リアスタビについて考えてみる
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※22.12.17 一部グラフ修正
先日スパ西浦で目標としていた1分1秒台をギリギリ達成できましたので、今年は走り納めということでスタッドレスへの履き替え作業を行いました。そのときに、写真に示す状態のRrスタビが目につきました。
86は車高を落とすとRrスタビの角度がついてしまって「スタビ本来の機能を発揮しない」と言われています。以前乗っていたZN6のときはショートスタビリンクが販売されて話題になり、レビューでも好評だったので特に気にせず購入して取り付けました。ただ取り付け後に走ってみると特に良くなったとは感じず…、本当に必要なパーツなのか?という疑問が残っていました。
今回ZN8では余計なパーツは付けない方針なので、ZN6から外したスタビリンクの取付けをする前に、改めてスタビリンクをショート化すると物理的に何が変わるのかを考えてみました。
※素人が計算してますので数字は正確ではない可能性があります。あくまで参考程度に見てください。
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ということで、タイヤを外した状態でコンベックスで各部の寸法をざっくり測定して、スタビ~スタビリンク~ロアアームのジオメトリを確認しました。
図中にも書いてますが、スタビとスタビリンクはどちらも車両左右方向を軸とする回転自由度をもったリンク機構なので、2次元平面上の円の交点を求めることで定式化できます。
Rrサスアームが上下に1mmストロークした際に、スタビが何degねじれるかが剛性に影響するわけですが、スタビの角度(θ)やスタビリンクの傾き(座標aとcの関係)によって特性が変化ことがこの式から想像できます。
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以上の結果を用いて、Rrサスストロークに対するスタビ角度(θ)とスタビ剛性の関係をグラフ化しました。
まずは車高を30mm下げた車高調と純正スタビリンクの組合せです。左の図に示すグラフは縦軸が車両上下、横軸が車両前後方向の位置を示します。原点がスタビの回転軸です。グラフの黄色線が1G状態の角度で、青が25mmバンプ、緑が45mmリバウンドしたときの角度を示します。基本的にはどの位置でも水平にはならないですが、問題なく可動する範囲かと思います。
右側のグラフは横軸がRrサスストローク、縦軸がスタビ剛性を示します。赤線が左側の図で示した状態のスタビ剛性を示します。バンプ側にストロークするほどスタビ角度がついて剛性が下がる特性になっていますが、その範囲は0.1kgf/mm程度とかなり微小な変化です。
また右のグラフに示すグレー線は赤の線を右側に30mmオフセットしただけですが、これが車高を純正サス相当まで戻した場合の特性を示します。この赤線とグレー線が示す剛性差がスタビの角度が変わることによる物理的な差、ということになります。
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次にショートスタビリンクに変えた場合です。スタビ角度(θ)は可動範囲内でほぼ水平を維持する理想的な角度設定です。このときスタビ剛性は純正スタビリンクと比べるとストローク位置によって微小に上下しますが、その差は0.1kgf/mm程度です。
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以上の結果から、スタビに角度が付くことで剛性は変化しますが、影響は微小なので特に機能上は問題ないと思います。
ロール剛性に対してスタビ剛性はどの程度寄与があるのか。純正サスについては先に述べた通り30%の寄与でしたが、例えば車高調でバネレートが8kgの場合、レバー比を考慮すると約5kgf/mmなので、ロール剛性に対するスタビ剛性の寄与度は15%と下がります。そこからスタビに角度がついて剛性が0.1kgf/mm変わったとしても、その影響はロール剛性に対して約1.5%に過ぎません。
スタビに角度が付くことで剛性以外にも何か影響があるのでしょうか?ショートスタビリンクを販売してるメーカの謳い文句である「本来の機能を発揮しない」というのは一体何の事なんのか…、このあたりは定量的な効果を示していただきたいものですね。
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