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みか@NDTurboのブログ一覧

2023年07月12日 イイね!

ダンパーセッティングの理解と基礎

ダンパーセッティングの理解と基礎前回に引き続き、今度はダンパーの理解
読むにあたっての注意書きは前回のスプリングのやつをみてくださいw
こちらも、一部先輩の言葉を引用させてもらったりしていますが、自分の言葉で書いたコピペ無しの書き下ろしです。図表は無断借用です、スミマセン。

最初に
引用参考動画&HP
ダンパーを理解するのに多分30回くらい見た動画
https://youtu.be/3JWJXYg1Z6Q
脚設定、非動画でじっくり考えたい時にみるHP
a011w.broada.jp/cantalwaysget/


ダンパーの役割
スプリングがストロークの「量」を調整する部品に対して、
ストロークの「スピード」調整する部品がダンパー

 「ロール・ピッチ「量」が大きくてワインディング怖いから減衰力を上げる」っていうのは正攻法の調整ではない、ただの姑息術(対症療法)なのは理解したいところ

 ダンパーってのはバネの動きを邪魔する事が仕事だから、本来は必要最低限の減衰力が望ましい。
 ドンって段差を超える時にショックを吸収してくれるバネを縮ませないようにしちゃうから、ホントは減衰力は出して欲しくない。すっとショックをバネに伝えて吸収してほしい。
 でもググーって荷重をかけながらコーナリングする時に一気にロールするとコントロールが難しい。ロール荷重をかけすぎないようにするならコーナリング速度を遅くするしかない

 このバランスをいいところでとるのが、ダンパーセッティング
 

減衰力の生み出し方
構造理解したほうが、ダンパーは理解しやすい。っていうか出来ないとおもう。
ってことでメカのお話。

 ピストンには小さな穴が空いてて、その中を粘度がある油が通り抜ける時の抵抗でピストンの動きにくさ=減衰力を作り出してる。竹筒水鉄砲と一緒。

 穴の大きさ変えれば減衰も変わるけど、ピストン穴はピストンを変えない限り変えられないから、穴の上にリードみたいな板ばねを置いて平時は穴を塞いでる
油が穴を通り抜けようとするとリードバネを押し上げて抜けてくのでゆっくり抜ける。
 ピストンが短時間で大きく動く(穴をたくさんの油が通り抜ける)とリードバネが大きく押し広げられて沢山の油が通る
 リードバネを強くすれば減衰出るし弱ければ減衰は落とせる


 でもたくさんリードバネが開きすぎちゃうと減衰出せないから、1枚目の上にちょっと短いリードバネを重ねて強化する。ちょっと開いたら、2枚目のリードバネがサポートする。
 そんな感じで4枚位重なってるのが一般的。この4枚の硬さを変えることで、どの辺のピストンスピード域でどれくらいの減衰にってのが変えられる。


 このリードバネの反力だけじゃなくってバイパス路の穴を開けておくことで一定の減衰力抜きを作っておくのが一般的。リードバネだけだとバネが開くまで油が動かなくてゴツゴツしちゃうから。
 


penske service manualより借用
 バイパス路が大きければよく動くダンパーだし、バイパス路小さければ動きにくくなる仕組み。バイパス路にはワンウェイ構造はなくて、どっち方向からもオイルが流れるしくみなのが基本
 2way調整機構だと、これが2本あってそれぞれワンウェイバルブになってるはず。詳しくはしりませんw

 バイパス路ってのはピストンがゆっくり動く時の方が影響度が大きい。速い時はリードバネ押し上げて出ていけるから。
 じゃ、このバイパス路の大きさを変えてあげればベース減衰変えられるじゃん!ってなるわけ(特にピストンスピードゆっくりのところに影響する調整)

ピストンにバイパス路作ってもいいんだけど…
 あ、ピストンの上のシャフトに穴開けて、シャフト内にバイパス路作ってピストン下に油逃せばいいじゃん!って思いついた人がいて、
 なんなら、そのバイパス路をニードルバルブにしちゃえば通る油の量を変えられるじゃん!
 ってできたのが基本的な減衰調整ダンパー

http://a011w.broada.jp/cantalwaysget/D_course/pages/d-21.html より借用

そっちは調整が簡単だからユーザーでも好きに弄れる
でもバイパス路の調整はピストンがゆっくり動くときへの影響が大きいから、速く動くところはダイヤルじゃ変えられない。
そこを変えようとダイヤルいじっても無駄な作業になっちゃう。

penske service manualより借用
 実はこのピストンハイスピード域が街での乗り心地に大きく影響していたりする。サクッと動くほうがゴツゴツしないのはイメージしやすいと思う。(ほかにピストン摺動抵抗とかもあるけど)

リードバネを変えることで基本キャラが変わる
 マーケットの大多数がなんとなく満足しそうなキャラクターでダンパーは販売されている。調整機構がついていれば、さらにマーケット需要を満たしやすい。
 問題は過渡期特性でその辺が使用用途によって差があるから、最大公約数的設定が気に食わない場合、好みに変えてもらうのが減衰仕様変更。やってるのはシムの厚さを変えてバネの硬さを変えるだけ。
 何枚目のシムをどれくらいの厚みに変えるのかってのがウデの見せ所。一応基本セット組ってのもサービスマニュアルには書いてあるけど。
 他にも油の粘度を変えても特性が変わるけど、沼だから一定の品を使うのが普通。

 リードバネをシムって言って、その重ね方がシムスタック。コレがピストンの下から上の流れ(バンプ)と上から下(リバウンド)がそれぞれ設定できる

 なんならピストンの穴サイズとかシムプリロードの掛け方を変えたピストンに変えるという手もある。ピストンだけ売ってるダンパーメーカーも海外はある

 シムのプリロードはピストンの形状による。シムを乗せる面をわずかにすり鉢状に中心をへこますことでプリロードをかける。このへこませ具合を変えたピストンが用意されていたり、別の調整シムでプリロードを調整可能にしているものもある。


 
penske service manualより借用

プリロードをかけるタイプのピストンをDigressive Pistonっていうそうで。
プリロードかけないのはLinear Piston
バンプ/リバウンドの片方だけDigressiveってのもあったりする




 けど、その辺のメーカーは多分作ってない(市場に出ない)レーシングダンパー屋さんのダンパーじゃないと無いとおもう。実質上、プリロードは固定だと思っていいと思う。


ロッドが入る分容量を逃がすガス室
 あとは大事なのがガス室。ピストンがケースに入っていくとき、同時にピストンを支えているロッドもケース内の油の中に入っていく。
 液体は体積がほとんど変わらないので、逃げがないとロッドが入った勢いで蓋か底がぶち抜けるw
 その逃げとして、ダンパーの下に気体であるガス室を作っておく。隔壁で区切らず、油をミチミチに満たさずにガスのスペースを残して組む1室式のダンパーもあったりする。ひっくり返さなければ問題ないけど…今は2室式がほとんどでは?

 ガスは体積が変わるからピストンを押し戻すバネとして働いたり、油が泡立たないように与圧するのに入れてたりする。急激で課題な陰圧をかけると液体溶存ガスが沸騰気化して泡として出現する。これをキャビテーションって言ったりする。
 圧力が下がれば、同じ温度でも沸騰するのはシャルルボイルの法則とかだっけ?

 泡立つと一気に減衰力が落ちちゃう。あぶくに飲まれた船が沈没するみたいな(?)
 キャビテーションってのは結構厄介。キャビテーション防ぎたいから与圧したいけど、プリロードと一緒でピストンが動きにくくなるから邪魔になっちゃうんで、ホントは低くしたいのがガス圧。

 ガス室はおっきい方が体積変化率が少ない=圧変化が少ない。実際はケースの1/4くらいがガス室になってる。隔壁も10mmくらいあるし。
 ケース全長の全部がピストンストロークには使えないんで、例えば長いシャフトにすればストローク増えるじゃん!ってならない。
 じゃ、ケース長くすればいいじゃんってなるかもだけど、車体構造上、ダンパーの大きさは決まってしまう。

別タン
ガス室邪魔だなーって横によけたのが別タンク式
なんかかっこいいよね。レーシングカーっぽいし。

 ストローク増えるし、油容量増えるからよく動かす脚に有利。なんなら別タンクのガス室前にもう一個ピストン入れて調整機構も組み込める

http://a011w.broada.jp/cantalwaysget/D_course/pages/d-24.htmlより借用

 そもそも設計上長いケースが入れられない車種のガス室逃しってのが市場だと多いのかもしれない。
 スポーツ車は車高低いしボンネット低くなってるから制約が大きい。車高を下げるとストロークが減っちゃうけど、ストラットタワーを持ち上げてストロークを稼ぐわけにもいかない。しょうがないからガス室を横に逃がしてストローク取ろうぜ、って感じなんじゃないかなぁ?
 ラリーカーなんかはストラットタワーをギリギリまで嵩上げしてストローク稼いでたりするよね。


実践編
 ぶっちゃけダンパーセッティングはコイルスプリングとユーザーの使い方にアジャストさせる作業で、手間がかかることが多い。
 ばらしてピストン選んでシムスタック変えてオイル入れ替えて、ガス圧を調整する・・・
 慣れれば1本30分くらいでできるけど、まぁめんどくさい。油まみれになるし。
 シムってすげぇ高いんだよね。いろんな種類のシムを準備するだけで大変。
 じゃ、なんとなく減衰ダイヤルイジイジしとけば十分じゃねってのが一般的。

じゃ、減衰ってどーやって調整するのって話だけど

 一般的にダイヤル1個の調整ダンパーはバンプよりもリバウンドの方が調整の振れ幅が大きくなってたりする。これがキモ。

penske service manualより借用

 ってことはダイヤルイジイジするとリバウンドがおっきく変わることになる。
つまり縮み側を制御するんじゃなくて伸びの制御をしてやるのが、減衰調整ダイヤルの使い方。

・進入で荷重かかりにくいときは、鼻が沈みやすくするんじゃなくて、リアを伸びやすくしてあげる

・進入でリアが抜けて不安定になるなら、前鼻沈まないようにじゃなくて、後ろが浮かないようにしてやる

・立ち上がりでリア荷重がかからずトラクション抜けるなら(FR)前を伸ばすように抜けばいい

減衰調整ダイヤルは伸びコントロールだって知ってれば、沼らない


終わりに
シムスタックは基本キャラクターの設定

ブリードバルブ(調整ダイヤル)はピストンスピード遅いところの設定

ブリードバルブの範囲外は調整ダイヤルで調整できないから仕様変更に出す

ダンパーセッティングはこんなとこかなー。
 DIY勢にとってはダンパーテスターがない限り数字にでないから、想像力とメイクアンドトライの世界。
 ドライバーのふわっとしたニュアンスをくみ取って、セッティングを決めていくダンパー職人は本当に職人だとおもう。ダンパーを作るってそういうこと。
Posted at 2023/07/12 18:43:22 | コメント(1) | トラックバック(0) | サスペンション | クルマ
2023年07月12日 イイね!

スプリングセッティングの基礎

スプリングセッティングの基礎若手ND乗りがサスセッティングが難しいって言ってたので、基礎的なことをTwitterにツラツラ書いたんですが、せっかくなので加筆修正してこちらにも。
一度言語化したかったという気持ちもあります。
ってことで久々にPCからの投稿。長文です。

先に言っておきますが、工業的な教育は受けてませんし、なんなら物理Ⅰまでで商業系高校でPCやってた人間。今はただの看護師さんが書いてます。
 車高調に初めて触れたのも5年前なんでベテランって訳でもないです。
 そんな人間が何考えて脚いじってるのかなーって知る程度の話です。
 一部先輩の言葉を引用させてもらったりしていますが、自分の言葉で書いたコピペ無しの書き下ろしです。


バネはストローク「量」を調整する部品
 スプリングは乗り心地の良し悪しを決めるものではない
 硬ければえらいってもんでもない

実はバネレートなんてタイヤと車体重量である程度決まっちゃう。
バネの役割は
 ・ショックを吸収する
 ・車体が浮いたときに脚を伸ばす
のが仕事。
 わかりやすいと思うけど、伸ばし側を忘れてるひとも散見される。

要求レベルとしては
・ショックを受けて収縮したときに、ダンパーケースとアッパー、もしくはダンパー内ピストンとガス室の隔壁が衝突して壊さないこと
・大きな加重を受けたときに、バネ自体が折れないこと(許容耐荷重を超えない)
が必須になる。
これ以外は、すきにえらんで良いってことになる。

 硬ければいいじゃんってなるかもしれないけど、バネが固いとサスペンションが動きにくい。ってことはタイヤゴムにかかる荷重が一気に変化するので、タイヤグリップの限界点をスパッと通り越してしまいコントロールが難しくなる。
 コントロール可能幅が大きいほうが、人間がコントロールしやすいけど、幅が大きいとダルくなったりもする。その辺はユーザの好みと能力による。
 正規分布的にみれば、車重(荷重)と購入されるタイヤレベルが一定ならそんなに変わらない。スポーツ走行したいND乗りなら5~8kg/mmあたりに落ち着くことが多い。



レバー比
 ひとつ注意しなきゃいけないのが「レバー比」と呼ばれるもの。
 タイヤの上下運動と、ダンパーの上下運動が必ずしも同じではない。大抵はタイヤの内側にダンパーが取付られ、上下運動の支点は車体に取り付けられる。
 ということは、車体側のアーム取り付け点が「支点」タイヤが「力点」それらを支えるダンパーが「作用点」

 
 レバー比はジオメトリ設計によって車種ごとに異なる。
 NDロードスターのリアは1:1になっているので、バネ上荷重のかかり方や、ダンパー長を変更したときの車高変化はそのまま計算通りになる。

 けど、フロントは1:1じゃない。
 私は普段、Excelでバネを変更した場合にどのような変化になるかを計算してからいじってます(車高変化やバンプタッチ荷重等)。んで、実車高変化を測定してっていうのを繰り返すうちにフロントは1:0.75くらいかなーって思ってます。
 バネにかかる荷重は、逆数に変換してバネ上荷重の1.333倍、車高変化も1.333倍で計算すると大体車高が合うので、この数字を使ってます。

 バネにかかる荷重っていうのは「バネ上荷重」って言ったりして、前軸・後軸荷重の1/2から、バネの下側にあるナックルやブレーキ、タイヤの重さを抜いた荷重になります。どれくらい?っていわれてもばらして秤に載せないとわからないので、おおざっぱにー25kgくらいで計算してます

 同じバネレートで、特性違いのバネで相性というか動きを見るってのがバネ選びのキモかなぁ


低反発?高反発?
 最近は、線が太くて長くて重い、緩やかに動くバネが人気だよね。いわゆるマイルドな低反発バネってやつ。
 路面キレイなサーキットは高反発バネがレスポンスいいけど、ギャップの大きいストリートで使うと吹っ飛ばされて不安定になるから怖くて踏めないってことが起こる。サーキット用が万能な訳ではない。きれいな路面しか基本的に走らないレーシングカーは、ラリーカーみたいに大きくサスペンションを動かす必要性がない。
 レーシング用=「なんかわかんないけどすごそう」とか思って選ばないように。適材適所ってもんがある。

 バネを選ぶときに「低反発」「高反発」って書いてるメーカはHALくらい。あとはサスペンションプラスとか。書いてないけど、エンドレスも3種類の反発違いを出していたりするけど、各社共通の数値で決まってるわけではない。なんとなーく分けてるだけ。
 そもそも「低反発」「中反発」「高反発」って言いだしたのはHALかな。最近のことですね。

反発ってどゆことってだいぶ不思議に思ってましたが
・巻きが多いと全体収縮量に対してバネの部分部分の負担がすくない
・巻きが少ないと、おんなじ量を収縮させても、部分部分の負担が多くて、パチンコゴムをいっぱい引いてエネルギーがたまってるから、跳ね返りもおおきい
ってイメージ。

スプリングの特性を理解するのが難しかった時に見て、一発で解決した動画
https://youtu.be/i49FYWb5vV0


 巻きが少ないと、コイルを伸ばしたときに鋼線が短い。ってことは細い鋼線でターゲットバネレートが出せる。
 それに対して、巻きが多くなると、伸ばした鋼線が長い。ってことはその分鋼線を太くしないと同じバネレートが出せない
 てことは、しなやかなバネといわれるのは「太くて、巻きが多い隙間のすくない、重いバネ」で、ハイレスポンスと呼ばれるのは「細くて、巻きが少なくてスカスカに見える、軽いバネ」ってなる。
 同じレートを並べるとキャラクターがすぐわかる。

 余談ですが、オートサロンのエンドレスブースでは同じレートを3種類+新商品を並べてくれているので、それだけで「へぇ、今までのよりマイルドなバネだしたんだねー」って話ができることになります。
 「どんな車種とかユーザーをターゲットにしてるんですか」って聞くとマニアックに教えてくれますww


 特性ってスペックに書いてないからどーやって探すのよって話になるけど…
同じレート、レングスのバネスペックを各メーカーで並べて「許容収縮長」を見てある程度参考にはなるかもしれない。本当はブロックハイト(全収縮させたときのバネの高さ。線間密着時長)で比較したいけど書いていないことが多い。
 本来は、「これ以上収縮させるとバネがヘタる」とか「バネが折れる」っていう加重。線間密着加重に近いので、参考程度に。あてにならないことも多いw
鋼線の弾性によっても違うし…

広告の売り文句で
「高反発」「リニアな」「ハイレスポンス」って書いてあると高反発系
「しなやかな」「乗り心地に配慮」「マイルドな」っていうと低反発系
で選ぶのが無難なのかもしれない。
結局のところ、全部用意して並べるとかしないとわかんないのが実情。


スプリングハイト(全長・自由長)
 じゃ線径太いマイルドなバネを使いたいって言うと、今度はバネストロークが減るから、大きなG入力があった時に、線間密着したり、耐荷重を超えちゃうことになりかねない(バネ折れる)
 しょうがないからストロークを稼ぐのにバネレングスが長いバネを選ぶことになる。
 あとはあえて同じレートで長いバネを選ぶと、伸ばした時の鋼線長が長くなるので、同じ長さ収縮したときに、部分部分の負担が減るから低反発な傾向になる。同じレートでバネの全体長を短いものにすれば高反発でハイレスポンスになる。
 同じ車種の車高調で、バネのレングスが何インチを選んでるかを見れば、おおよそどんなキャラクターの車高調を作りたいっかっていう作り手のイメージがわかる。

長いバネが入るかはケースとブラケットの設計次第。
 オリジナルダンパーはBLITZのケース使ってるけど、あれってブラケットが短くてロアシートがめっちゃ下がるから10インチも入る。
 cuscoはブラケットが長くてピストンケースとの接合面が多く剛性がちゃんと確保されてるけど8インチがやっとって感じ。




設計としてはCuscoが正しいんだろね。
「そんなに長いバネは要らないはずだからちゃんと強度を出さなければならない」っていう技術者の考えが見える。
オートサロンでCuscoの技術者っぽい営業さん(?)と話したときに「大きい会社に見えても、マニアックな技術者の集まりだからやれることをやりたがる。コストに跳ね返るから営業泣かせ」って泣いてたw
 車種別設計ってそーゆーことで、ロアブラケットの形だけ合わせたピストンケース共通の安いダンパーは車種別設計ではなくただフィッティングさせただけ。

 何を選ぶかはユーザ次第。コストとかバネ遊びするならBlitzとかTEINの共通ケースの安いの選べばいいし、品質ならそれっぽいところ選べばいい。
 どこにお金がかかってるのか見極めるのが大事よね。
 名誉のためにいうと、TEINはちゃんとしたダンパーも作れる会社で、安いダンパーがメジャーになったから安っぽい会社イメージになっちゃっただけ。ラリー脚とか作れるからね。要は手間(=金)


セカンダリバネ=バンプラバー
 じゃ、使えるバネのレングスに制限あるけど、リバウンドストローク取りたい時(バンプストロークを減らしたい時)はどうするか

 バンプラバーをセカンダリバネとして使うことになるんよね。バンプラバーは非線形バネだから潰れれば潰れるほどレートがあがるって特性になる。ぷにぷにの柔らかいシリコンゴムとか、最初は指でぷにっとつぶれるのに、床面まで指を届かせるのは強烈な力がいるでしょ。
 あれが非線形バネ。収縮長に応じて二次関数曲線のようにバネ定数が上がっていくバネ。
 先端の細いバンプラバーは初期のレートが低いからぶつかる感覚もないので重宝する。あんまり数値ではスペック出てなくて、素材と形状で想像しながら選びます。

セカンダリバネとしてバンプラバーを積極的に使うなら
 プライマリバネ(メインのコイルスプリング)のレートを下げて柔らかく動かしながら、どのタイミングでセカンダリに当てるかを考えます。
 それを調整するのにパッカーっていうバンプラバーとアッパーの間に入れて(スライド挿入できてロッドに嵌める)バンプラバーの位置を調整するスペーサを使うことで、ダンパーが大きく動いたときの踏ん張りが調整できるようになります。
 ダストブーツをつけなければ、ジャッキアップするだけで調整できるのでほんと便利です。


バネは伸ばすもの
バンプ側の調整はそんなとこかな
バンプ側ってのは、大きな加重が入ったときに、ケースとアッパーがぶつかってダンパーが壊れないのと、バネが耐荷重を超えて収縮しなければなんでもいい。

で、リバウンド側の話です。
 リバウンドってのは、1G状態からマイナス方向のG(車体が浮く)ときに脚を伸ばすっていうことです。
 リバウンドは取れるなら多めに取っておけばいい。タイヤが地面から離れたら何にも出来ないから、0Gで出来るだけ伸ばせるようにしておくって考えておけばとりあえず平気。
車体(アーム設計=ジオメトリ設計)とケース設計で自ずとリバウンド限界は決まるし

 WRCとかのジャンプ映像をみるとアホみたいに脚が伸びてるのがわかります。

wrc.comより借用

0Gから1Gかけて収縮する長さが、リバウンドストローク
じゃ、どうやってリバウンドストロークを稼ぐか・・・
 1Gで縮めるのは車重だけど増やす訳にいかないから、ヘルパースプリングを使って合成バネレートを下げることによって、1Gでもたくさん縮むようにしてあげる。バネレートが下がれば同じ加重でもたくさん縮むからリバウンドストロークが稼げる感じ。
 一応合成レートで考えるんだけど、1kg/mmみたいな低レートのヘルパーなら合成レートも0.7kg/mmとかなので、実際はあまり考えません。
 ヘルパースプリングを縮めずに長全部使っちゃうかたちでセットすると縮みすぎてバンプストローク取れなくなるから0Gで、欲しいリバウンドストロークに合わせて、縮めた状態でセットしてあげる。

でもそれってちょっぴりプリロードがかかることにもなる。だからストローク調整だけならハイパコのみたいな極めてレートの低いヘルパーが理想的なんよ。


プリロード
0Gの時点でバネを縮めておくのがプリロード

何が起こるか。

 10kg/mmのバネを10mmプリロードかける(100kg分)と90mmになるけど、その90mmになったバネの上に100kgの重りを乗せてもバネは1mmも縮まないってなる。嘘のような本当の話。
 シャフトで繋がったアッパーシートで押さえられてるバネ反力が重りに移るだけだから縮まない。

 感覚的には、荷重をかけてもバネが縮まずに車体が動かないから、固い、クイックって感じになる。タイヤ性能が低いとすっぽ抜けるからおっかない。
 じんわり収縮しながら荷重をかけて、タイヤ性能を使い切りたいのに、一気に荷重かけるとタイヤ性能を一瞬で超えちゃうから難しい。思いっきりプリロードをかければ、最後はカートと同じ車体のひずみとタイヤのゴム弾性でしか動かなくなるわけです。

 このプリロードが乗り心地にすごく影響する。あと乗り心地に影響するのは次の記事のダンパーのバンプ側ハイスピード域の減衰力。
 昔の車高調は乗り心地が悪いかったんですよ。ぴょこぴょこ車が段差で跳ねてたのもチューンドっぽくてカッコイイみたいなのもありましたが実に乗り心地が悪い。
 当時は全長調整式車高調なんて夢のようなモノでGT-RとかRX-7とかスープラとか、一部の車種しかなかったし、べらぼうに高かったんです。じゃ、ほかの車種は?ってなると、スプリングロアシートを縮めてバネを短くして車高を落とす方法。
 これってちょうどいい自由長のバネがあればいいんですけど、ない場合は長いバネを縮める。バネの長さ以上に車高は上がらない車高調ですから。
 でバネを縮めるってことは鬼のようにプリロードがかかります。昔はバネレートも高めの傾向があり15mmとかプリロードかけることになると、そりゃもうゴチゴチに動かない脚が出来上がるわけです。
 基本的にプリロードはかけすぎないほうがいいと思います。
 ちなみに欧州ブランドにフルタップが少ないのは車検的な基準が通らないからみたいな話もあるようです。

 逆に、0プリだと優しくてダルな感じになる。最近のバネ屋さんは、セット時に指定のミリ数を縮めてセットしてねって言うんだけど、バネの初期はレートの立ち上がりが悪く指定レートが出せないから、線形レート特性にならないのよ。
 あえて低レートの部分をバリアブルバネだと思って使うのはありだけど、そんなバリアブル域が多いわけではないので注意。

 私はフロントだけ1.5mmプリロード入れてます。レスポンスの好みの問題で。多分プリロードはそういう味付けで使うんじゃないかなぁって思ってたりします。
 あと、バネレートが高いバネって乗り心地が悪いっていう市場イメージがあるから、わざと低レートバネにして、プリめっちゃかけてスポーティさを演出してる営業側面もあるのかもしれない。。。

 じゃ、低レートバネ1本でめっちゃプリロードかけるとどうなるかってと・・・
 プリ荷重分まではストロークしないけど、プリ荷重を超えたところで低レートバネの反力が仕事するから腰砕けになる感じ。ローダウンスプリングなんかはコレ。
 純正なんかもものすごくプリロードかかってますよね。バンプタッチまでの荷重を+4Gとか大きな値で設計するとそうせざるを得ないのかもしれません。真意はわかりませんが。
 新車インプレッションで、ワインディングは軽快で楽しいけど、ジムカーナみたいな大きい荷重をかけるとめっちゃロールしてるのをみてもわかるとおもう。

テンダースプリングってなんだ?
 じゃ、ヘルパー使ってリバウンドストローク調整したいんだけど、プリロードもちょっとかけたい時どーする?

 って考えたときにハイレートなテンダーとかプライマリスプリングっていうようなバネが出てきたんじゃないかと推察してる。正直よくわかってない。けど使ってるw
 テンダーの存在意義はバネ屋さんと話してみたいね。

今はリアがswiftの5kのテンダーにハイパコの11kg/mmだったかな?
 テンダーが密着するまでは3.5kg/mmのバネとして動作するので、例えば全体を10mm縮めてセットすると35kg分のプリ荷重がかかる。
 テンダーは取りたいリバウンドストローク量とプリロードが連動して変動するので、レングスやストローク長、レート選びが難しい。100%ほしい条件に合うテンダーは巻いてもらうしかない。

 テンダーも1G状態でテンダーが線間密着するならプリロードがかかったヘルパーと考えていい。
 問題は1Gで密着しない場合。
 これはかなりややこしい。プリめっちゃかかった3.5kバネとして動くので、密着まであと5mmあるとすると1Gから+17.5kgかかるまでは3.5kg/mmのバネとしてうごいて、密着後は11kバネになる。
不思議なことに、3.5kg/mmと11kg/mmの切り替え点で、ガツンとショックがあるんじゃないかっておもうかもしれないけど、実際はそんなことない。
そもそも11kg/mmだってそんな突き上げないのもあるとおもうけど。ちょっと不思議。
 線間密着しないツインスプリングが良いか悪いかは使い手次第。ツインスプリングとかでバリアブルになると複雑になるし、計算通りにはならないことも多い。かなり沼るのは間違いない。プライマリスプリングの種類の少なさもネックになる。かなりアドバンスなので詳細は割愛します(ってか解説できるほどまで実践してない)


おわりに
1kg/mmくらいの一般的なヘルパー使った車高調ならそんな難しくない。
大事なのは
 ・バンプ荷重が入ったときにショック・バネを壊さないこと
 ・リバウンドストロークと上記バンプストロークのバランスを考える

バンプラバー含めたバリアブルバネはなんとなーくイメージで緩く使う方が吉。
テスターを持たないDIY勢はゆるーく雰囲気で考えたほうがいいかもね。
Posted at 2023/07/12 16:58:17 | コメント(5) | トラックバック(0) | サスペンション | クルマ

プロフィール

「ブースト計の針は上がるのにNA程度の加速しないのなんでだ・・・」
何シテル?   03/30 20:20
家のデミオを壊してディーラーに行った時に見つけたNDロードスターを衝動買いw ノーマルで乗る!って宣言したはずなのに・・・ やっぱダメですねーw ...
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