
入庫中のオイラノTJのフロントエアロッカーはずっとエア漏れで使用できなくなっていました。
ゴムのシールが切れたか?あるいはエアを送るパイプが外れてしまったか・・・

結果は・・・パイプが外れて・・・外れたパイプはギアに噛み込んで・・・途中で綺麗に消滅しておりました(-ー;))
このデフは過去に一度リングピニオンを吹っ飛ばしており・・・今度はエアロッカーのパイプが・・・原因は一体なんでしょうか。
結論から言うとデフハウジングの変形です。
Dana30ではリングギアはデフハウジングを前から見て、ドライバー側より・・・つまり長端部のほうに寄って取り付けられています。ベアリング、リングギア、デフケース、ベアリングという順に並んでいます。また折れたエアロッカーの金属パイプもこの長端部に隣接したところからデフの頂点付近に伸びています。
アクスルホーシング外観を一見してわかることですが、この長端部側からは「てこの原理」で大きな力でデフハウジングを揺すっていることになります。反対側は色々なものがデフハウジングに極めて近接して溶接されているうえ非常に短いアクスルシャフトが使われている為デフハウジングに大きな変形を与えるほどの力はかかりません。
さてリングピニオンを割ったときは、どんな状況だったかというと・・・滑りやすい斜面でほんの一瞬ジャダーした瞬間にパキっと逝ってしまいました。そんなにパワーを掛けていたわけでもなく、酷いアクスルジャダーをしたわけでもなありませんでした。
自慢にもなりませんが、デフを割ったことも、シャフトを折ったことも思い出せないくらい沢山経験しています。それが何が起こったのか一瞬訳がわからず・・・空転した車輪が接地した瞬間にアクスルシャフト(一般的にはドライブシャフト、アメリカンなジープの場合、プロペラシャフトをドライブシャフトと、ドライブシャフトをアクスルシャフトと呼称します)をさしおいてデフのリングピニオンがいとも簡単に割れてしまうとは・・・
何度かアクスルシャフトが折れるとかを経ていてリングピニオンに金属疲労で目視できないようなクラックでも入るといった経緯が予想できるのであれば納得もいきますが・・・
先ずさきにシャフトが折れるとかジョイントが撥ねるならともかく・・・なんで?いきなりリングピニオンなの??
車の駆動系というものは末端部分から順に壊れていくように強度の順位がつけられているのが普通です・・・あたりまえです、真っ先にエンジンやミッションが壊れる車なんてありえませんからね。シャフトも折れず、ジョイントも異常なし、スプラインも健全なまま、いきなりリングピニオンの歯が三つほど吹っ飛びました・・・リングピニオンは何度も調整しバックラッシュも歯アタリもこれ以上はないというくらいに精緻に組んでありましたから・・・これは普通の壊れ方ではありません。
原理は簡単です。リングピニオンを静的にバックラッシュ、歯アタリを適正に組んでいてもデフケース・デフハウジングごと変形したら動的にはめちゃくちゃな状態になっているということです。
YJ、TJ、XJ、JK全てに使われているDana30は非常に幅広なアクスルホーシングとなっています。それでもノーマル状態では何等問題は生じませんが、オフロード用に足回りをチューンして長大なストロークを与え、さら大径タイヤ・重量のホイールにしてアクスルエンドに過大な負荷を加えていくとアクスルハウジングの左右から差し込まれているパイプが負荷に耐え切れず捩れ・・・このためアクスルハウジングを歪ませ変形させてしまいます。
コレの最も有効な解決策は・・・薄肉なアクスルホーシングに刺さっているパイプを肉厚なものにして強度を上げてしまうことです。つまりインナースリーブを打ち込んで溶接でガッチリと止めてしまうのです。勿論弱いオープンエンドナックル周辺もスリーブが入ることで強化でき、さらにガゼットを溶接して補強すれば、もう鬼に金棒です。仕上げに長いほうのパイプとデフハウジングを簡単なトラス構造物などで連結してやるともう完璧・・・おっと、最後に分厚いお面(デフカバー)を被せるのも忘れてはいけませんね。
ここまでやれば、相当な重量をアクスルエンドに掛けてもデフケースは歪みませんから、このようなアクスルホーシングとデフハウジングの変形に起因するトラブルからは開放されるでしょう。でもこれをやったからといって更に大きなタイヤを履かせてみるといったことは堂々巡りの始まりにもなります。チューニングは留めどころが肝心ですよww
Posted at 2014/12/04 20:25:48 | |
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