
立山地方に雄山神社は三社ある。
そのことを知ったのは、現地での情報収集過程でのことであった。
ひとつは、立山の山頂にあり、もうひとつは立山から流れ出る常願寺川の中流の川岸に、
そして二日目に散策を決めた立山の麓の集落「芦峅寺(あしくらじ)地区」にある。
その地区は立山信仰ゆかりの地であって、地区には県立立山博物館があり、ちょうど「地獄展」の開催初日となっていた。
さて、二日目、前日から続く雨。登山は明日に順延。予定通り今日は下界をうろつくことにする。
当初は高岡・氷見にもどって散策を予定していたが、上の通り、立山信仰について学ぶほうが
楽しそうであるし、翌日の立山登山にも意義深くなるだろう。
立山駅で一日乗り放題切符を買って(場合によっては高岡に出ることも想定している)
富山地鉄で2~3駅戻って常願寺側沿いの谷あいの駅から坂を上って歩けば
(実際は雨の中かなりの道のりだった)、少し広がりの或る経緩やかな傾斜地に出る。
蕎麦畑が広がる。そこはどうやら溶岩台地のようである。
道中には石仏があって、西国三十三箇所の札所を表している。
そこからは、すぐに芦峅寺地区の中心につく。
まず目に飛び込むのは、うっそうとした杉林のなかに、雄山神社がある。
先行く地元のOL風の若い女子が行きつ戻りつ迷っている。私たちの姿を見て、お堂に入り
熱心に祈っている。彼女が出てくるのを待って、私たちも雨宿りがてらお邪魔した。
いらした官職の方に立山信仰のお話を聞くことができた。
「もしか、歩いてこられましたか」
「はい」
「それなら乗せてあげればよかった。途中で追い越しましたから」
「いえいえ、昔の人ならこれくらいの距離はどうってないこと。現代人は甘えすぎです。
ところで、これを見ますと、伊勢講のように立山も・・・」
「そうです。立山曼荼羅をもって、立山の絵解きをするんです。当時の仏教思想に基づいて
浄土と地獄を描いています」
「なるほど。伊勢なら御師ですね」
Posted at 2016/10/07 04:44:42 | |
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ドメスティック遍路 | 日記