ご無沙汰してます。
銀匙です。
さてさて、自分はたまたま気づいていなかったのですが、NEX6は
AFが遅い
ようですね。これを理由に「これだからミラーレスはキライだ」と言う方もいるそうで。
そして付け加えて言うと、
AFレンズをつけると、起動時間まで遅くなる
のです。
体感的に明らかに解る位。
しかし。
うちのNEX6は全然遅くありません。
9割の状況でピント合わせは0秒で終わり、起動はサクサク。
なぜか。
MFレンズを使ってるから
なのです。
AFについては使わない(使えない)ので早いのも当然なのですが、起動速度まで違うとは思いませんでした。
なぜ気づいたかというと、つい先日、安い上に良い写りだと聞いたので、SigmaのArtラインの30mmF2.8というAFレンズを買いに行ったんです。
こいつはDP2メリルのレンズと同じとか言われて相当期待してたのですが、自分のNEX6につけて起動すると、
立ち上がるまでにやけに間延びした時間が挟まれる。
わけです。
壊れたかと思うくらい。
慌てて普段使ってるMFレンズに戻すと普通にさくっと起動します。
このレンズ、AFは中央重点にすれば、まぁ普通の時間で合焦します。
画質はサンプルで撮った結果を見る限り、悪くないねと言うレベル。
しかし。
電源をONにするたびに
あー、はいはい、ちょっと・・まって・・ね・・ええとなんだこのレンズ・・
みたいな時間がある。
ゆえに電源を入れるたびに
イラッ♪
となるわけです。
画質うんぬん語る前に一瞬で買う気が失せ、早々に退散しました。
ちなみにソニー純正の18-55mmも試しましたが、Sigma程ではありませんがやはり遅くなる。
純正でこれかと溜息が出ました。
こういうレンズは買ってはいけません。
なぜなら、カメラそのものを使いたくなくなるからです。
電源をONOFFするという行為はカメラを扱う上で絶対に避けて通れません。
更に言えば、
急いでるんだよ早く起動しろ
という事態は非常に多い。
何気なく振り向いた。
その瞬間、素晴らしく茜色に輝く雲が見えた。
でも刻々と色あせていく。
そんな時に取り出したカメラが、
あー、はいはい、ちょっと・・まって・・ね・・ええとなんだこのレンズ・・
とやられたら、たまったものではありません。
素人だからこそ、シャッターチャンスを予測して待てないからこそ、
機器は徹底的にハイレスポンスであるべき
なのです。
プロの方々は機器のレスポンス不足等を自分の技術でカバーできます。
だから別に大判カメラとか使っても良い作品が撮れる。
というか、大判カメラでしか出来ないきちんとした理由があるから万難を排して、必要な技量を備えて、準備万端で大判カメラを持っていくわけです。
写りという結果の為に、それ以外の全ての困難をどうにかしていくのがプロであり、我々はそこまで出来ない。
だからプロと我々の間には仕上がった作品に超えられない壁が存在するわけですね。
話を戻します。
じゃあどうすりゃ良いのという話になりますよね。
世の中の新品レンズはほぼ100%AFだよと。
私のNEX6の写真を載せます。
これが、今の私が常時持っている基本構成です。
普段から酷暑酷寒、昼から真夜中まで使ってますが、レスポンスでイラッとすることなど1度もありません。
総重量461g。
NEX6自体は完全なノーマルです。
レンズの長さはフィルタ込みで24mmしか無いので、全体の厚みでもファインダーのゴムカバーからレンズ先端まで7cmありません。
ネックストラップはつけず、ハンドストラップをつけてコンデジライクの運用をしています。
このレンズは遥か昔、写りの良さで売れに売れた、銀塩のオリンパスPENというカメラのレンズです。
焦点距離は30mm、開放Fは2.8。
フォーカスも絞りも手動です。
ええ。
Sigmaの30mmF2.8とスペック的には一緒です。
スペックが同じでも写る結果は全然違います。
同じ醤油ラーメンでも星の数ほど味があるのと一緒です。
Sigmaは、より現実を現実と変えず、今時のレンズらしくハイコントラストで、歪み無く写す印象でした。
PENのレンズの方が眠く見えるし歪みも多いです。レンズは傷も入ってますし。
ただ、このレンズは、
「あ、空が綺麗だなっ・・と」
という感じでカバンから取り出し、右手人差し指で電源をONにしつつ、ファインダーを覗き込むように構えれば全ての準備が完了しています。
常時フォーカスは無限遠に、絞りはF5.6にあわせてますから、風景撮るなら何の調整も要らない。
後は水平等の構図調整だけファインダーで見て、カチリとシャッターを押し込めば終わり。
「あ」と思ってから撮影完了まで5~6秒でしょうか。
だから、こんな日常のスナップが10秒もあれば撮れます。

NEX6でjpg撮影し、サイズだけ800x600に圧縮してますが、ほかは一切調整してません。
携行性抜群、ハイレスポンス、写りよし。
昔の銀塩ハーフカメラみたいなものですね。
そう、昔のカメラはどれもハイレスポンスだったのです。
これは重要な要素でした。
撮りたいと思ってから撮影し終わるまでのリズム。
これが長くなる程、自分の意志と離れるほど、そのカメラを使わなくなります。
逆に短いほど手元に残り、気づくと使ってます。
コンパクトカメラが売れないと言われて久しいですが、なぜスマホカメラに駆逐されたかといいますと、実はこの理由がある。
コンパクトカメラの場合、
・かばんから探して、取り出す
・電源をONにする
・うにーんとレンズの筒が延びる。
・背面液晶に画面が出るまで数秒待つ
・ズーム操作をすると、「もっさりと」反応する
・構図を決めてシャッターを押す
・電源を切る
・うにーんとレンズの筒が仕舞われる
・かばんに戻す
というプロセスが要りますが、スマホの場合
・ポケットからスマホを取り出す。
・起動メニューでカメラを選ぶ
・背面液晶に「もわーんと」画面が出るまで待つ
・ズームボタンを弄ると、「ややもっさりと」反応する
・構図を決めてシャッターを押す
・カメラモードを終了し、ポケットに仕舞う。
となります。
実は、背面液晶に画像が出るまでの時間はスマホの方が長かったりします。
写りもコンデジの方が良いです。
でも、スマホはいつも持ってる。画像が出る以外のレスポンスもスマホの方が上。
このトータル時間が短いから、コンデジはスマホに負けた。
私はそう思います。
なんでもそうですが、機械と人の関係において大事なのは、人がどれだけ
仕方なく、手持ち無沙汰で待たされてる「感覚」が無いかという事
これはとても大事なんです。
ヒントは「感覚」です。絶対時間じゃないんです。
例えばエレベーターのボタンを押してからエレベーターが来るまでの待ち時間。
物凄くイライラしますよね。
でも、その時、時計なり自分で数えるなりして、実際の時間として何秒かかったか計ってみてください。
超絶待たされたと怒り狂う位でも5分経ってません。
ちなみに統計では大体30秒待つとイライラし始めるそうです。
今のコンデジは、複雑なメカで高倍率の光学ズームを積み、生涯1回も使わないような多くの機能を詰め込んだ結果、肝心の起動終了時間が遅くなり、メニューが複雑になり、さらに素の写りも悪くなりました。
だからそこそこのズーム性能しかないけれど、いつも持ってるスマホに「おまけでくっついてる」カメラ機能に負けたんです。
目を付けるべきところを間違え続けた結果ですから自業自得です。
とっととハイレスポンスで素の写りの良いカメラを開発しないと、完璧に息の根が絶たれますよ、コンデジは。
その証拠がGRDigital4です。
2013年4月の発売終了から1年半を経ってもなお、中古価格が3万を切りません。
私から見れば起動終了のレスポンスが僅かに足りないのでやや使用頻度は少ないですが、奴にしか出せない世界があるので手放せない。
あれで起動0.5秒とかのレスポンスになったら、つまらん一眼やミラーレスなんか駆逐して世界取れるでしょうから、惜しいなと思うんですけどね。
ええ。過去には起動0.5秒という爆速レスポンスを誇るコンデジが実際にありました。コニカミノルタのDimageX50というカメラです。
そう。作れるんです。日本のカメラメーカーは。
ただ単にやらないだけ。
そして緩慢な死を世間や他人のせいにしつつ受け入れている。
スマホも日本国内の技術で全部作れたのに、やらない。
昔、パイオニアが一瞬だけ今のスマホの祖先みたいなのを作っていたのに、それを進化させない。
失敗してもコツコツ何度もチャレンジする欧米メーカーに負ける。
日本車もそうです。
静粛性とか椅子の座り心地とか、長く快適に移動するという車の基本機能に開発の金をかけないから外車にいつまでも勝てない。
私が自分のスイフトを更に快適と思えるようにすべく、静粛化の為に使った金は合計しても1万円にもなりません。
これと
これだけですからね。
開発出来ないんじゃない。しないんです。
ダンパーだってスイフトについてる日立製のは良い仕事しますよ。
ずっと昔から作ってるカヤバは相変わらず腰に悪い物作ってますが、そのカヤバだってマークX用のだけは良い物を作ってます。
やりゃ出来る。やらないだけ。
とても残念なことです。
ともあれ。
私はミラーレスも一眼レフも、ロクでもないローレスポンスの物ばかりリリースしてれば早晩淘汰されていくと思います。
そういう意味では今流行の高級コンデジも先は短いなと思って見てます。
向けるべき方向に目を向けてるのは、実はソニーとリコーくらいだから。
キャノンとニコンは、特にコンデジは、どうしたいのかさっぱり見えません。
あれじゃ早晩工場畳む事になるでしょうね。
ソニーと言えばα7Ⅱがすっごく地味に良い改修をしてきたんですよね・・
あとメニューボタンも移動してくれたらジャストだったけど・・
だから18万突っ込むかどうか物凄く悩んでます。
そう。
つまらんレンズには1万出すのも嫌ですが、良いカメラなら出す物出します。
普段ぶちぶち言って財布を出さない私がα7は発売当日に買ったんです。
α7だって携行性や(MFでの)レスポンスなど、総合的に見て及第点ですから。
良い物なら売れるんです。
レスポンス。
昔から誰もが感じる「エレベータ待ちのイライラ」で解るとおり、機能が多少良かろうとどうだろうと、人間と言う生き物は待たされるのが一番キライなんです。
だから、ハイレスポンスのレンズを手に取ってください。
ハイレスポンスの構成で仕上げてください。
ハイレスポンスになるよう設定してください。
MFに抵抗があるなら、GPS機能をオフにするだけでも随分体感速度は上がります。
そして、間違ってもダブルズームレンズキットなんか買わないでください。
メーカー問わず、両方ともとんでもない位ローレスポンスのヘボレンズですから。
単焦点レンズでさえ一概に信用出来ない時代なのですから。
レスポンスよく、あなたの好む写りをするレンズを選び、レンズを広く受け付ける度量のあるカメラを見つけてください。
貴方をイライラさせないレンズこそ、貴方が手に取るべきレンズです。
「あっ撮りたい」と思った貴方を助けるのはブログ連携機能なんかじゃなく、カメラ全体の操作レスポンスです。
それは写り、操作感覚といったものも当然ありますが、レスポンスは全ての前提になるという目で、買う前にしっかり確認してください。
特にAFレンズを買う時には、必ずボディを持参して、実際に撮影してくださいね。
それを断る店は立ち去って吉です。
だからオークションで買って良いのはMFレンズだけなんですよ・・と、ぽつりと言ってみる。