不可解也

人生之不可解也　といって華厳の滝に飛び込んだやつもいるけれど

現代は、そんな哲学的思考に惑わされることは、全く評価されない時代である。


たとえ、若人が自殺しても、その理由よりも、その手法、

学校から飛び降りたとか、電車に飛び込んだとか、

もう、社会の迷惑だから、死ぬなら一人勝手にやってくれ、という始末である。


まあ、なんと共感性に乏しい社会になってしまったか。



今日は、そういう嘆きではなく、

女性心理の不可解をここで嘆こうと思うのである。



職場の同僚が有馬温泉に行って土産を買ってきた。

有馬温泉について少しばかり講釈を垂れると、別の同僚がこういう。

「情熱開放さんは、なんでもよく知っていますね。今度、旅をしたら連れて行ってください。

いろいろお話を聞けて楽しそうだから」

「ええ、ブラタモリばりでね」



そうして、すぐさま「いつも暇にしていますから、いつでも言ってくださいね」



でも、さっぱり、後が続かない。


今日も散髪直後の頭。スポーツ狩りである。

「こどもだったら、髪の毛触るんですけどね」

「触ってもらっていですよ。びんずるさんだと思って」

「びんずるさん？？」

若い同僚は知りません。

「教えてもらっておいてね」といって業務に戻ります。




「びんずるさんって、ビリケンさんみたいなものですか」

「違います。自分の悪いところを撫でて、びんずるさんの同じところを撫でると身代わりになって
治るというものです。近くの有名寺院にもありますよ」

「何でも知ってますね。ほんま、情熱開放さんの頭撫でたいわ」

「どうぞ遠慮なさらずに」




ああ、社交辞令にさえ、惑わされる僕。