想い出のクルマ達：いすゞジェミニＺＺ／Ｒ

ＦＲのジェミニは１回で終わらせようと思ってたんだけど、テンロク・ジェミニを書いていたら思いのほか書きたいことがあったので2回に分けた。

で、第2回目のお題が、いすゞのジェミニＺＺ／Ｒだ。

昭和の走り屋にとっては２代目のクルマになるんだけど、コイツの強烈なインパクトは30年以上たった今でも鮮烈な印象を残してくれている。

まぁ、雑誌で使い古された形容詞をつけるとすれば、

スパルタン！
パワフル！！
ジャジャ馬

ってところだ。

走りのフィーリングやインテリア、サウンドなど、どれをとってもオトコのクルマって感じなヤツだった。

で、上品な欧州育ちのお嬢様ジェミニに、スパルタンな1800ccDOHCエンジンが搭載されたのが、1979年のことだった。

これがＺＺ（ダブル・ズィー）シリーズだ。

モータースポーツ向けのスパルタンなＺＺ／Ｒ。
快適装備も持ったＺＺ／ＴだったかＬ。
全部で3つのラインナップがあったように記憶している。
（写真の緑色のはＺＺ／ＴだかＺＺ／Ｌ）

この時代、ＤＯＨＣエンジンを量産していたのはトヨタといすゞだけだった。

コンパクトなボディにパワフルなＤＯＨＣエンジンを搭載したんだから、モータースポーツ愛好家だけでなく、多くのクルマ好きも期待した１台だった。

ＴＥ27レビンの再来！
とか
ポスト、２７レビン／トレノ

なんて雑誌で騒がれていた。

コイツがデビューした時、昭和の走り屋はテンロク・ジェミニでラリーを志したばかりだったから、気になって仕方なかったわけだ。

雲の上の存在だった全日本ラリーでも衝撃的なデビューをして、その年のチャンピオンカーにもなったくらいだから、戦闘力は高く、小僧にとっては憧れの対象だったわけだ。

確か、最初はオプションでクロスミッションやＬＳＤが選択できたと思う。

ただ、３速クロスだったんで、万能とは言いがたかったんじゃないかな。

で、テンロク・ジェミニから数年後、ようやく中古の２ドアクーペのＺＺ／Ｒのラリー車をゲットしたわけ。

まぁ、驚いたね。

文字通り、スパルタンだった。

その魅力はなんといってもパワフルなエンジン。

トルクフルっていうのかな、とにかくパンチのあるエンジンだった。

同時代のトヨタのＤＯＨＣがスカスカに感じられたくらいだし、
ＺＺ／Ｒの後に乗ったハチロクの４ＡＧもスカスカに感じられたほどだからね。

フィーリング的にはＤＲ３０のＦＪ２０エンジンに近いかもしれない。
音も似ていたし。

ただ、コーナリングはテンロク・ジェミニと同じでド・アンダーだった。
サスペンションは変更されていないんだから、持病は持ったまんまだったわけだ。

よく、重いエンジンを載せたからアンダーだなんていわれてるけど、違うね！
サスペンションに原因があるアンダーだと思う。

ちなみに全日本で活躍したＺＺ／Ｒのリヤサスペンションはハチロクなんかと同じ５リンク形式に大改造されてたくらい、リアサスに問題があったわけだ。

フロントのダブルウィッシュボーンもストロークが少なかったから、あまりラリー向けとは言えなかったんだろうね。ハチロクの登場とともに活躍の場がなくなっていった。

そういう意味じゃ、ＺＺ／Ｒは圧倒的なエンジンパワーで一時代を築いたクルマだったんだと思う。

まぁ、これほどオトコくさいクルマは後にも先にもＺＺ／Ｒしかないと昭和の走り屋は思っている。

だから今でも旧車マニアに人気があるんだと思うな。