
2014年4月から旧ノートのマニュアル車からマーチNISMO Sに乗り換えた。
今日、5月6日で約600㎞の走行。現在はナラシ中なので全開にはしていない。
5000rpmまで解禁したのだが、それでもようやくこのクルマの実力の片鱗は見えてきたら、いろいろなジャーナリストの試乗記などが気になりだした。。
実際、購入にあたっては試乗無、試乗記も見ずという状態だったのだが、実際に乗ってみると、じつに良い。自分なりの感覚がどの程度のものなのか、著名ジャーナリストの評価が気になったわけだ。
しかし、NET上にある評価はどれも表面的というか浅い。
しかも、ことの本質をついていないように思えた。
そこで、自分なりの視点でこのマーチNISMO Sというクルマについて書き留めて置こうと思ったのである。
【NISMOコンプリートカーの系譜】
本題のマーチNISMO Sに行く前に、NISMOの作り出したコンプリートカーについて振り返る必要があるだろう。
そこを踏まえないと、現在のNISMOバージョンの本質は見えて来ないように思えてならない。
■NISMO 270R

1994年、NISMO創立10周年を記念して発売されたのが270R。S14型シルビアをベースにしたNISMO製コンプリートカーの第1弾である。車名の由来は270馬力のエンジンパワーによる。当時、NISMOの社長だった故難波靖治氏のこだわりだったそうだ。ラリーで活躍したS110型シルビアベースのグループBカー、240RSに由来している。そのエンジンはSR20DETをベースにNISMOがチューン。専用のカムや専用の前置きインタークーラー、吸排気システム、そしてサスペンションなどを投入。新車時(ナンバー登録前)からの改造を想定していたため、ほぼメーカーの新車に準ずるような基準で作られていた。このため、当時のチューニングカーほどのワイドタイヤを装着できなかった。3速80㎞/Hから全開にするとホイールスピンをするほどトルクフルなセッティングだったらしい。限定30台のみで、実際の生産はオーテックジャパンが行なっていたそうだ。
■NISMO 400R

1996年、ついにR33型スカイラインGT-RをベースにしたNISMOコンプリートカーが発売された。先代の270R同様、エンジン出力による車名だ。話によると、270Rの構想段階からR32型スカイラインGT-Rのコンプリートカー構想もあったという。しかし、諸般の事情でシルビアベースになったらしい。最大のキモはそのエンジン。RB-X GT2と命名されたエンジンは200㏄の排気量UP版。オリジナルの2600㏄でもN1クラスのメタルタービンを中低速から回すチューニングはあったが、NISMOは270R同様にナンバー登録前改造を前提としたため、排ガス基準がナンバー付車両の場合よりも厳しかった。そのためハイスペックなカムシャフトやバルブタイミングを設定できなかったのだ。その対策として200㏄の排気量UPでメタルタービンを中低速から回せるようにしたというわけ。また、装着されたオーバーフェンダーもギミックではなく、道交法の基準に合致させるものだったのだ。価格は当時としては破格の1200万円。生産台数は40台とも50台とも言われている。生産は完全な大森製だった。操縦性は弱オーバーステア。後のR34型スカイラインGT-Rに近いかもしれない。サーキットでのタイムよりも峠で、どうにでもなるような操縦性を目指したそうだ。
■NISMO Z-TUNE

R34型スカイラインGT-Rが生産終了した後、2004年に登場した究極のNISMOコンプリートカーZ-TUNE。R34型スカイランGT-Rをベースにしている。当初、このクルマは500Rと噂されていただけに、エンジン出力は500ps以上。400R同様に200㏄排気量をUPしたエンジンだった。従来のNISMOコンプリートカーと大きく異なっていたのが、種クルマは当然の如く優良な中古車。しかし、池田物産という専門メーカーでボディをリペア。専用の補強も施した状態でチューニングされていた。それまで手を付けていなかったボディとブレーキをチューニングしていたことは大きな進化と言えた。あらゆる意味で、それまでのNISMOコンプリートカーのノウハウを投入したクルマではないだろうか。400Rとは異なり、操縦性は弱アンダーステア。サーキットでのタイムUPを目指したセッティングだったようだ。事実、ニュルブルクリンクにまでテストに出かけたほど、NISMOが気合を入れて開発していた。生産台数は30台と言われている。
■フェアレディZ Version NISMO Type380RS

2008年にZ33型フェアレディZをベースにしたNISMOコンプリートカーが発売された。何とも長い車名だが、通称380RSの車名はその排気量による。3800㏄にまで拡大されたVQ35HRは350psを発生。このクルマはZ-TUNE以前のNISMO製コンプリートカーとは一線を画していた。何と言っても、その生産台数はそれまでの10倍の300台限定。この数字からも明らかなようにメーカーとのタイアップであったことは間違いない。その分、完成度も高くフェアレディZシリーズのラインナップの1台ともいえるようなものだった。しかし、エンジンには相当、手が入っていた。排気量もさることながら、組み方もレースエンジンのように低フリクションを目指したクリアランスで組まれていたのだ。そのため、冬の寒い朝などは、エンジンが暖まるまでガラガラとディーゼルエンジンのような音がしていたほど。ただ、これは400R、Z-TUNEとも共通する特徴だった。NISMO製コンプリートカーが大きく変貌するきっかけとなったクルマではないだろうか。
さて、NISMO製コンプリートカーの歴史をざっくりと振り返ったわけだが、270R、400R、Z-TUNEは黎明期のNISMO製コンプリートカーと言えるだろう。その手法や生産方法、販売方法を含めて、きわめて少量生産であり、チューニングカー的な要素が強いものだった。
対して380RSは、300台という生産台数、完成度から見ても、日産自動車というメーカーの強さを十分に使った。現在のジュークNISMO以降に続く、過渡期のNISMO製コンプリートカーではないだろうか。
次回は、現在のNISMOバージョンについて考えてみたい。もはやコンプリートカーではなく、バージョン車と表現されていることからも、過去のコンプリートカーとは一線を画していることは明らかなのだ。
Posted at 2014/05/06 22:15:34 | |
トラックバック(0) |
雑談 | 日記