2022年08月03日
どうでもいいけど素材の話
アルミ合金の硬度や強度や耐性の話でも。
アルミ合金はJIS企画で定められていて
1000番代から8000番代までそれぞれ特性や用途に合わせて企画がきっちりと定められていています。
例えばホイールナットなんかで使われている合金は
アルミ合金(A2011 硬度95〜100HB)
ジュラルミン(A2017硬度105HB)
超ジュラルミン(A2020 硬度120HB)
超超ジュラルミン(A7075 硬度160HB)
などが使われていての順に硬度が上がっていきます
ちなみに
スチール(SS400 硬度130HB)
ステンレス(SUS304 硬度187HB)
硬度で見ると単純なスチールより超超ジュラルミンの方が硬度が高かったりします。
ただ硬度が硬けりゃ良いって問題でもなくて、強度という視点からも素材を見る必要があります。
硬度?強度?何のこっちゃいな?と思う方も居ると思いますが、
硬度とは、そのものの物質の硬さの事を指し、数値で現す事ができます。
硬度だけで見れば、実は鉄よりガラスのほうが硬いのです。
強化ガラス(630HB)
純鉄(110HB)
鋳鉄(160~180HB)
でも、鉄とガラスをぶつけ合わせたら、間違い無くガラスの方が砕けてしまいますよね。
それが強度の違いのよって起こるものなのです。
強度とはそのものに負荷がかかった際にどれだけ耐えることができるか数値化したものです。
例えば、金属であれば圧力をかけて潰して行った際にどこまで耐えられるか。曲げて行った際にどれだけしなり、折れずに耐えれるか。引っ張った時に破断せずにどれ位耐えるのか。また、もとに戻ろうとする力をはどれ位でどこまで曲げると駄目になるか等
ガラスなんかであれば、どの程度風圧に耐えられるか等。
布なんかであれば、どこまで引っ張ったら千切れるのか。擦れた際に度の程度まで摩耗に耐えられるか等。
素材によって定義が異る部分がありますので一概に比べることは難しいですが。
5mmほどの厚さの鉄の板とアルミの板ガラスの板と布の板?を用意して、立てて固定した状態で硬い木製バットで勢いよくぶん殴ったとしましょう。
鉄は多少の傷や凹みや曲がりが出るが破断したり千切れたりはしませんが、アルミの板は簡単にひしゃげてしまいます。
ガラスは叩かれた部分からヒビがクモの巣状に広がり割れて砕けてしまいます。
布は柔らかくバットを受け止め生地は擦れによって多少ダメージを受けて根本から倒れるるがほぼ元の状態のままです。
このように硬度が高いだけで強度が無ければ、衝撃が入った時に素材として壊れてしまいます。これだけ見ると鉄やガラスより布の方がしなやかさで言えば圧勝なわけです。
さらにここに耐性という考方も入ってきます。(話がややこしくなってきましたね。)
単純に薬品耐性や腐食耐性の話をすると
ガラス瓶、鉄瓶、アルミ瓶をそれぞれ用意して、硫酸を入れたとしましょう。何が起こるかは小学校の理科でも実験したと思いますが、鉄とアルミは腐食されて溶けてしまいますよね。
この点で見れば、鉄→アルミ→ガラスの順に耐性は高くなっていく訳です。
でも、ガラスで車のボディを造るとか狂気じみたことは誰もやりませんよね。なぜなら、強度が低いから。
なので鉄やアルミを使うわけですが、腐食させないために、腐食耐性の高い塗料をコーティングするわけです。
次に、金属の熱膨張率の話をします。
金属は熱を加えると膨張し、冷やすと収縮するものです。これも小学校の4年生の理科の実験で鉄球を使って行いましたよね。
膨張係数は以下の通りです。
アルミ → 2.4×10-5(1/℃)
鉄 → 1.2×10-5(1/℃)
実はアルミは鉄の2倍の膨張係数を持っているのです。
なので、鉄のハブボルトにアルミのナットを装着した際に、過度な熱が加わると、鉄よりアルミの方が膨張率が高いので、ハブボルトとナットの間に隙間が発生します。これがタイヤが外れてしまう原因です。
逆に冷えてくると、アルミナットは縮み、鉄のハブボルトに強くかじりついてしまいます。鉄のハブボルトが痩せるのはこれが原因です。
最後に疲労蓄積の話をしますが、金属は負荷を与えていくと疲労が蓄積していきます。
薄い鉄の板とアルミの板を、曲げては戻してを繰り返すと、負荷がかかっていた部分でパキッと折れてしまう現象が、披露による破断です。
鉄には疲労限度というものがあり、ある程度疲労が蓄積してもちょっとずつの負荷であればそれ以上の疲労がたまらないので疲労限界による破断が起きにくいという性質があります。
アルミは疲労限度が、一定以上の疲労がたまると、前触れもなく突然疲労限界を迎えて破断を起こします。
さてアルミホイールナットの話に戻りますが。
アルミは以上のことから、実はおすすめ出来ないというのが、素材的に鉄との相性が悪いということや、硬度があっても、強度的には鉄に劣り、信頼性が鉄に比べて低いからということになります。
スポーツ走行をする方や、高速道路を頻繁に利用する方など、足まわりに熱がかかりやすい運転をする人は、やはりスチールやクロモリなどがおすすめできるというのも材料的にみればそういうことなのです。
街乗りで無茶な運転をせず、長期間の使用をしないのであれば、アルミナットでも問題が無いという根拠は、このような素材の特性があるからです。
素人考えですが、素材的に鉄とアルミを見た話でした。
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2022/08/03 08:35:57
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