トラブルシューティングの続きです。
長々と引きずってもしょうがないですので、ここで正解に辿り着いてみます。
症状がハッキリと出て、クラッチレスシフトで
”普通に”走ってガレージまで戻ってきました。
ここで判る事は
「ミッション自体は問題無い」という事です。
回転さえ合わせれば5速までスコスコ入り、問題無く走れましたからね。
実際入らなくなった筈の2速にもちゃんとシフトダウン出来ましたし。
まぁシンクロがダメなケースも考えられなくはありませんが、シンクロがダメならもっと最初から前兆がある筈で、シフトフィールの良さなんてまず得られません。
シンクロが痛むのは使用頻度の高い2速&3速が多いのは確かで、実際入らなくなった時は2速ですが、入らなくなるほどシンクロの状態が悪いならば、そもそも冷間時からシフトの度にギャリンギャリン鳴きまくってる筈です。
まぁ症状が出た時は2~5速まで全部入らなくなったんですけどね……書いてませんけど、これは無くても判る話なので……。
で、
この段階でもう結論は出ちゃってるんですが、症状が出たならやる事は決まってます。
確証を得る確認作業です。
クラッチペダルを踏んだズボラなシフトチェンジは受け付けなくても、クラッチレスシフトならシフトチェンジが出来る。
これで導き出されるのは「クラッチが切れてない」という一点のみです(厳密に言うならミッション本体の疑いも若干は残されてますが)。
で、ここで簡単にチェックするにはどうするか。
それは
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ジャッキアップして駆動輪を浮かせた状態にする。
1~3速辺りにシフトを入れたまま、クラッチを切らずにエンジンを掛ける。
タイヤがしっかり回ってるのを確認する(出来れば1~5速&リバースの全部で確認する)。
その後クラッチを切って、タイヤが回っているかどうかを確認する。
ここまですれば、クラッチがちゃんと切れているかどうかが判ります。
で、こいつの場合はクラッチペダルを踏んでもタイヤの回転が変わらなかった → つまりクラッチが切れていませんでした。
となると、この状態から次にやる確認作業はこれです。
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クラッチペダルを踏んだまま、ブレーキを踏む!
ここで何が起こったか……それは……
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エンジンが止まりました。
これでクラッチが切れていない事の確証と、どれだけ
”切れないか”という状態の酷さの確認が取れた訳です。
しかし、作業はここでは終わりません。
これではまだ「どこが悪いのか」の絞込みが出来ていませんからね。
時間が経てば症状が消えてしまう可能性がありますから、作業は迅速に進めます。
ここでやる作業は次の通りです。
この状態でクラッチペダルを踏んでもらって、ストローク量を確認する(P様はオンザカーではちょっと無理なので、目視しか出来ませんが……この時点でちゃんと動いているのは確認が取れました)。
ペダルタッチを再度確認してから、クラッチラインのエア抜きをする(エア抜き後のタッチも確認する)。
この時点でクラッチのタッチは
全然変わりませんでしたので、完全に確証は得られてるのですが、それをより確実にする作業をしない訳にはいきません。
ここまでやったら、またエンジンを掛けて最初の確認作業を再トライします。
クラッチを切ったまま再びブレーキを踏みます。
するとどうなったか?
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はい、
もちろんエンジンが止まりました。
で、最終確認として、クラッチのマスター&レリーズシリンダー及びオイルラインからのオイル漏れの確認をします。
で、まぁ今更言うまでもなく、オイル漏れはありませんでした。
そうなると、導き出される結論はひとつしかありません。
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原因はクラッチディスクです。
みなさん、正解には辿り着けましたか?
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つまり最初のショップさんでの診断は間違いだったんです。
「だって、エンジン&ミッション降ろして、クラッチの確認して問題無かったって言ってたじゃん!」というあなた、いい質問ですね~!(←池上さん調)
なぜ最初のショップさんが勘違いしてしまったのか。
それは熱で歪んだディスクは、
時間が経てば正常な状態に戻ってしまうからです。
クラッチの構造をよ~く考えてください。
クラッチディスクは、クラッチカバーという強力なスプリングでフライホイールに押し付けられているんです。
それも常時。
つまり、押し花みたいに時間が経つと「正常な状態」に戻ってしまうケースがあるんです。
それも少なくない割合で……。
ですので、エンジン&ミッションを降ろしてクラッチの点検に至るまでの時間で症状が消えてしまってもおかしくないんです。
だって、普通どこのショップでも「じゃあエンジン降ろしちゃいましょうか」と即座に作業を開始できるショップなんてありませんからね。
他に作業抱えてますから……。
数日後に作業とかになったら、もう消えちゃってる訳ですよ、ディスクの歪みは。
だからこそ、オーナーさんも「走り始めの30分」は正常に走れてたんです。
押し付けられて、一時的に歪みが矯正されちゃってる訳ですから。
で、正解を言ったところ、お客様は怒り始めたわけです。
「あのお店じゃクラッチは平気だったって言ってたぞ!」と。
いや、自分にそんな事言われても……気持ちは判りますけどね。
一度エンジン&ミッション降ろして確認してますし、
その時の工賃も払ってるわけですから。
こちらはエンジンも降ろさずに結論出しちゃった訳ですから「降ろしもしないで判るのか!?」と思いもするでしょう。
でもね……最初のショップさんの確認作業がそもそもダメだったんですよ。
あちらに持ち込んだ時も症状は出たそうですので、私と同じ確認作業をすれば結論には至った筈なんです。
それをせずにクラッチのマスター&レリーズを交換した上にエンジン&ミッションまで降ろした挙句、結論はミッション本体と……。
前に書いた「この時点で突っ込みたい部分があるのですが」と書いていたのは、まさにこの事です。
エンジン&ミッション降ろす前に出来る確認作業がいっぱいあるだろ!
これが言いたかった事です。
とりあえず原因が判明した上で、更に明らかになった事実、それは……
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クラッチマスター&レリーズの交換は無意味だった
エンジン&ミッション降ろしての確認作業工賃は無駄だった
この2点です。
そりゃ逆ギレもしたくなるでしょうよ……。
あちらでは全部の作業時間+部品の到着待ち時間を入れて
1ヶ月近い時間を取られた上で直らなかったのに、自分のところでは
確認作業だけなら15分程度、試運転を入れて1時間弱で原因が判っちゃったんですから……。
ただこれ、自分が優秀という自惚れた話ではなく、前のショップさんがダメダメだったというだけの話なんですよね……。
だって、普通このくらいは確認しますよ……少なくともスペシャルショップを謳っているなら……国産Dなら知りませんけど……。
兎にも角にも結論が出たならこれで終わり……とはならないんですよ、実は。
覚えてませんか?
「ペダルごと交換しなきゃ」という話を。
なんでマスター&レリーズを交換したらペダルを換えなきゃならんのよ?
至極当然の疑問です。
しかし、ペダル位置の不良はペダルを交換しなけりゃ直らないと……。
で、それがどういう意味だったのか調べ倒した結果、導き出された結論、それは……
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クラッチマスターが品番変更受けてましたw
なんやねん、それっ!w
まぁ品番変更で新パーツがちゃんと装着出来ないor機能しないというのはありがちな話なんですけど、今回もそれに該当してたんです。
つまり
クラッチマスターのロッド長が短くなっていたんですw
普通じゃあり得ませんけど……あるんです!(←カビラ調)
今回の車両は
「よおう」なんですが、モデル的に古いからか従来の部品が廃番になって、一個新しいモデルである
「よよあ」の部品が代替品に格上げ(?)したみたいなんです。
実際品番が「よよあ○○○~」となってましたから間違いないでしょう。
で、問題が上記の通り「よよあ」用マスターはロッド長が短い為にペダルが奥の位置に固定されてしまうという問題が出てしまうみたいなんです。
それの解決策が「よおう」ペダルから「よよあ」ペダルへの交換という訳です。
これでロッドの取り付け位置が若干変わって、正常なペダル位置になります……し、実際なりました。
ただし、「よおう」のペダルボックス(?)には「よよあ」のクラッチペダル用リターンスプリングが取り付けられないので(無くても特に問題はありません)、ペダルユニットASSY交換が理想みたいですけどね……。
で、一応ここまで読んで
「あれ? じゃあペダル換えただけで問題解決したんじゃ?」と思考を巡らせた方は素晴らしいです!
可能性としてはあり得ますからね!
そういう点に気付けるかどうかが重要なんです。
実際には
「エンジンが止まってしまうほど」ディスクが歪んでしまっていては、ペダル交換によるストローク補正も
焼け石に水なんですけどね……。
ちょっとクラッチの切れが悪いなぁ……程度で済んでいたならディスクの問題じゃなくてペダルの問題で終わったんですけどね。
その位の歪みは出ますからね、普通に乗ってても。
兎にも角にも、トラブルシューティングはこんな感じで終わりです。
あとはまぁ作業するだけです。
エンジンを
降ろして
なかはすっからかん。
フライホイールの歪みチェックをして
古いクラッチを一応チェックしてから廃棄
あとは戻すだけです。
さて、こんなんで楽しんでいただけたでしょうか。
*情報追加
ミッションを見て「あれ? もしかしてこれ……」と思った方は、素敵な観察眼をお持ちです。