
「'15航空祭 in KOMATSU」
前回からの続き
民間航空と航空自衛隊が滑走路を共同で使用する小松飛行場
小松基地の対面には空港ターミナルがあります
管制業務は航空自衛隊 小松管制隊が行い管制塔も空港とは反対側の
小松基地側にあります

F-2A 戦闘機(03-8504)
航空自衛隊 第8飛行隊/三沢基地(青森県)
アメリカ空軍のF-16戦闘機をベースに日米共同で開発
外観はF-16に酷似しているが 主翼および尾翼の面積拡大
キャノピー形状の変更など細部では異なる点が多く機体もひとまわり大きい
主翼は炭素繊維強化複合材を世界初採用
アクティブフェーズドアレイレーダーも量産戦闘機として初の採用
日本の技術力の高さを発揮しました
ちなみに左右の主翼は製造メーカーが異なり
右が三菱重工業 左がロッキード・マーティンです

F-15DJ 戦闘機 イーグル(62-8089)
航空自衛隊 第306飛行隊/小松基地
タンデム複座型のF-15です
アメリカ空軍のF-15C/Dをベースに日本向けにしたものがF-15J/DJ
航空自衛隊の主力戦闘機で原型機が初飛行した1972年から
40年以上経った現在も世界トップクラスの性能を持ちます

C-130H 輸送機 ハーキュリーズ(85-1079)
航空自衛隊 第401飛行隊/小牧基地(愛知県)
アメリカ軍はもとより西側諸国を中心に69ヶ国で使用され
1954年の原型機初飛行から半世紀以上経った現在も生産が続いている
ベストセラー戦術輸送機
画像の機体はミサイル警報装置の装備やブルーの迷彩を施したイラク派遣仕様
機内が公開されてたようですが見学待ちの列が長かったので見ませんでした・・・
展示飛行

第306飛行隊のF-15J
急上昇中の主翼付近で起こる
空気中の水分が凝縮して水滴になり雲として見える
ヴェイパーが発生してます

タッチアンドゴーの展示(ゴーアラウンド)
着陸時には背部にある板状のスピードブレーキを立てます
畳2枚分の面積があり空中で急減速させることができます
主翼後端のフラップを下げ低速でも高い揚力を発生させます

ゴールデンイーグルス特別塗装のF-15J(12-8923)

石川県の県鳥「イヌワシ(犬鷲)」を部隊マークとして使用
垂直尾翼に大きくデザイン
勇猛果敢な攻撃精神と電光石火の機動性を表現しているそうです

機首の国籍マーク下には石川県と岐阜県に跨る
標高2702mの白山が描かれています

飛行開発実験団のF-2A 展示飛行
離陸してから一気に上空へと駆け上がるハイレートクライム

ジェットエンジンから出る高温の排気に燃料を吹き付けて高推力を得る
アフターバーナーを作動させての高機動飛行展示
排気ノズルからオレンジ色の炎が見えます
F-15ほどではないけどF-2もかなりの爆音が発生し
腹に響きます

前回は岐阜基地から飛来してそのまま帰っていったのですが
今回は小松での離着陸でした
飛行開発実験団(岐阜基地)所属のF-2A(63-8502)は試作2号機
以前はXF-2と名づけられ各種飛行試験に用いられてました

T-4 中等練習機(戦技研究仕様機)
航空自衛隊 第11飛行隊/松島基地(宮城県)
通称:ブルーインパルス
2015シーズンはT-4を使用してから20周年の節目となります

6番機のパイロットと整備員
非公式ながらT-4のニックネームは「ドルフィン」
それにちなみパイロットは「ドルフィンライダー」
整備員は「ドルフィンキーパー」と呼ばれます
ドルフィンキーパーは3人一組で常に同じ機体を管理
機体の癖を熟知しパイロットの指摘に応じて完璧な調整を施し
機体を磨き上げます

5番機パイロット
ソロ演技が多く花形ポジション
なにやら取材を受けている模様

6名のパイロットが整列
BGMが流れ横並びで行進しそれぞれの機体へと向かうウォークダウン
展示飛行を行うドルフィンライダーは
1番機 編隊長 Leader
日髙 大作 2等空佐 鹿児島県出身
2番機 左翼機 Left Wing
吉田 翔 1等空尉 東京都出身
3番機 右翼機 Right Wing
平間 広太朗 1等空尉 岩手県出身
4番機 後尾機 Slot
立山 雄一 1等空尉 福岡県出身
5番機 第1単独機 Lead Solo
園田 健二 3等空佐 鹿児島県出身
6番機 第2単独機 Opposing Solo
橋本 健二 1等空尉 熊本県出身
後席には
1番機 稲留 仁 2等空佐 神奈川県出身
3番機 上原 広士 2等空尉 熊本県出身
4番機 川村 翔平 1等空尉 埼玉県出身
6番機 山﨑 雄太 1等空尉 神奈川県出身
任期が来るまで前席の教官の指導のもと演技を修得します

飛行前点検 プリタクシーチェック
エンジンを始動させ
ハンドサインでエンジン回転数をドルフィンキーパーに伝えてます

チェックが終わり誘導路へと向かうタクシーアウト
ジェットエンジンにホコリが吸い込まれないように一応は清掃してあるのですが
ホコリが飛んできます エンジンの爆音もします
目を守るサングラスや耳栓(ティッシュを丸めて耳に詰めても可)を用意したほうが無難です

ローアングル・キューバン・テイクオフ
離陸直後に素早く脚を収納し離陸角度を低く抑える
滑走路エンド近くまで低空飛行しそこからほぼ直角に急上昇
その後ループ反転して離陸ポイントへ向けて会場に進入
ダイナミックな5番機のソロ課目

ファン・ブレイク
通常よりタイトなダイヤモンド隊形を組んだ1~4番機が
約400ノット(740km/h)の速度で会場左後方から進入
機体上面を見せながら会場上空を通過します

4ポイントロール
会場左から進入した5番機が右に90度ごとに動きを止めて
4回のキレのあるロールを行います

チェンジ・オーバー・ターン
1番機から4番機 そして6番機の合わせて5機が
縦一列のトレール隊形で会場に進入
滑走路上で一辺約110mの大きなデルタ隊形へと移行
さらに360度水平旋回しながら一辺約40mの
密集したデルタ隊形へと収束させていきます

サンライズ
1~4番機と6番機が会場正面よりループを開始し頂点に達するとスモークON
そのままループを行い水平飛行に戻ったあと4・6番機は水平に
1・2・3番機は緩やかに上昇しながら5方向へと散開します
スモークの軌跡が地上へと降り注ぎ
全てを照らすかの様に拡散する太陽光に見えます

バック・トゥ・バック
会場右手から5番機と6番機が進入
5番機が180度ロールし背面飛行となり6番機が移動して2機が下面合わせになります

4シップ・インバート
ダイヤモンド隊形を組みながら会場へ進入
滑走路端でまず1番機と4番機が背面飛行
続いて2番機3番機が背面飛行に移行
そのまま密集したダイヤモンド隊形で通過し会場左側で180度ロールして離脱します

ワイド・トゥ・デルタ・ループ
1~4番機・6番機の5機が一辺約210mという巨大なデルタ隊形で進入し
そのままループを行いながら少しずつ編隊の間隔を収束させていきます
ループ終了時のデルタ隊形は一辺約40m

ローリング・コンバット・ピッチ
1~4番機がエシュロン隊形で進入し1番機から順に270度ロールを行い着陸態勢に入ります

コーク・スクリュー
全ての展示飛行を締めくくる単独機によるフィナーレ
アブレスト隊形から5番機がハーフスローロールで背面飛行となり
その周辺を6番機が3回転半のバレルロールをして螺旋回転を描き
その後2機が着陸態勢に入ります
多少アレンジはありましたがほぼ第1区分での展示飛行
ブルーインパルス 当日は松島に帰投しないということで
サイン会が開催されてました

3番機パイロットの 平間 1尉
パイロットにはそれぞれTAC(タック)ネームという愛称があり
映画「トップガン」でいうところのピート・ミッチェル=マーベリック(TACネーム)
平間 1尉の場合はTACネーム「ミッツ」
以前は違うものを使用してたけど他の隊員と似ていたため
3番機=みっつ から取ったものに変えたようです

4番機 立山 1尉
TACネーム「チャンバー」
お父さんが低圧訓練=チャンバー訓練の部署に所属していたそうで
そこからの名称になったそうです
今シーズンが最後で12月にラストフライトの予定だそうです

5番機 園田 3佐
TACネーム「エデン」
「園田」なので「エデンの園」からエデンと取ったようです
サインしてもらうときに「今年からですか?」と質問したら
実はこの小松航空祭が初の展示飛行だったらしく
嬉しそうに話してくださいました
なんか私も嬉しくなっちゃって応援したくなりました

6番機 橋本 1尉
TACネーム「ローバー」
好きな車「ランドローバー」から取ったようです
「姫路城フライトのとき見ましたよ」と話したら
「凄い人数が集まってましたね」などと話してくださいました
みんな展示飛行後でも疲れた顔もせずに笑顔でサインや記念撮影に応じていました
お疲れさまでした
全てのプログラムが終わり外来機が所属基地へと帰投するのですが
エプロンから誘導路に出るまでクルーが手を振ったり
離陸して派手に急上昇したり(ハイレートクライム)
翼を左右に振ってさようならの挨拶(ウィングウォーク)したりで面白いので
時間があれば見て帰るのもいいかもしれません
ただし 立ち入り禁止ロープでエプロン地区から
徐々に追い出しに掛かる空自隊員たちがいますのでホドホドに

百里のファントムが左右にロールしてさようなら

明野のコブラは機首の機関銃をグリグリ動かしたり
アパッチと編隊組んで去っていきました
今回の小松基地航空祭
来場者は14万7千人と過去最高だったそうです
16年度以降は「アグレッサー(仮想敵)部隊」として知られる
空自最高の戦闘技量を持ったエリートが集まりパイロットの技量を向上させる
F-15J/DJを装備した「飛行教導群」が新田原(にゅうたばる)基地/宮崎県から
小松基地に移転してくるという話があります
航空祭がますます盛り上がりそうですね
来場者も凄いことになりそう・・・