それでは艦艇の見学にいきましょう。
まず向かったのは

多用途支援艦AMS-4305”えんしゅう”(満載排水量1400トン)です。
”ひうち”型の5番艦で、その名前のとおりさまざまな訓練支援、救難活動を行います。

”えんしゅう”の揚錨機です。
錨の重さは1つあたり1.1トン、錨鎖は実に5.9トンもありますが、これを艦首に2つ装備しています。
これを展開させるのがこの揚錨機です。

”えんしゅう”のデッキクレーンです。
このデッキクレーンは災害派遣時にトラックや物資を揚げ下げしたり、バラクーダを展開・収容するときに使われます。

”えんしゅう”の監視制御室です。
いわゆるエンジンコントロールルームですが、”えんしゅう”には主機として5000馬力のヂーゼルエンジンを2機・2軸搭載しています。
小柄な割りに力が大きいのは航行に支障が出た艦船を曳航する任務もあるためです。

”えんしゅう”の艦橋と主砲(?)の12.7ミリ単装機関銃M2。
陸上自衛隊の74式戦車などに用いられている重機関銃と同じものです。

”えんしゅう”の艦橋内です。
”えんしゅう”は4番艦”げんかい”と一緒に平成20年2月に竣工したばかりの新しい艦艇で、環境の中もまだピカピカです。

この魚雷のように見えるものは自走水中標的とその投射機です。
多用途支援艦”ひうち”型の主な任務は艦艇の水上射撃や魚雷射撃の訓練支援で、この黄色い水中標的は水中を走行して模擬潜水艦としての標的となります。

こちらは”えんしゅう”に搭載されているバラクーダです。
バラクーダとは自走式水上標的曳航装置のことで、護衛艦などの水上射撃訓練の支援に使用されます。
バラクーダの管制は艦橋後方の区画から行われますが、なぜか管制モニターはモノクロ映像です。

”えんしゅう”の全影。
基準排水量が980トンと小柄ですが、艦影をみてもその小柄さはわかります。
艦名の”えんしゅう”は静岡の遠州灘からきています。

時間の関係上、見ることが出来ませんでしたが、護衛艦DD-101”むらさめ”とDD-111”おおなみ”も一般公開が行われていました。

護衛艦DD-111”おおなみ”(6300トン)の全影です。
”たかなみ”型護衛艦の2番艦として平成15年に竣工しました。
全長は151メートルと大変大型の護衛艦です。

こちらは護衛艦DD-101”むらさめ”(満載排水量6200トン)です。
”むらさめ”型護衛艦のネームシップで、従来の汎用護衛艦とくらべるとかなり大型になっています。

護衛艦”むらさめ”と”おおなみ”の艦橋です。
”たかなみ”型は”むらさめ”型の改良型として作られたいわば姉妹型なので、こうやって比べると非常に形が似ていることがわかります。
マストの大型の白いドームはヘリコプター用データリンクアンテナ、その下の6角形の板のようなのはOPS-24対空レーダ、その下の丸い板状のものはシースパロー短SAMと速射砲の射撃管制用の射撃指揮装置2型のアンテナ、艦橋から張り出しているところに設置されているのはNOLQ-3電子戦装置、艦橋の横にある白い金魚蜂のようなものはスーパーバード衛星通信アンテナです。

こちらは”むらさめ”の3連装短魚雷発射管HOS-302です。
対潜戦用の短魚雷を空気圧で発射するための装備で、両舷に1基づつ装備しています。

”むらさめ”(手前)と”おおなみ”(奥)の艦首です。
”たかなみ”型は”むらさめ”型に対して備砲の速射砲が大型化(”むらさめ”はOTOメララ76ミリ62口径単装速射砲に対して”たかなみ”はOTOメララ127ミリ54口径単装速射砲)したほか、Mk41 VLS(艦橋前のミサイル垂直発射機)が一段もりあがっているのがわかります。
”むらさめ”型は艦橋前にASROCを装填しているMk41VLSが16セル、艦中央部にシースパロー短SAMが装填されているMk48 VLSが16セルの合計32セルが装備されています。
一方”たかなみ”型は艦橋前にMk41 VLSを32セル集中配置して、シースパロー短SAMとASROCをそれぞれ16セルづつ装填しています。

こちらは”むらさめ”の90式艦対艦誘導弾発射筒です。
4連装(写真では2連装)の発射筒が左右1基づつ装備されています。
陸上自衛隊の88式地対艦誘導弾を艦載型にしたもので、慣性誘導とアクティブレーダー誘導方式を併用して、射程は100キロ以上といわれています。

こちらは”むらさめ”のMk48 VLSです。
シースパロー短距離艦対空ミサイル専用の垂直発射装置で、16セル装備されています。
現在”むらさめ”型はシースパローを発展型シースパロー(ESSM)に換装が進められていて、ESSMならば1セルに4発が装填できるとされます。

こちらは”むらさめ”(手前)と”おおなみ”(奥)のヘリコプター甲板です。
大変広大なヘリコプター甲板で、通常はSH-60JまたはSH-60Kヘリコプターを1機搭載しますが、2機での運用も可能とされています。

護衛艦”おおなみ”と”むらさめ”を前から。
”むらさめ”型は汎用護衛艦”あさぎり”型の代替となるべく建造された新世代の護衛艦です。
”あさぎり”型と武装は同じですが、船体がかなり大型化(あさぎり型は満載排水量4900トンに対してむらさめ型は6200トン)し、将来の拡充を容易にするとともに省力化とステルス性の向上をすすめています。
”たかなみ”型は”むらさめ”型の発展版で、ミサイル発射機をMk48とMk41の併用からMk41へ統合化するとともに、備砲を76ミリから127ミリに大口径化させています。
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