
北米出張に行くことになった。これから、しばらくの間、定期的に通わねばならない。 本来の行き先は、ノースカロライナ州のある街なのだが、今回はイリノイ州のシカゴが目的地である。
前半がクルマと関係ないグルメ系の話ばかりで混乱するかもしれないが、本題はシビックセダンである。
他の会社なら、自分の好きな航空会社の便が選べるのだろうけれど、そんなわけはなく、会社から渡された航空券は、ANAの羽田からシカゴまでの直行便である。飛行時間は11時間と長距離便ではあるが、ファーストクラスの航空券が支給されるはずもなく、いつも通りの出張者向けの座席である。このシップは、スターウオーズ塗装機なので、ななめ前の席にはマスターヨーダがひょっこり乗っていたりする。

マスターヨーダ
移動中には仕事をしない主義だが、さすがに11時間の所要時間の間、何も仕事をしないというわけにもいかず、備え付けのエンターテイメントシステムの映画やビデオもあまり見ないので、仕事用のドキュメントを見る以外は、食事をするか寝るかである。旅客機だから、操縦は他の人に任せて、上げ膳、据え膳で食事をして、寝るというのは良いものだ。
しかし、機内食はグルメの話からは、程遠いだろうと思われるのもしかたない。機内食はまずいから食べないと言う人もいるけれど、結婚式の披露宴レベルくらいのものは出るし、11時間食事抜きもつらい。作る側も、制限の多い中で精一杯美味しいものを作ろうとしているので、食わず嫌いせず、機会があれば食べてみることをお勧めする。 ANAの北米線の場合、和食と洋食3つのメニューから選ぶことができて、アミューズ→前菜→メイン→デザートの順で提供される。 写真は前菜とスープが出されたところ。

機内食(前菜とスープ)
長距離便の場合、食事は2回出るが、2回目の食事の時間は自分で決めてよいし、何を食べるかも好きな物が選べる。(最初の食事も頼めばずらしてくれる)ANAでは、機内で出される一風堂のラーメンに定評がある。正規の朝食セットはキャンセルして、ラーメンにフルーツと、レストランよねむら監修の筍のステーキを合わせて朝食とした。 ANAの大型機(シップは、ANAの大型機の主力機である、Boing777-300ERであった)は、ファーストクラスでなくても、寝台特急のように座席がベッドになる仕様になっているので、椅子を全部倒すと180度フラットになるし、その上に専用のマットを敷いて、毛布をかけて寝ることができるようになっている。(777-300ER以外に787型機の一部にも同様の座席を装備したビジネスクラスがある)

ラーメンとフルーツ(飲み物はペリエ)
(各写真内の「Foodie」の刻印は、料理用写真ソフトの名前)
時差があるので、午前中に羽田を出発しても、出発時間より前の同じ日の朝にシカゴに到着する。シカゴは、緯度が函館と同じくらいなので、5月でも気温が12度程度とかなり寒い。 街は碁盤目上の道路できれいに区画されていて走りやすく、ハイウエイで街と街をつないでいる。 今回は、ホンダに関連する仕事なので、お迎えのクルマも当然ホンダのクルマであった。 米国ホンダと言えばアコードかと思いきや、北米で大量に売れている現行シビックのEX-Tである。

シビックEX-T(北米モデル)
シビックEX-Tは、日本と同じシビックセダンの1.5Lターボモデルの方で、遮音性がよく、目立った突き上げも嫌な振動もなく、リアシートは思いの他快適であった。 シビックセダンは、5ドアハッチバックのようにルーフがトランクに向けてなだらかに傾斜しているファストバック形状なので、後席の頭上方向はこぶし一つ入るかどうかの余裕しかないが、1800mmの全幅を生かして、横幅も座席間の前後のスペースも広く、頭上空間を除けば、大柄なアメリカ人でも快適に過ごせるだろう。
北米のシビックセダンは、この1.5Lターボと2.0LのNAが併売されている。ターボには日本にはないプレミアムガス仕様のMTもある。(SIと呼ばれる。日本のハッチバックと同じ構成と考えてよい) ガソリンのオクタン価の関係で、北米でもレギュラー指定の1.5Lターボの出力は174馬力、22.4kgmと日本仕様とほぼ同じである。2.0LNA版は、158馬力、19.0kgmのトルクと、全般的に1.5Tの方が高出力であり、燃費もEX-Tが32 city/42 highway/36 combined MPG ratingと、NAの31 city/40 highway/34 combined MPG ratingとNAに勝ることになっている。(日本の単位に直すと、都市・高速の組み合わせでターボが15.3km/L、NAが14.5km/L)

シビックEX-T(北米モデル)
この仕事は、時差ボケとは切り離せない仕事なので、人それぞれ、時差ボケを解消するためのやり方があるのだが、初日は、翌日から始まるスケジュールに向けて、実質的に時差ボケを解消するための様々な活動が中心である。 いかに寝台特急仕様の座席であっても、熟睡できるわけではないので、体内時計を調整する時間がいるわけだ。 手続きを終えると、ホテルのキーとクルマのキーが渡された。仕事では、シカゴの郊外に行くので、ホンダがクルマを用意してくれたわけだ。 クルマはお迎えに来た時のクルマと同じ、シビックのEX-Tであった。

シカゴ市内(360タワーより)
シカゴは米国の3番目の都市で、中心街は、NYの少し古い町並みの雰囲気と、SFOの新しい都市設計が合わさったような街で、非常に走りやすくかつ分かりやすい街である。五大湖のうちの一つ、ミシガン湖に面していて、淡水魚や蟹の養殖の他、近隣から肉、野菜、魚介類が届くので、グルメの街でもある。 アメリカに観光旅行に行くという人は少ないかもしれないが、アメリカも意外とリラックスできる街がたくさんある。 シカゴはアメリカ有数の都会であるが、その割に有名なのが、シカゴピザという庶民的な食べ物で、ナポリピザに比べると皮も具も厚いわけだが、素朴な味で美味しい。(値段も安い)アメリカのチーズは味が濃いめなので、チーズを含まないクラッシックの方が美味しいと思う。

シカゴビザ(写真はお勧めじゃない方のチーズ入り)
夕食は、地元のスタッフのお勧めのお店のステーキハウスである、「RPMステーキ」を予約してもらった。このステーキハウスは、シカゴ市民に人気があり、月曜日の夜だというのに、予約でいっぱいであり、19時には、お店の中も空席は一つもなかった。

RPMステーキハウス(この後、すぐに満席になった)
注文は、もちろんシグネチャーメニューの低温熟成肉の、ニューヨークストリップ16オンスである。 米国のステーキはやはり美味しい。このお店は、アメリカのビーフだけでなく、輸入した和牛や、米国産和牛の肉もある。和牛も美味しいと思うが、脂肪分が多い分たくさん食べると牛脂の味に飽きてしまう。また、牛脂の味も、和牛は餌が穀物中心なので、牧草の餌を多く食べている米国のプライムビーフとは、脂肪の味も異なる。どっちが美味しいと片方に決められるものではないが、米国のステーキの調理方法にあっているのは、やはりプライムビーフで、表面がパリッと焼けて、内部にじっくりと熱が浸透した(火が通ったのではない)レアを堪能したければ、アメリカの熟成プライムビーフをお勧めする。

ニューヨークストリップステーキ(低温熟成肉) レア
ステーキのサイズをダウンサイジングする傾向はないようだが、シビックは、北米では、「ダウンサイジング」なアコードもしくは、「お買い得になったシビック」として捉えられている。この地でのホンダの主力はアコードであったけれど、長年のライバルのカムリ・ハイブリッドに燃費で及ばないアコードは、北米での苦戦を強いられることになった。一方で、ハイブリッドを中心に据えたカムリは、2017年の販売台数は2016年に比べてやや減ったものの、34.7万台を販売していて、街中でもしょっちゅう見かけるし、シカゴのタクシーの主力もカムリハイブリッドである。 カムリに対して、アコードは30万台とカムリより販売台数は少ない。

カムリ(北米仕様)
5月23日に発売されたアコード・ハイブリッドがどこまでカムリ・ハイブリッドを追い上げるかが注目されている。ホンダは、幸いにもシビックの販売台数が増えたことで、アコードが持っていたホンダの市場を手放さずに済んだ。 価格帯が28,000ドルから始まるアコードに対して、21,400ドルから始まるシビックだがから、利益は減ってしまうが、市場を手放すよりはずっとましだ。しかし、本来なら利益率の高いはずのアコードは、2017年の販売台数を確保するため、2017年は多額の値引きをすることになった。 この販売方法を続けると、アコードの市場での価値を毀損してしまうため、2018年は、アコードに対する販売促進費の積み増しは行われていない。 2018年5月にハイブリッドモデルを投入して巻き返しを図る。

アコード(北米仕様)
シビックは、Cセグメントのクルマだから、同じクラスのヒュンダイ・エラントラやキアのフォルテと勝負をすることになる。 結局CIVICの優位は、クルマ自体よりも、Honda Sensingを搭載した状態で、韓国製のライバルに価格で5000ドルほど勝り、思いっ切ってワイドにした車幅から得られる室内の広さも魅力的に映っていると思う。 シビックは、走りの面でも、少なくとも上記2車種の韓国車にも、MAZDA3にも勝っていると思うものの、このクラスのユーザは、「乗り出し価格」を重要視する傾向があると言える。

シビックEX-T
北米においても、Cセグメントにおける販売台数の大小を決めるのは、「値引きの多寡」だ。日本では、韓国車の評判は知られていないが、「日本車ぽいクルマ」だと認識されていて、品質も、性能も、広さも、燃費も悪くもなく、デザインは優れている、というのが、ヒュンダイの捉え方だ。 何より、値引きが抜群で、20,000ドルの本体に安全装備や必要なオプションを付けて、28,000ドルになっても、そこから平気で4,000ドルくらいは引くのだ。 シビックが21,000ドルで、安全オプションなど必要なオプションをつけて、25,000ドルであっても、韓国車よりも高くなってしまう。

ヒュンダイ エラントラ(コの字型のヘッドライトと5角形のラジエターグリルが・・・どこのスバル?)
ヒュンダイの値引きがどのくらいすごいか、を例えてと言うと、「220万円のインプレッサにオプションをつけて、乗り出し300万円、そこから平均で45万円は値引きます。」というレベルだ。、そんな値引きを繰り返したら、日本ですら、街中がインプレッサだらけになってしまうだろう。 シビックは利益率がアコードほど高くはないので、アコードより値引き額は小さいが、安全装備のオプションの思い切った安さ(1000ドル)に助けられて、総支払額での価格で対抗できていると言える。 スバルが初期のアイサイトを10万円と低額で売り、市場を捉えたのと同じように、HONDA Sensingを拡販しようという方針でもある。
肝心のシビックを一言で言うならば、いいクルマだと思う。 何より、シャシーが素晴らしい。TYPE-Rは、エンジンからシャシーまで最高の一台だったが、少なくともシャシー(ボディ+サスペンション)の乗り味は、「昔のシトロエン混ぜのTYPE-R」と例えても良いくらい、よくできている。つまり、路面とのあたりが柔らく、最初の衝撃の吸収は、日本車らしくふわっとしているが、その後にふわふわは継続せず、ふわ・ぴた とショックが抑えこんでしまう。次に優秀なのは、ロールと旋回制御で、長大なホイールベースにも関わらず、前後のロールが遅れて発生するような、バスのような動きにならない。これは、前後左右の剛性の制御がうまくできている証拠で、前後左右の剛性バランスが適切かつ、高いレベルでまとまっているので、左右の旋回の際に、前後のロールや旋回の仕方に違和感がないのだ。
ステアリングは、電動パワステのピニオンギアを、ステア用と補助動力用にわけた2ピニオンギアという凝った仕組みを持っていて、取り付け剛性も含めてよくできていることも、好印象を与える。

シビックステアリング
そして、最大の売り物が、HONDA Sensingだ。 衝突防止安全装置と、レーダー・単眼カメラを使用した追尾式のオートクルーズはアメリカの道路でも便利である。レーン保持機能も、道路の狭い日本では安心した走りに役立つだろうし、米国でも、ハイウエイで道路の線形にあわせてステアリングしてくれるのは、見知らぬ高速道路のドライブを快適にしてくれる。

HONDA Sensing
内装は、TYPE-Rと同様にギミックが多いところは好みではないが、すぐになれるし、こういうのが好きな人もいるだろう、としか言いようがない。表示される数値がおかしいとか、見えないとかいう問題はないから、シビックのインパネは、こういう文化だと思ってあきらめるしかない。仕事で使うホンダ製品のインパネは、そこまで独自のデザインになっていないし、他社製品に置き換えることもできるから、シビックのような心配はなさそうだ。

シビックインパネ
変速機は、CVTにトルコンが組み合わされていて、ATっぽい感じもあり、コンパクトカーのCVTほど極端に、回転数だけ上昇してクルマは前に進まないというような生理的に嫌な動きは押さえられてはいるものの、それは「CVTの割には気にならない方」と言うだけのことで、やはり車速が一定でも、必要トルクに合わせて回転数だけ変化するから、変速機として魅力的なわけではない。 むろん、CVTに伝達効率の不足も変速ショックもないから、何か大きなネガがあるというわけでもないのだが、「FFなのに、動力の伝達感がかちっとしてなくて、隙間になにか入っている」感覚はぬぐえない。 TYPE-Rはブリッパー付きのMTだから、この問題はない。

変速機(CVT)
エンジンは、賛否両論あるだろう。シビックの最大パフォーマンスは、ライバルを上回っていると思うから、一瞬の加速などでスロットルを深く踏んだ時にパフォーマンスを楽しみたい人には向いている。 1300kgのシビックにとって、1500ccというのは、ダウンサイジングエンジンというほど、小さすぎるわけではなく、低排気量ダウンサイジングターボに付きまとう低回転でのトルク不足の痛痒感はない。しかし、実際に乗ってみると、最初はドライブフィールに違和感を感じた。

1.5ターボエンジン(日本仕様)
自動車技術としては、直噴のターボをレギュラーガソリンで実現し、カタログ上、1700回転~5500回転まで最大トルクを発生するなど、VTECの効果も含め、スペック上は、さすがエンジンのホンダと言ってやりたいところだ。 しかし、最良のターボエンジンの一つである、TYPE-Rの2.0ターボエンジンと比べるまでもなく、このエンジンには、やはり無理がある。 カタログ数値を引き出すように、ブーストメータの過給圧のバーの動きに注意しながら、スロットル開度を調整していけば、確かに2000回転あたりから、5500回転まで十分なトルクを発生し続けるけれど、公道でそんなことを意識し続けて乗ることはできない。
直噴ターボなのに、低オクタン価ガソリン仕様だから、アクセルのツキが良くないのは仕方ないし、低回転でしばらく運転をしたあとに、加速するためにぐっと踏み込むと3000回転くらいに達するまでの間に、明確なターボラグを感じる。 3000回転以降は、スロットルを踏んでいけば、十分な過給がかかり、パワーも出てくるが、瞬間燃費計の数値はかなり悲惨な値を示すことになる。 しかし、このエンジンを生かすために必要な、重要なモードがあることをこの時点では意識していなかった。このことは、結論で述べる。

シビックEX-T
シカゴの街中から、片道40kmほど離れた職場まで、ハイウエイと市街地を半々、交通ルールを守って走行した場合の燃費は、日本の表記に直すと、13.4km/lで、同行した同僚が乗っていた、2.0のNAシビックは、13.8km/Lだったから、ダウンサイジングターボの方が燃費が良いということはないと思う。上記の計測は5日間走行した時の満タン方で計測したものだが、車載の燃費計でも、5日間、ターボがNAに勝つことはなかった。

シカゴストリート
■結論
北米でシビックセダンを走らせてみて、売れる理由がよくわかった。セダンの人気がない日本でもかなり売れるのではないかと思う。(実際にかなり売れているようだ)
このクルマは、ロボットチックな外装デザインを含め、アメリカ市場のマーケットリサーチとライバル車の分析から生まれたが、同時にTYPE-Rという稀有な優秀な妹の存在のおかげで、Cセグメントのクルマのベンチマークであるゴルフを超えるハンドリングとステアリングフィールまで得た。ギミックの入ったインパネとが受け入れられたように、直噴ターボエンジンの特性もまた、アメリカ人に受け入れられたのだ。(なお、インパネに対するユーザの印象は意外に悪くないようだ) 内装に高級感はなくとも、縦横に十分に広い。
エンジンについても、大きな不満は聞こえてこない。むしろ、このターボエンジンは、シビックにあっているのかもしれない。数日間乗ると、このエンジンは、できるだけ過給をせずに、燃費効率の良い低負荷領域で動かそうと努力していることがわかる。そのプログラムを意識せず乗ると、スロットルレスポンスが悪いと感じ、レスポンスの不足を補おうとしてスロットルを踏むと、今度はターボラグが出てしまい、結果的に燃費が極悪になるという悪循環に陥ることになる。 最大トルクを低回転から高回転まで出し続けようなんて走らせ方も、多分間違ってる。

ECONボタン
最も適切な処置は、ECONボタンを押すことである。 ECONボタンは、他のクルマのエコボタンとは異なり、最大出力を絞ってしまうものではない。スロットルの開度変化に対する、出力変化を緩やかかつ滑らかにする、つまり、ダウンサイジングターボが得意とする、低負荷領域をうまく使わせようとする設定であるので、まずECONモードに設定して、このエンジンの特性に慣れる必要があるだろう。 市街地から巡航まで、できるだけ低負荷運転を行い、必要な時に踏み込んだ時は、過給をかけてターボパワーを使うというのが、正しい使い方のようだ。 シカゴは、最高気温が12度と寒かったので、冷房は必要なかったが、ECONモードの場合は、エアコンのコンプレッサーの使用を抑える制御はするので、夏にエアコンが効かないなーと言う時は、ECONをオフにする必要がある。 NA版にもECONボタンはあり、ターボモデルと同様に押して運転する方が燃費が良くなる。
Cセグメントのセダンは、日本には市場がないとみなされて、アクセラとインプレッサを除けば、ほとんどまともなクルマがない状態だ。(まもなく、新型カローラが乗り込んでくる)しかし、実はセダンのマーケットは少し違う所に存在していたのだ。 シビックセダンは、世界の市場において、大型化しすぎたDセグメントのクルマに対して、適当なサイズのDセグメントのサイズのクルマだと捉えられたように思う。シビックのボディサイズは、Dセグメントの代表格である、現行のBMW3シリーズや、Cクラスとほぼ同じなのである。 だから、北米ではCクラスの大きさに見えるMAZDA3は売れなくても、シビックは売れたのだろう。 そう考えると、日本市場でも伸びを見せることが期待できる。現在、300万円以下で、DセグメントとCセグメントの間の適当なサイズで、安全性が高く、ホイールベースが長くてスタイリッシュで、実用性もあるセダンボディのクルマと言うと、シビックセダンしかないのだ。

シカゴストリート
私は、「さらば、ダウンサイジングターボ」に書いたように、燃費を重視するならば、自然吸気の適切なサイズのエンジンの方が、使い方にストレスはないし、平均燃費も優れているという認識は変わらないけれど、ECONという電子制御スロットル付きのダウンサイジングターボならば、ユーザはそこまでエンジンの使い方に気をつかわなくてもよくなる。 ECONとセットで考えた場合、燃費を意識したターボエンジンの存在を全否定する必要はないだろうとも思った。 ドライビングプレジャーは、NAの方が上だと私は思うものの、ターボかライトサイジングかの決着は最終的に市場が決めることになるのだ。 今のホンダは、「カタログ燃費が良いVTECターボの方が、ただの直4より価値がありますよ」とユーザに訴えて商品価値を高めたいのだろう。アメリカでは、2.0のNAと1.5ターボが併売されるが、1.5ターボの方が人気がある。
ここにある、「ただの直4」と「VTECターボ」どちらが、あなたのシビックですか? と女神様に尋ねられたら、
「VTECターボの方です」と答えるアメリカ人に同意するしかあるまい。 だって、値段まで同じなのだ。

シビックSI(ハイオク仕様1.5ターボ)