
<本題の点火システムの話>
MPISの大まかな機構を記述する前に、
点火の歴史を理解しないと、何のこっちゃになるので、点火のシステムの変容を書くことにする。
ポイント式(機械式)
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フルトラ式
↓
同時点火式 ←GC8、ランエボ、ミニ(スーチャ)はコレ
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独立点火式(ダイレクトイグニッション式) ←GDB、FD2、R35はコレ
・ポイント式
イグニッションコイルは1つで全気筒の点火電流を流す。ディストリビューター(分配器{以下デスビ}:スイッチON、OFFする機器)で電流を流す気筒を制御する。機械でせっせと切り替えてる為に、切る瞬間にスパークが飛んでロス分が生まれたり、接点の頭が磨耗しちゃったり、動きが速くなると接点同士がぶつかって、全部着火状態になったり、高回転は苦手。しかも、イグニッションコイルは1つなので、電流の立ち上がりが遅れてやっぱり高回転は苦手。
・フルトラ式(フルトランスジスター式)
フルトラはデスビの機械的接点を除いたもの。接点のかわりにピックアップコイルを使う。ここで発生した電気をスイッチング機能を持つトランジスターに流し点火時期が来ると1次コイルの電流をストップさせるからON-OFFがきっちりできる。実際のON-OFFはイグナイターと呼ばれるデスビ装置によりされる。さらに進化して、ドエル角コントロールと呼ばれる高回転と低回転で作動電圧を切り替える装置(コイルが一個しかないのでタイミングが一定だと、高回転では2次電圧の低下を招く為、必要)や、定電流装置が生まれて、信頼性とともに、高回転でも使用できるものが誕生した。
・同時点火式
ここで、1つのコイルだけで電流をまかなってたものが圧縮上死点グループと排気上死点グループコイルの2つのコイルが登場。排気上死点でも点火することで未燃焼ガスを燃やせたり、排気上死点でもエネルギーを得られることからレスポンスの向上が望める。MPISはこの流れを汲むチューニング。しかし実際のところは、圧縮上死点側に点火エネルギーのほとんどが持っていかれ、完全燃焼には程遠いものであったこと、後にできるダイレクトイグニッション方式の方が効率が良いことから、ダイレクトイグニッション方式に転換していく。
・ダイレクトイグニッション方式
一気筒あたり一個のイグニッションコイルがつく。これにより、プラグコードが要らなくなってプラグコードによる空中放電が無くなったことに加え、クランク角信号からECU、そして点火コイルに直接ON,OFFの信号を送ればいいだけなので、ユニット的にも、かなり簡素化された上に、コイル-プラグ間の距離が近接した結果、確実、強力な着火電圧をプラグに送れるようになったというわけだ。
で、プラグコードチューンに対する納得がいった。空中放電しにくい材料にするんだな。。。しかし、今回勉強した結果、恐らくメーカー側は空中放電分を想定して、ドエル角を設定しているだろうから、ヘンテココードは高回転時もしくは低回転時(理論的には低回転時、高回転は元気になるはず)にレスポンスの低下等が起こる可能性がある。
本題に戻るが、MPISはダイレクトイグニッション式で同時点火させちゃおうというシステム。なので、ダイレクトイグニッションじゃあないと、装着できません。ダイレクトイグニッションなら直接十分かつ適切な電圧が排気上死点側に着火が起こるため、同時着火の利点とされていた完全燃焼&排気上死点でも動力が得られる結果レスポンスの向上が現実となるわけだ。だから、紹介HPにはエンジンルームの写真は無く、ECUとユニットの画像となる。しかも、同時点火は昔から応用されていた技術だからリスクは少ない。もし、ヤバイ技術であれば、とっくにGC8、ランエボ、ミニはぶっ壊れてるということになる。さらに、洞察力の良い読者の方は、もうお分かりだろうが、欠点としてはプラグの寿命が半分になること、通常着火よりコイルの仕事量が増えるということだ。プラグ高寿命なものにしといて、よかった~。さらにコイルの寿命だが、1コイルで全気筒をまかなっていた時代を考えると、プラグはともかく、このユニットで、そんなに現代のコイルを酷使する状態になるかと冷静に考えると、その可能性はかなり低いだろう。ということで実質欠点は、プラグ寿命のみということで導入しました。
(
続く)
Posted at 2010/08/24 18:57:09 | |
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