こんばんは、銀匙です。
Gotoキャンペーンとオリンピックが始まってる「はずだった」日になったわけで、それに触れちゃうと1回分まるまる使っても足りないくらい言いたいことがあるのですが、今回は避けます。
で。
今回のお話は、旅に持っていくという前提でSONYのEマウントのボディとレンズを考えた時に、コスパ良くて割といい結果を残せる組み合わせがあったよ、という立ち位置的な考察です。
別にSONYのEマウントに限らず、ミラーレスならEOS R系でもNIKON Z系でも良いんですが、SONYのEにしたのはまぁ理由があるんでしばしお待ちを。
さて。
私はSONYのEマウントはかなり評価してきました。
オールドレンズ母艦としてAPSCでも35mmフルサイズでもどちらでも勧めるボディがあって、初めてレンズシステムを組めるコスパの良いマウントですよと。
ただし。
今までSONYのEでもFEでも、純正レンズはほとんど取り上げてきませんでした。
なぜか。
コスパが悪いからです。
Eマウントってボディは秀逸なんですが、レンズは重い、高い、大したことが無いの3重苦です。EよりFEの方が悪い。
さらにお金を払う程パフォーマンスが悪化するんです。
標準よりツアイスやGM系は驚くほど重い。性能向上度合いが値段に見合わない。
事実、私が今まで手にしたFE系レンズは1本も手元に残ってません。
酷いとレジを通す前にがっかりして諦めた事もあります。
特に斜め方向からの光、それもLED光に弱い。
旅のお供と限ると、特にFE系の重さと高さは致命的になります。
既にほぼ埋まったスーツケースにα7RⅣとSEL2470GMとか入れる場所無いですよ。バッテリ考えたら機内持ち込みですし。
とはいえオールドレンズだけだとレンズ1つ1つは小さくても何本も持っていくのはそれはそれで不安がある。
旅カメラとしてEマウントボディとレンズを色々試した結果、今ならこういう使い道もなかなかいいのではというのがあったんです。
それは汎用的なサブカメラとしての立ち位置で、APS-C系ボディにSEL1855を付けるという組み合わせです。
例えばNEX-6にSEL1855、これですね。
今更何言ってるの?これ標準キットじゃない?
と思った方、正確には違うんです。
NEX-6,NEX-7の発売と共に、SONYはAPS-C系SONYEマウントボディの標準レンズを
SELP1650に変えました。
SEL1855はSELP1650よりさらに古い、NEX初のズームレンズです。
NEX-6世代になると、NEXはボディ内に補正演算機能を有しました。
レンズ側で生じた歪みをそのままボディに放り込んだとしてもボディ側で補正する「事も出来る」わけです。
なので、それが出来ない世代向けに「ちゃんとした絵をボディに送り込むことが必須の」SEL1855に比べ、より未使用時に小さくなるSELP1650が代替わりとしてAPSC系SONYEマウントボディの標準レンズとなりました。
ところがこのSELP1650、ハッキリ言ってそこらのスマホの方がマシな写真取れるよというような歪みだらけのクズレンズでした。
そりゃ確かにNEX-6は補正をしますけど、酷さを隠しきれなかったんです。
翻ってSEL1855ですが、こいつはNEXがそれほど高度な演算処理を行えなかった、初代NEX-3やNEX-5の為のレンズです。
そしてこれからミラーレスを世に広めるんだという強い目的を持って設計されており、「ちゃんとした絵」をボディに送らねばならなかった。
ゆえに鏡筒はアルミ合金製、マウントも金属製、NEX-6世代以降に装着すると「ファストハイブリッドAF」にも対応し、AFモーターは実に静かで、手振れ補正にも対応しています。
私がNEX-6にSEL1855を付けたのは随分後になってからですが、その時はオールドレンズの面白さに傾注してたので、旅にも連れて行かなかった。
便利ズームならNikonのB700とかがあれば良いやと思ってましたからね。
実際B700は手振れ補正付き24-1440とかいう超高倍率ズームを装備していますから、あれはあれで面白かったわけです。
ただ、B700やSONYのWX500といった超高倍率コンデジは、受光部は1/2.3型のCMOSで2000万画素オーバーとか詰め込んでるんで余裕がない。
それにしてはB700は良い絵を吐いてくれますけど、それは今回置いておいて。
標準域にAPS-Cクラスの受光部を揃えておくと、とっさの1枚に強くなるんですね。
私は旅の主力ユニットはDP0クアトロ、DP1メリル、DP2メリルの3ユニットになりつつありますが、こいつらはパイプフレーム剥き出しのレーシングカーみたいなもんで、きちんと設定して準備して撮影しないとなかなかヒットしません。
つまりとっさのニーズに弱い。
さらに、SEL1855とセットで、例えばUltraWideHeliarなんかを忍ばせておくと、NEXにかなり広い「普通の、とっさの絵」を任せられるわけです。
NEX-6のようにファインダーも装備している機種なら「撮影している感」も十分味わえます。EVFなので逆光でも失明する心配もありませんしね。
α4ケタ系の評判がイマイチで、ツァイスレンズであるSEL1670zの評価が高いのは、SEL1670zが良いのではなく比較対象のSELP1650がダメ過ぎるからだと思っています。
とはいえ、そんな初期も初期のSEL1855に実力があるのかと疑問を持たれるかもしれません。
ネットでの評判も「ふっつーのレンズ」というところですしね。
では比較してみましょう。
こちらが、中古でも5万するツアイスズーム、SEL1670zです。
そしてこっちが、今回紹介するSEL1855です。
どちらもNEX6で撮影しています。
違いはありますよ。
これがα6600ならもっと違うのかもしれません。
SELP1650に比べれば雲泥の差と言われるSEL1670zという現実があります。
そこにSEL1855は中古で1万円未満、SEL1670zは同5万以上という状況をさらに重ねた時、SEL1855はそこまで悪いレンズでしょうか。
それはSEL1670zが良いのか、キットズームのSELP1650がSEL1855に比べて明らかに劣化したのか、どちらでしょうか。
続けましょう。
以下は、NEX6にSEL1855を付けて撮った物です。
別に全ての写真をNEX-6にSEL1855で済ませられるとは言いません。
あえていうなら、フードを付けてF6.3以降に絞った方が良いです。開放も使えないわけではありませんが一段と絵が引き締まります。上の写真は基本的にF8です。
さらに、NEX-6にUltraWideHeliarをつければ、
こういうのも守備範囲にできるわけです。
APS-CですからUWHでも35mm換算18mmになりますが、UWHの悪い癖である周辺域の強烈な減光を抑えつつ、20mmアンダーの超広角領域をハンドリングするシステムとしては十分なコンパクトさを有します。
旅という省スペースを求められる状況では、UWHの為にNEX5Rボディを別途持っていくのは厳しいでしょうから、付け替えての対応もありでしょう。
いずれにせよ、とっさの1枚を抑えるためなら、私は現在でも1600万画素クラスは扱いやすいと思っています。
JPGで1枚3MB程度に収まり、安いSDカードでも十分なレスポンスで撮影が続けられ、この位の写真を残すことができる訳です。
助手席に「とりあえず」NEX-6とSEL1855の組み合わせを放り込んでおき、
その上で、例えばDP1メリルでこういう写真をじっくり撮影すればいい。
2020年7月現在、NEX6とSEL1855は合わせても中古なら3万で買えますし、重さも撮影可能状態で545gしかありません。
私はNEX-3からα7のRやSまで結構な種類のEマウント系ボディとレンズを買ってきましたけど、この組み合わせは結構ラフに使える気軽な組み合わせだと思いますし、得られる結果も良い、旅カメラとして悪くないセットだと思います。
もちろん、ここぞという時の為に、例えばDP0とか、GR3とか、α7RⅡにズミクロンとか、なんらかの主力装備も忍ばせればより良いとは思います。
ただ、車もそうですけど、ミラーレスは「ライトウエイトなのに広い受光部」という初心こそ本分だったのではないかと、今の一眼レフと大して変わらないボディとレンズ達を見る度に、拭えない違和感を覚えるのです。
下手すれば最新レンズのUVフィルタや予備バッテリー程度の価格でしかないNEX6とSEL1855。
一度試してみませんか?