オフロードを走るのにチューニングなんているんですか??
そうですねーノーマルでも走れますよ。
でも、ノーマルで走れるレベルの地形だ!とか障害物の大きさ高さ深さや地表面の状態だとか傾斜や勾配、周囲の状況など…チューンした車両に比べると…考慮しなきゃならない項目が非常にたくさん増えます。
そういった面倒は…わずかなリフトアップでほぼ解決とはいかぬまでも、相当部分が軽減されます。
大げさなカスタム!?などは不要ですが適度なリフトアップや駆動力や車体に見合った大径タイヤの装着などは車体保護の観点からも極めて有効であると言えます。
オフロードを走るに際して最大の悩みは車体の障害物や地面との接触、衝突という問題です。単純にボディが凹むだけではなく、下回りをヒットすると操舵や駆動装置の重要部分を破損して最悪、自走不能という事態もあり得ます。
本来オフロードカーはそのままでも、ある程度の悪路走行が可能なように作られています。しかし、それはいわゆるオフロードコースのオブスタクルをやすやすと乗り越えるほどのものは想定されていません。
これは例えばジープラングラーなどはアメリカのルビコントレイル(乾燥した山岳地帯を行くトレイルです)を普通に自走できるレベルに最初からセットというかチューンされています。現行のJK,JKU では電子制御によるトラクションコントロールが装備されたこともあり、極ごく初心者でも安全、安心してトレイルランをする事が可能なレベルにクルマが作られています。
国産でも北米が主戦場だったトヨタのFJクルーザーや最新のランクルシリーズなどは相当なレベルのオフロード用の電子制御機構を備えてラングラージープに迫る位の能力を持っています。しかし、多くのオフローダーが乗って、オフロードを楽しんでいるいるジムニーにはいまだ電子制御によるオフロードデバイスは未装着です。四輪コイルに強力なインタークーラーターボで武装した現行のJB23から2スト板バネの古めかしいSJ10にいたるまで、吊るしは前後オープンデフのノーデバイスです。
本来のノーマルというのはこういうジムニーや三菱ジープのようなものを言うべきであろうと思います。
ノーデバイス…オープンデフ。
ついこの間までのオフロードカーは皆ほとんど吊るしではノンスリップデフもデフロックもなく。電子制御など夢物語の世界にありました。…急速な電子制御技術の進化によって…オフロードの最右翼のはずのジムニーが乗用車ハスラーにオフロードで負けるというような洒落にもならないことも有りうる時代に我々はやってきてしまったようです…
話を戻しますが、ハスラーではアプローチアングルや腹の下の高さなどで一目瞭然にジムニーの走れる限界地形を走らせる事が困難であることは判るかと思います。しかし、オフロードでは路面とタイヤの間のトラクション(駆動力)の伝達というのも重要な因子です。ノンデバイス…オープンデフでのオフローディングでは物理的な要因と同時にこのトラクションの喪失をいかに処理するかというのが非常に重要な問題になります。
方法は二つ考えられます。
ドライバーが運転操作によりトラクションの喪失を回避させる。
もう一つはトラクションの喪失を防ぐようなサスペンションを作る…あるいは後付けのトラクションデバイスを仕込むことです。
良くいわれることですが車やバイクでは「軽さは正義!」というのがありますが…オイラの考えでは…「オープンデフは正義だ!」と言いたいと思います(^^)v
どういうことかというと…オープンデフでのオフロード走行では常にトルクフローと呼ばれる駆動力の流出現象によりクルマの前進が阻まれることに悩まされます。
クルマの内外輪差については教習所で習ったことを思い出してください。クルマの旋回では外輪は内輪よりたくさん回らないとクルマは曲がれません。そのための差動装置がデファレンシャルというもので普通の車には左右の駆動輪の真ん中あたりに装備されています。四輪駆動では前後にそれぞれ一つ、都合二個のデファレンシャルが備わっています。
この便利な装置がオフロードでは厄介な働きを始めるのです。つまり対角線上の二輪が浮くと浮いた二輪にトルクが流出して空転し反対の二輪には車を前進させるだけのトルクがいきわたらなくなります。
これは単純に左右の傾斜がある程度以上大きくなった場合にも起こります。荷重のかかりにくい山側の車輪にトルクが流出して、接地力が強い肝心の谷側の車輪に駆動力が伝わらなくなるということが起きてしまうのです。
こういう風に書くと「なにが正義だ!!」と思われるでしょうが、これでいいのです。つまり、これは自動車という機械が自然と対峙したとき、必ず生じる事象であって、電子制御デバイスであってもこの現象をセンサーで感知しECUが演算した制御をおこなうことで、「ある程度までリカバリーできる」にすぎないということで、けして自然や物理の法則の範囲を逸脱は出来ないという事だからです。
オフロード走行とは…走破困難な地形を巧みにクルマを操って走りぬけるための工夫や操作の技術を学んでゆく…自己実現と言えば大げさですが、そういうことが最大に醍醐味なのではないでしょうか?
対角線スタック状態でも接地した二輪に駆動力を伝達できるデバイスがあれば通常は前進が可能です…そうです、通常は!!
でも肝心の設置している二輪の載っている地面がぜい弱でトラクションを伝えられずこれもスピンしてしまうという状況ではどうでしょう?
単純に谷側に大きく車体が傾斜しているだけでもデバイスはその能力を発揮できないことも多いのです。
何を言いたいかというと、結局はオフロード走行にはドライバーのスキルに頼らざるを得ない場面があってデバイスがどうのサスペンションがどうのと言っても物理の法則には敵わないという事ですよ。
オイラと走りに行ったことがあれば、オイラの口癖のような「空中にラインを描け!!」を聞いたことがあると思います。つまり、路面の凹凸や障害物とまともに対峙することなんかない穴が深くて!足が届かなければ空中を駆け抜けてしまえば何ともない。サスストロークが有ろうが無かろうが関係ない。トラクションデバイスが有るなしも関係ない…全開一気…天翔けるがごとく…走り抜けるのですよ。
実際に走りを見ないと誤解されるかもしれないけれど、グリップ走法とかクローリング??とかって、たかが知れた地形でしか使えない。(ロックをロック用に大減速で走るクローラーは別ですが)
タイヤのグリップ限界のその先…それは単純な物理法則で考えるしかありません。


Posted at 2017/10/21 21:02:41 | |
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