Part 1のAlfa Romeo(こちら)、Part 2のLancia(こちら)に引き続き、Part 3ではAbarth Corseのトランスポーターやサポートカーを紹介します。
なお、今回はミニカーのスケールは全て1/43です。また、車名の頭にFiat Abarthが付く場合は省略して記述しています。
大作過ぎて字数制限に引っかかったので、前編、後篇に分けてお届けします。
<1950年代中期~1960年頃>
当時の実車写真を発見することが出来なかったので、正確な年代が分かりませんが、アバルト創成期に使用されたと思われる、Fiat 615Ⅱのサポートバンです。
IV Model Factoryがモデル化してくれました。
Fiat 600をベースに、Bertoneデザインのボディーを架装した速度記録車500 Record Bertone(向かって左)と750 Record Bertoneのミニカー(向かって右、いずれもHachette製)と並べてみました。
750の方は、1956年6月17~18日にMonzaで24時間速度記録に挑戦し、平均速度155.985km/hで当時のクラスHの速度記録を達成した車です。
500の方は、1956年7月25日に同じくMonzaで、2,000kmを平均速度139.978km/h、連続24時間走行で平均速度137.958km/h、2,000マイル走行で平均速度137.771km/hの記録を達成した車です。
別の速度記録車750 Bialbero Pininfarina Record(向かって左、GAG Model製)と500 Record Pininfarina(向かって右、Pinko製)と並べてみました。
750の方は、Fiat 600をベース、500の方はFiat 500をベースにPininfarinaデザインのボディーを架装した速度記録車で、750の方は1957年10月にMonzaで3つのクラスHの速度記録を達成した車、500の方は1958~59年にかけて多くの速度記録を樹立した車です。
1957年のMille Migliaに出場した、750 Vignale Goccia #38(CarPin Models製)と、1959年のAlbert Ascari Torophy 12時間に出場した750 Coupe Zagato #41(Starline Models製)と並べてみました。
<1961年>
1961年6月に開催されたルマン24時間では、OM Tigrottoトラックを改造したトランスポーターが使用されていました。
トランスポーターはIV Model Factoryが、1961年のルマン出場車はSparkがモデル化してくれていますので、当時の状況を再現してみました。
搭載車両の700 Bialbelo #55は、ゴールまであと1ラップの所までクラス1位をキープしていたのに、オイルリークでリタイアを強いられた車です。700 Bialbelo #56は111ラップ目でダイナモが壊れてリタイア、850 Bialbelo #60は総合14位で完走、手前の700 Spyder #49は15ラップ目に事故で早々にリタイアした車です。
この一連の写真はアバルトの歴史を語るときに必ず登場する有名な写真で、日本のアバルトディーラーのショールーム壁面にもパネル写真にして飾ってありますが、1961年9月3日に開催されたNürburgring 500kmレースでアバルトが歴史的大勝利を挙げた時の写真です。
このレースにアバルトは、GTカテゴリーに2台の700 Bialberoと3台の1000 Bialberoを、ツーリングカーカテゴリーに5台の850 TCを投入し、ブライベータ―チームからも数台の車が参戦しましたが、1000 Bialberoの3台が総合1,2,5位を獲得(但し1位はプライベーターのScuderia Serenissimaからエントリーした#113)、総合8位に入った700 Bialbero #98もGT700クラス優勝、ツーリングカークラス(T850)でも850TCが1~3位独占という大勝利を挙げ、アバルトの名を一躍高めました。
Nürburgringに向けて工場を出発するAbarth Corseのコンボイ
超変態メーカーのIV Model Factoryが、この歴史的なコンボイをミニカーで完全再現するという快挙(暴挙?)をやってくれました。
先ずは、先頭のFiat 615Ⅱサポートトラックです。
幌は実車通りに布地が使われており、中々良い雰囲気です。
2台目の、OM Tigrottoトラックを改造したトランスポーターです。
搭載車両の1000 Bialbero #112は総合2位、700 Bialbero #99はDNF、850TC #51は総合13位 T850クラス2位の車です。
なお、1000と700 Bialberoのミニカーは、CarPin Models製、850TCはProgetto K製で、いずれもIV Model Factory特注品です。
3台目の、OM Tigrottoトラックの荷台に建築用の足場を利用した架台を設置した仮設トランスポーターです。
搭載車両の1000 Bialbero #110はDNF、700 Bialbero #98は総合8位 GT700クラス1位、850TC #50は総合22位 T850クラス5位の車です。
4台目の、OM Tigrottoトラック仮設トランスポーターです。
搭載車両の1000 Bialbero #111は総合5位、850TC #52は総合12位 T850クラス1位の車です。
最後尾5台目の、OM Tigrottoトラック仮設トランスポーターです。
搭載車両の850TC #53は総合34位 T850クラス9位、850TC #64は総合14位 T850クラス3位の車です。
<1962年>
1962年のルマン24時間レースでは、こんなトランスポーターが使われていました。
車種はFiat 645Nだと思われますが、私の知る限りではこのトランスポーターのミニカーは発売されていません。
IV Model Factoryから、Rosso塗装で荷台の短いFiat 615Ⅱサポートトラックも発売されています。
当時の写真を発見できなかったので正確な時代が特定できませんが、多分このあたりの時代に使用されていたものと思われます。
Spark製の1962年ルマン24時間出場車と並べてみました。
Abarth Simca1300 GT #41は66ラップにイグニッショントラブルでリタイア、同じく#43はベルギーのEquipe Nationale Belgeからエントリーし総合14位、700 Bialbero #51は114ラップにピストン破損でリタイアした車です。
後編に続く
前編から続く
<1963年~1971年>
1963年のNürburgring 500kmレースのパドック写真です。
この年から、OM Tigreトラックを改造した赤いトランスポーターと、車種不明の一回り小さい赤いトランスポーターを使用し始めたのが分かります。
OM Tigreのトランスポーターは、CarPin Modelsがモデル化してくれています。
上の写真では、赤いトランスポーターの横にFiat 615Nトラックの荷台に850TCを積載したグレーの車両も見受けられます。
これはIV Model Factoryが再現してくれました。
積載されている850TC #62は、同レースで総合6位 T1.0クラス1位になった車です。
上や下の写真では、Fiat 1100T小型トラックがタイヤや部品の運搬車として使われていることも分かります。
この車両もCarPin Modelsがモデル化してくれています。
この車両は後部のあおりを倒すと積車としても使えますが、この状態を再現したミニカーもCarPin Modelsから発売されています。
積載しているのは、Bee Bop製のOT1600 Berlina(1964)です。
Fiat 1100Tは、この時代のAbarth Corseのサポートバンとしても使用されていました。
この車両はALM Modelがモデル化してくれています。
Starline製の2300S Coupe速度記録車(1963)と並べてみました。
このミニカーは、助手席側ウインドウにクイック フィラーキャップが直接接着されているだけという手抜き商品だったので、助手席を撤去して設置された巨大な補助燃料タンクや、そこからリアサイドウインドウを貫通して後部に伸びるブリーザーパイプ(?)は私が追加工作しました。
1966年撮影の写真です。
似たような情景をミニカーで再現してやりました。
積載されている1000TC(全てBrumm製)は、1966年のMonza 4時間レース出場車を再現したもので、#28が3位、#30が1位、#31はDNFという成績でした。
1966年のNürburgring 500kmレースに向けて、アバルト工場でレース車両積込み中の情景と思われる写真です。
似たような情景をミニカーで再現してやりました。
積載されているのは、同レースに出場した(総合34位)OT 1300 Longtail #5(CarPin Models製)とOT 1600 Coupe Prototipo(Spark製)、手前の車は同レースで総合3位 P1.0クラス1位を獲得した1000 SP #25(CarPin Models製)です。ちなみにこのレースでは、AbarthチームのOT 1300 #35が優勝しています。
これも1966年に撮影されたものですが、OM Tigreトランスポーターの横に、サポートカーのFiat 625大型バンが写っています。
私は所有していませんが、IV Model Factoryからこのミニカーが発売されています。
このあたりの時代には、Fiat 600T小型バンもサポートカーとして使用されていました。
これはFiat 600 Multiplaをベースにバンボディーを架装された車です。
1967年のOllon-Villarsヒルクライムレースでクラス優勝したOT 1300 #148(RS Model製)と並べてみました。
1966年のOT 2000 Coupe America(Hachette製)と並べてみました。
1968年撮影の写真ですが、Fiat 625サポートカーのルーフにチェッカー模様が追加されていることが分かります。
これも1968年撮影の写真ですが、2000 Sport Spiderの後方左端の人物がカルロ・アバルト御大、その隣がアンネリーズ夫人です。
この時代のFiat 625サポートカーのミニカーも、IV Model Factoryから発売されています。
1968年のNürburgring 500kmレースで優勝した、1600 Sport Spider #6(DVA製)と並べてみました。
1969年のヒルクライムレースに出場した3000 Sport Spider #141、同年のNürburgring 1000kmレースに出場した2000 Sport Prototipo Cuneo #34(両方ともDVA製)と並べてみました。
Fiat 1100Tサポートバンの後継として、Fiat 238のサポートバンがAbarth Corseで使用されました。
正確な使用年が分かりませんが、Fiat 238は1967~1983年にかけて生産された車なので、少なくとも1967年以降から使用されたと思われます。
1968年のImola 400kmレースでクラス優勝した1000 SP #21(CarPin Models製)と並べてみました。
この車は、BigStoneさんが1/1スケールをお持ちですね(笑)。
1970年の1000 TCR(No Name製)と並べてみました。
<1972年以降>
1971年10月にAbarth&CはFiatに買収され、Fiatグループのモータースポーツ車両開発や市販車チューニングを担当することになりました。Fiat 124 Rallyや131 RallyなどはAbarthが手掛けたマシンです。
1981年に会社としてのAbarth&Cも活動を停止しましたが、引き続きFiat社内のレーシング部門としてAbarthの活動は続き、Lancia 037 Rally、Lancia Delta S4、Lancia Delta HFなどの優れたラリーカー、Lancia LC2などのグループCカー、 Alfa Romeo 155TSや155 V6 TI DTMなど、Fiatグループのほとんどのモータースポーツ車両開発に関与しています。
1972年以降はAbarth単独でのモータースポーツ活動は行っていないはずですが、Progette KよりFiat 900Tのサポートバンのミニカーが発売されています。
当時の写真を発見できなかったので正確な時代考証が出来ないのですが、Fiat 900Tは1976~1985年まで製造された車なので、少なくとも1976年以降に使用された車だと思われます。
時代考証的には少々合わないですが、1974年のGiro d' Italiaに出場したAbarth 3500 Prototipo Pininfarina (SE030) #527(Bee Bop製)とX1/9 1800 Prototipo #529(CarPin Models製)と並べてみました。
#527の方は見事2位を獲得、#529の方は、F1ドライバーのCray Regazzoniがドライブしたマシンです。
翌1975年のGiro d' Italiaで見事優勝を飾った、031 Mirafiori 3500(SE031)#516(Bee Bop製)と並べてみました。
1979年の035 Volumetrico Competizione(SE035)(CarPin Models製)と並べてみました。
1976年頃にこんなIveco Fiat OM55大型バンのサポートカーが使われていたようです。
私は所有していませんが、Tronからこのミニカーが発売されています。
次回はMaseratiを予定していますので、乞うご期待!!
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