
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の落書きがニュースになっていますが、映画の影響で訪れる人が多いのでしょうか? 私も”冷静と情熱のあいだ”は大好きな映画です。
この映画が放映されて約8年、当時10年後に大聖堂で会う約束をしたカップルがいるとすると、あと2年もすると大聖堂は大混雑です。
映画好きの人のために、映画で使われた手紙を紹介します。
随分前に映画観ながら書き取ったので、もしかしたら少し間違えがあるかも?
久しぶりにレンタルしてくるかな~
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あおい
突然手紙を書くことを許してほしい。
そしてこれがおそらく最初で最後のとても長い手紙に
なるであろうことも。
僕はいま梅が丘のアパートにいます。フィレンツェから逃げ出し
そう逃げ出して日本に戻ってきたばかりです。
今日久しぶりに下北に行きました。君と出会ったあの街です。
あの街のあの店で僕たちはすれ違った。
言葉も無いほんの一瞬のすれ違いを僕はどうして覚えていたのか?
次に再開した時君は怪訝そうにしていたけど、僕はあの美術館には
以前からよく通っていて、そこに新しい受付の女の子が入ったことを
覚えていたし、一人でいることに冷静でいられる女の子
僕は君の事をとても強い人だと思っていた。
でも、本当の君は違った。 寂しくて誰かに甘えたくて
なのに意地っ張りで強がりで、どう扱っていいのか分からない。
あの頃僕たちはどちらも19歳で、まだまるで子供だった
だからと言ってどうしてあんなにドキドキしたんだろう。
初めて掛かってきた君からの電話、初めてのデートの約束
待ち合わせをした喫茶店、初めて一緒に見た映画
気に入った音楽や本が見つかると僕は誰よりも真っ先に
君に伝えた。 僕たちはいろんな話をしたね。
君の子供時代の話や君のお父さんは日本人で
だから君は”あおい”という日本の名がついたこと
そのお父さんを早くに事故で亡くし、おかあさんの再婚相手と
新しい家庭に君はどうしてもなじめなかったこと
ずっと孤独だったこと、祖国をしりたくて留学を決意したこと
君は自分の居場所を探していると言った。
初めて君が僕の部屋を訪れたあの夜、僕は一晩中君の事を考えて
眠れなかった。君と過ごしたあの頃のひとつひとつが変わらずに
残ってる。そう思っていたけど、僕たちが待ち合わせをしたあの
喫茶店は今はもう取り壊され新しいビルに変わってしまった。
あの中古レコード店も、今は別の店に移り変わり、あの街には
もうありません。 君は覚えていますか? 僕たちのお気に入り
の場所だった大学の記念講堂の脇にあるコンクリートの階段で
チェロを弾いていた学生がいたことを
いつも決まって同じ曲で、いつも決まって同じ箇所を同じように
間違えるあの学生の下手くそなチェロの音色に僕たちは笑ったね。
初めてキスをしたあの場所で、あの時聴いたあの曲目を”あおい”
僕はもう忘れてしまいました。 取りとめのない昔の話
そう、もう昔の話です。
最後まで読んでくれてありがとう。
ミラノまで君に会いに行った時大人げない態度をとってしまった
自分を今はとても恥ずかしく思っています。
申し訳なかった。
一緒に暮らしている彼にどうかよろしく、どうか元気で。
最後に、君が幸せで良かった。
遠いミラノにいる、あおいへ
今はもう別々の人生を歩んでいる、順正より
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Posted at 2008/06/30 20:42:34 | |
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