと同様、

「遅いのは仕方ないよ、マクロレンズなんだから」

という評価になっておりますので、ネイチャーフォトといった正統なマクロレンズとしての使い方が正しいでしょう。

よって、私のように「マクロも出来るポートレートレンズ」という不純な動機で探す人(笑)にとっては、たった2種類しかないAF化された52Eレンズは、現行の72系よりも魅惑的な存在なのです。

ちなみに、タムロンの90mmマクロをコレクションするなら、接写目的に硬派なMFの72B、ポートレート用には52Eか152E、そして伝説になっている52Bで完成らしいです。
私はヘタレなので52BBと52Eしか持ってませんが(笑)

ちなみに72Bはアダプトールレンズですが、アダプトールは特有の注意点があります。
これは52BBをご紹介する時にお話します。

なお、下の参考情報はタムロンのサイトへのリンクですが、タムロンはアダプトール世代の大変古いレンズから最新のレンズまで詳細情報を公開しています。
これは非常に稀な事です。現行レンズしか詳細情報はなく、古いレンズは古い書籍を探し回るしかないというのが普通なのです。
新しいもの万歳というこのご時世に、古いレンズからケアしようという姿勢は応援したくなります。
タムロンには熱烈な支持者が居られますが、古いレンズに対する姿勢からも、支持される理由が解る気がするのです。

参考情報(いずれもタムロンのサイトです):
90mmマクロ伝説
52EMのページ
Posted at 2009/02/05 00:13:17 | コメント(1) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2009年02月02日 イイね!

My fun lenses 01 - 等倍のマクロタクマー50mmF4

こんばんは、銀匙です。

今回から不定期ですが、私の使っているレンズを紹介して行こうと思います。
ラインナップはM42、タムロンアダプトール、α、そしてPENTAX。
あまりWebで見かけない物からよく話題に上る物までありますが、いかんせん私が選んでますので、

大いに偏りがある

のはご容赦願います。はい。

さて、今回はPENTAXのM42レンズから、マクロタクマー50mmF4を紹介致します。
握り拳ほどの小さなレンズですが、マクロタクマーは絞りがプリセットで、等倍まで写せるのが特徴です。
その為、無限遠付近の状態はこれくらいですが


等倍にするとここまで伸びます。


このレンズに関しては手持ちのタクマーレンズカタログに掲載されておりましたので、当時の説明書きを添えたいと思います。

(引用開始)
マクロタクマー50mmF4
近接撮影、文書複写に最高性能を持つレンズです。
開放絞りでもすみずみまでシャープなピントで、その切れ込みの良さはマクロ系レンズのトップにあると評価されています。
∞から等倍撮影までが出来るダブルヘリコイド採用の鏡筒、露出倍数が簡単に判る色別された倍数目盛りと露出倍数指標など新機構がいっぱい採用されています。
なおライカマウントアダプターBと併用すると引き伸ばしレンズとしても使えます。
最短撮影距離0.234m、重さ236グラム、フィルター径49mm
(引用終了)


M42のPENTAXレンズでは、スーパーマクロタクマーの50mmF4もありました。
スーパーマクロタクマーは絞りが完全自動絞りとなるものの、最短撮影距離がやや長く、ヘリコイドがシングルとなり、1/2倍までの撮影となります。
この2つのレンズはある程度併売されていたようですが、やはり失敗しにくい完全自動絞りの方が良かったと見えて、現在ではスーパーマクロタクマーの方が多く見かけます。
そしてプリセットとはいえ、元々精密な文書複写などに使われるレンズゆえか、絞りの形もギザギザで開放F値も4と暗いです。
フィルム時代には露出倍数の問題もあった為、レンズには倍数計算がしやすいように色分けされ、色毎の倍数も記載されています。
デジタルではそれほど気にしなくても良いのですが、フィルムでは難しかっただろうなと思います。

では、このレンズはダメか。
下は大体2/3倍まで寄り、軽くF5程度まで絞って撮影した写真です。
室内ですがISO200のjpgで、手持ちでの撮影です。


通常のレンズは、無限遠の位置で撮るのがもっとも美しく、最短位置に近くなるにつれ描写が甘くなりますが、マクロレンズはその逆で、遠い方が甘くなります。
当然AFはついておりませんので、使い方としては、まずはおおまかな合焦距離(倍率)を定め、構図をファインダーで見ながら自分が動き、ピントを微調整して何枚か露出を変えて撮るというのが良いと思います。
当時のうたい文句の通り、開放から十分良い描写をしますので無理に絞る必要はないと思います。
水族館や植物園、あるいはハイキングなどで、身軽かつ手持ちで撮りたい。
そんな時に連れて行くには良いお供かと思います。
Posted at 2009/02/02 22:34:04 | コメント(3) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記

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