ボヴァリー夫人は、理想と現実の乖離に引き裂かれ、身の不幸を招いた。
一方、オッフェンバックの『天国と地獄』もまた。
ギリシャ神話の神々の出来事をパロディとする。
愛妻家のオルフェウスは死んで冥界にいる妻を取り戻すべく、冥界の神ハデスに帰還を請う。
条件は「決して振り返らないこと」
しかし、冥界からこの世への出口に到達したとき、明るさに幻惑される。
妻は付いてきているか。心配になったオルフェウスは振り返る。
すべてはおじゃん。
(何かしら古事記で見た世界だなあ。ギリシャ神話をぱくったんじゃあないかというところが、あちこちにあるぞ。偶然?)
時代は下って、人間精神は堕落に満ちる。
オルフェウスにも妻にも浮気相手がいるダブル不倫。
なぜか、オルフェは妻の浮気相手を殺そうとするが、仕掛けた毒蛇は妻を咬む。
これで万事OK。オルフェは妻が消えた。妻は妻で浮気相手は冥界のハデズだったので、あの世で意気投合。
ところが世間は「表向き貞節を求める」というダブルスタンダード。
オルフェに冥界へ妻を取り戻すように仕向ける。オルフェは嫌々冥界に行き…
ハデスに申し出る。ハデスの条件。しかし、ここでもオルフェは失敗する。
そう、妻は取り戻せず、結果論、万事OK。
妻は冥界に留まる!
そのあとも話は続きますが省略。
あほらし。人間なんて、「人間らしく」生きることはもう望んでいないということ。
19世紀。21世紀も当然だ。
通りで、人間を探しても、人間が見つからないということ。
無駄なことをしてきたもんだ。
もちろん、古代ギリシャの世界でも、ディオゲネスは人間を探し、とうとう見つけることはできなかったのだが。
昨日は、昼休憩にうまく12時に入り、ETVで「純粋理性批判」の100分で名著を見た。
カントも『人間』を探し求めた。
彼の外には見つけることができなかったろうな。
人間。
そんな「理想」形など、どこにいるというのだろうか。
昔の地獄は、まじめ人間が作ったもので、不真面目人間は、鬼にしばかれた。
しかし、いまや、地獄は不真面目人間で溢れかえっている。
日本人なら、それでも鬼のいうがままだろうが、
フランスはそうは行かない。
地獄でもデモをして鬼をやっつけて、
もうこれ以上しぬことのない死後の世界で、
四六時中、よろしくやっているのだから。
Posted at 2020/06/26 00:11:19 | |
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わたしがおしえてあげるわよ | 日記