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parcfermeの愛車 [トヨタ GR86]

整備手帳

作業日:2022年12月15日

リアスタビについて考えてみる

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目的 チューニング・カスタム
作業 DIY
難易度

上級

作業時間 3時間以内
1
※22.12.17 一部グラフ修正


先日スパ西浦で目標としていた1分1秒台をギリギリ達成できましたので、今年は走り納めということでスタッドレスへの履き替え作業を行いました。そのときに、写真に示す状態のRrスタビが目につきました。

86は車高を落とすとRrスタビの角度がついてしまって「スタビ本来の機能を発揮しない」と言われています。以前乗っていたZN6のときはショートスタビリンクが販売されて話題になり、レビューでも好評だったので特に気にせず購入して取り付けました。ただ取り付け後に走ってみると特に良くなったとは感じず…、本当に必要なパーツなのか?という疑問が残っていました。

今回ZN8では余計なパーツは付けない方針なので、ZN6から外したスタビリンクの取付けをする前に、改めてスタビリンクをショート化すると物理的に何が変わるのかを考えてみました。

※素人が計算してますので数字は正確ではない可能性があります。あくまで参考程度に見てください。
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ということで、タイヤを外した状態でコンベックスで各部の寸法をざっくり測定して、スタビ~スタビリンク~ロアアームのジオメトリを確認しました。

図中にも書いてますが、スタビとスタビリンクはどちらも車両左右方向を軸とする回転自由度をもったリンク機構なので、2次元平面上の円の交点を求めることで定式化できます。

Rrサスアームが上下に1mmストロークした際に、スタビが何degねじれるかが剛性に影響するわけですが、スタビの角度(θ)やスタビリンクの傾き(座標aとcの関係)によって特性が変化ことがこの式から想像できます。
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次にスタビ形状とロアアームの寸法からスタビのねじり剛性を算出します。

中実シャフトのねじり剛性は下記サイトで算出できます。

https://seihin-sekkei.com/calculation-tool/torsion-calculator/circle/

ここで算出したスタビねじり剛性(K)を、サスのバネレート相当の剛性値(K')に換算します。そうするとスタビ剛性は約1kgf/mmとなります。純正Rrサスのバネレートは2.5kgf/mm(レバー比考慮)なので、ロール剛性(サス+スタビ)に対するスタビ剛性の寄与度は30%程度ですね。

また純正のスタビ径はφ15ですが、径を1mm変えるとバネレートは0.3kgf/mmほど変わるようです。
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以上の結果を用いて、Rrサスストロークに対するスタビ角度(θ)とスタビ剛性の関係をグラフ化しました。

まずは車高を30mm下げた車高調と純正スタビリンクの組合せです。左の図に示すグラフは縦軸が車両上下、横軸が車両前後方向の位置を示します。原点がスタビの回転軸です。グラフの黄色線が1G状態の角度で、青が25mmバンプ、緑が45mmリバウンドしたときの角度を示します。基本的にはどの位置でも水平にはならないですが、問題なく可動する範囲かと思います。

右側のグラフは横軸がRrサスストローク、縦軸がスタビ剛性を示します。赤線が左側の図で示した状態のスタビ剛性を示します。バンプ側にストロークするほどスタビ角度がついて剛性が下がる特性になっていますが、その範囲は0.1kgf/mm程度とかなり微小な変化です。

また右のグラフに示すグレー線は赤の線を右側に30mmオフセットしただけですが、これが車高を純正サス相当まで戻した場合の特性を示します。この赤線とグレー線が示す剛性差がスタビの角度が変わることによる物理的な差、ということになります。
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次にショートスタビリンクに変えた場合です。スタビ角度(θ)は可動範囲内でほぼ水平を維持する理想的な角度設定です。このときスタビ剛性は純正スタビリンクと比べるとストローク位置によって微小に上下しますが、その差は0.1kgf/mm程度です。
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以上の結果から、スタビに角度が付くことで剛性は変化しますが、影響は微小なので特に機能上は問題ないと思います。

ロール剛性に対してスタビ剛性はどの程度寄与があるのか。純正サスについては先に述べた通り30%の寄与でしたが、例えば車高調でバネレートが8kgの場合、レバー比を考慮すると約5kgf/mmなので、ロール剛性に対するスタビ剛性の寄与度は15%と下がります。そこからスタビに角度がついて剛性が0.1kgf/mm変わったとしても、その影響はロール剛性に対して約1.5%に過ぎません。

スタビに角度が付くことで剛性以外にも何か影響があるのでしょうか?ショートスタビリンクを販売してるメーカの謳い文句である「本来の機能を発揮しない」というのは一体何の事なんのか…、このあたりは定量的な効果を示していただきたいものですね。

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この記事へのコメント

2022年12月16日 23:15
ショートスタビ導入を考えていたので、非常に勉強になりました。

スタビがバンザイすることで、ロール時剛性が下がると思っていたのですが、実は逆だったんですね。。

となると、私には不要なので、無駄な出費にならず助かりました。

ありがとうございます!
コメントへの返答
2022年12月17日 16:32
コメントありがとうございます。

自分の計算結果に問題ないか再度確認したんですが、接線方向に働くスタビ反力を上下方向に角度換算するのを忘れていたことに気づきましてグラフを修正しました。再度内容をご確認いただけますでしょうか。

結果としてはご想像いただいていた通りバンザイすることによって剛性低下する方向です。ただそれでも微小な差なので、車高調を入れてる方にとっては気にするほどでも無いような気はしますね。
2022年12月17日 17:08
ご丁寧にありがとうございます!

いずれにせよ、ショートスタビリンクは、ロール剛性の調整には何とも微妙な効果になりそうですね。

私の場合、減衰の低い状態でサーキット走行すると、コーナーでロールした際、リアが不穏な動きをします。
そこから減衰を高めて動きを制限すれば安定するのですが、これだとガチガチになりすぎるため、ショートスタビ導入で若干緩和出来ないかと考えていました。

理屈を知ることができれば、対応方法が色々考えられますので、解説は本当にありがたいです!

今後ともよろしくお願いします。
2024年2月17日 8:15
初めまして、長文のコメント失礼します。
定量的な考察で大変興味深いレビューでした。
ためになります。

当方もこの考察の通りだと認識しており、サスペンションの上下方向に関してスタビのショート化は影響ないと思います。

ただ、ショートスタビが全く効果ないかと言えば、体感はできていたので、自分なりに他の動きが影響していないか考えてみました。

実際スタビリンクは3次元の動きをしており、車両後方から観ると、リヤアームの上下動は支点を中心に円方向の動きをしています。
そのためスタビリンクは、リヤアームの上下運動に対して左右方向へ動く様になります。

車高を下げた車は、1G時にロアアームが水平よりあり、さらにストロークすると、スタビリンクはスタビを車両中央側に押す方向に行くと思います。
影響度を数値で計算していませんが、
当方はここが効いているのではないかと思っています。
ショートスタビリンクは、ロアアーム位置の変化による、左右方向の動きの初期位置調整だと思っています。
同様な効果として、スタビとスタビリンクにワッシャーを入れると効きを調整できるのもこの効果だと思っています。

是非、定量的な計算をしていただけると勉強になります。

コメントへの返答
2024年2月17日 13:42
コメントありがとうございます。スタビの計算をしてからだいぶ時間が経ってしまったので、久しぶりに計算シートを開いて思い出してました。

ご指摘の通り、サスはストロークすると車両左右方向にも変位が生じますので、まずはその変位量がどの程度かが重要かと思います。

ざっくりですが計算してみました。GR86のRrサスアーム長は460mm、タイヤが仮に50mmストロークするとサスアームの角度変化は約6degで、これをタイヤ位置での左右方向変位量に換算すると3mm程度です。スタビ取り付け点で考えると変位量はさらに約半分程度になります。

スタビ取り付け点の前後方向の変位量に比べて相対的に左右方向の変位量は小さいので、影響は微小じゃないかなと思いましたが、いかがでしょうか。

あとは、純正車高状態だとサスアームはタイヤ側取り付け点のほうが下がるように設定されていて、20mm程度バンプするとほぼ水平になります。これに対してスタビがどの位置で垂直向きになるように設計されているか、という点も確認が必要ですね。

2024年3月3日 23:28
はじめまして、結構前に拝見してから足を組み直す度にスタビを見ながら考えてたんですが、ショートスタビのレビューでよく見る「乗り心地が良くなった」はどう思いますか?

同じ謳い文句が書いてある製品紹介も多いてすが、スタビ自体はバンザイよりも水平に近い方がレートは大きくなるはずで、その状態で片輪が凸凹に乗ると足の動きが規制される方向で乗り心地は悪くなりそうと思うのですが。

両輪で同じ凸凹に乗った場合は、
バンザイしてても左右が同じ位置ならスタビは効かないはずなのでショートにしようが影響はなさそうと考えると

ショートリンク→乗り心地が良くなる
の関係がなかなか理解できず。
コメントへの返答
2024年3月5日 23:56
コメントありがとうございます。
コメントいただいてから色々と考えてみたのですが、正直乗り心地が良くなる理由は思い当たりませんでした。片輪のみ段差を乗り越えるような場合はスタビはサスの上下剛性を高める作用が働くので、スタビはむしろ無い方が乗り心地は良くなると思います。

ショートリンク化することで得られる効果はスタビ剛性の線形性を高めることと、ピロ化による初期応答向上だと思うので、リアのコーナリングフォースの立ち上げが早まる利点がある一方で乗り心地は悪化するはずです。

パーツレビューを見てると、パーツを入れたことで何らかの変化が感じ取れればそれで満足、という方が多いのかなと思いますので、本当に乗り心地が良くなってるか否かは自分で確かめてみる以外に無いですかね。私は全く分かりませんでしたが(笑)

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