VOL.1 エアクリーナーケース破断修理
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走行中、急にエンジンルームで振動音発生、緊急点検。エアクリーナーケースキャブ接合部の筒基部ととボディが分離破断寸前。ここは6年ほど前に三日月状のクラックが円周上60度ほどはいっていたのを見つけ暫定修理し、結構このままいけるなと思っていましたがやはり修理レベルが不十分だったようです。クラックは周回350度程まで広がっており、家に帰ってこの隙間を撮影しようと筒部を手に持ったら、クニャリと完全に分離してしまいました。線付接着(金属接着剤)と耐熱シーラーによるシールドでは共振に耐えられなかったようです。やはりイメージ画像のように板ステー溶接補強しないと・・・・しかし見えない部分とはいえこの添え木工法はその機能はいいとして見てくれがいまいち気にいらないのです。
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もっと見映えのいい(見えないところですが・・)修理方法はないか? 今度はどのように修理するかいろいろ考えた末、まず最初に調達、検証すべきと実行したのが、パイプの「定着カラー」を一般の工業規格製品から流用移植できるものがあるかどうかでした。あれこれ調べ、白羽の矢を当てたのが空調ダクト関連部品「定着カラー100パイ」、箱型空調ダクトにパイプダクトを接続させる部分に使用するもの。素材は溶解亜鉛メッキ鋼板、一般規格品の中から最小規格(100mm径)を1つだけ購入(税込540円)。 エアクリーナーケース本体にあてがってみると、まるで「おあつらえ向き」のようにピッタシ。エアクリ底穴径との関係。定着カラーのカラー部(耳しろ幅)も丁度いい。これを加工して筒部接合の補強材にすることにしました。破断した元の筒部外径と定着カラーの内径差は約9ミリですが、2重に被せると円周上約4mmの隙間空間ができることになります。この隙間は「GM-8300」で埋め接着、一体化させたうえで「定着カラー」のカラー部分(耳しろ)を、こちらは「GM-5520」を使ってエアクリーナーケース本体の裏に接着することにしました。
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この抜けた筒基部。一見ボデイの丸穴に篏合されていたように見えますが、幅6ミリ程のエリマキ状にスポット溶接されている部分が本来ボディの丸穴の外周を90度折り曲げられて定着カラーとなっていた部分です。90度円周折り曲げプレスによる肉厚が僅かに薄くなったこの部分に、47年間使用の共振による応力がここに集中し、疲労破断していったものと考えられます。エリマキ帯が斜めになっているのはボンネットの傾斜に沿ってエアクリーナーケースも前傾オフセットであるためです。しかもフロント前方10時の方向に10度弱の角度がついているのです。カラー部をこの通り傾斜させて同じ高さつけないといけない。楽観的気分から一気に難儀度が上がりました。
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カラー自体を斜めにひん曲げる方法は高い精度で仕上がっているカラー部を壊し、あれこれ試行錯誤で曲げを繰り返すうちに大事なカラー部が金属疲労させてしまうし、波打ったカラーは角度出しも失敗すること間違いなしと思いました。考えたあげく、定着カラーの底を斜めにカットしてカラー部を前傾させて元の筒に被せること。先ほどの4ミリの隙間空間をうまく活かせば、この高さで約10度斜塔化できるのでないか?次なるハードルはどこをどのように切るかです。幸いエリマキ状の元のカラー帯は破断したままついているので、ぐるっと型紙で採寸どり、平面に展開した型紙を今度は天地を逆にして「定着カラー」に写しとることにしました。
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型紙を「定着カラー」に巻き、切断ラインを決める。直径が採寸元より大きいので、3センチほど足らない欠落部分ができるが、そこは延長放物曲線のイメージで補う。切断はハンドリューター、ダイヤモンドカッターで輪っかを変形させないように慎重に少しづつ行う。モーター過熱冷却のため途中4回ハンドリューターを冷蔵庫の冷凍庫に入れ(各1分)、冷却待ちのロスタイムを減らす。それでも切断に40分ほどかかってしまいました。ブローバイパイプ用の穴はハンドリューターで何段階か大きくしたのち、最後に大きく拡大。
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最底部の絞りは、まずはホースはずしレンチで・・・でも曲げると高さが極微妙ですが変わってしまうのですね。(コンマ何ミリの世界ですけど)息が荒くなって集中してくるとその工程の撮影数が減りますね。
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こうなると現物合わせで一部切り込みを入れて絞ってみたり、何度もトライする。思った以上に細く絞らねば中筒の底部に差し込めない。ブローバイパイプ用の穴も毎回知恵の輪的アクションになるので、この撮影後にU字形に下部を開口。一番おじぎじて下がる画像の反対側を集中して三角切り込みを複数いれて内径を細くしました。丸パイプの径縮小ですから切欠きいれないと当然無理ですね。この後2時間近くとったりはめたり格闘することとなってしまいました。
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右側が加工した外筒となる「定着カラー」。画像ではわかりづらいですが手前と反対側のエンドは三角のサメの歯状態。でもこれをはめればピッタシになる状態のものが完成しましたこれを天地逆にして左の元の筒に被せる。「GMー8300」接着準備のため元の筒の外側塗装は剥がしました。次の接着工程も想定しないことがあるとは、この時はハードルを越えたはずのつもりでいました。・・・・(続く)
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