聞こえたかな？Ｚへ

一日中あの街で見かけた赤いＺを思いながら帰路につく

まぁクルマでなくて電車なのだけど

仕事がＵＰして間もなく入電

端的には助けてほしいと・・・


こんな私でも人の役に立てるのならと快諾し意気揚々と自宅まで駆け走る

ネクタイだけ外して部品を積み込んで

久しぶりに聞くシャラシャラ音


ツデ子さんを横目にガレージから出てきたのはＺ

赤いＺのこともあってしばらく乗らずにいようと誓ったいつかの日は遠い幻

朽ち果てるとするならばそれは乗り手の接し方次第

だから電車に乗ったときから決めていた

Ｚで行こうと


活き活きと走るＺは本当に喜んでいるよう

クラッチを切りシフトするとき

かかとでアクセルをあおるとき

私とＺの波長がピタリと一致する瞬間


ヘルプ要請はキャンセルされ顔出しの形で目的地まで行くことにも

Ｚは活き活きしていた

私を走らせてくれてありがとう

ずっと走りたかったんだ

キミが私を選んでくれたから

私は嬉しいんだ

そんな声が聞こえた気がした


特別速い車じゃないけど乗り手とクルマがリンクする瞬間

世界中どこを探しても私とＺはベストパートナー・・・

そんな気さえする土曜の夜


疲れ果てた週末の夜だって

キミがいてくれて

私が走らせて

少しの距離でも楽しかったね　Ｚ


ガレージのシャッターを下ろすとき

いつも思う

これで最後になるんじゃないかと

だからいつものように

忘れないように

お疲れ様　またねって

また一緒に走ろうねって


ねぇＺ・・・

私の声　届いているかな