
もちろんこれを書いてるのは後日なんですが・・・
ちなみに当日(8日の午後9時頃)は体温が39℃ぐらいあってへたばってました。
でもやっぱり見てしまうでしょう、「男達の大和」。
これが公開されたときも封切の日に見に行きましたしね。
もちろんDVDも特別版をゲットしました。
それぐらい感動しました、この映画は。
まず冒頭の海に眠る大和。
その勇姿は朽ち果てていたとはいえ実に見事でした。
まるで日本の安全を見守ってるかのようにさえ見えます。
余談ですが「宇宙戦艦ヤマト」ではオープニングテーマがやたら暗いです。
「さらば~ちきゅうよ~(中略)かならずここに~かええってくると~」と、SFアニメならもっとテンポがよくノリノリの曲でもよかったはずです(案のひとつとして軍艦マーチを使うことも考えてたそうな)。
これには理由があるそうです。
昭和の大和は沖縄特攻という絶対に帰って来ることはない戦いに旅立ちました。
でも宇宙戦艦ヤマトは地球を救うために絶対に帰ってこなければならない。
だからこそ「必ずここへ帰って来ると手を振る人に笑顔でこたえ」となったようです。
そう考えるとこの大和というものが単なる軍艦ではなく私達日本人に何か特別な存在のようにも思えますね。
さて物語は少年兵の目を通して描かれていくのですが、下士官役の中村師童が後日公開された「硫黄島への手紙」では完全に別人(笑)
めっちゃいい役です。
中村はあのスキャンダル騒ぎが連発してただけに「硫黄島~」のほうがイメージとしてはマッチしてるかも知れない・・・・少なくとも「男達の~」では好感度300%アップしてます(^^;
反町隆史が炊事班の班長をやってるのは良いセンスだなと思いましたね。
炊事(=兵站)という戦争で一番重要でありながらあまり注目されない部分だからこそそこから見える世界は士官とは違って見えると思います(そういえば「沈黙の戦艦」も主役は調理士でしたっけ)。
人間味あふれる下士官役を熱演していました。
対空戦闘のシーンではちょっとCGがショボかったり(46サンチ砲から発射される三式焼霰弾、いくらなんでもあれはないでしょう。迫力がなさすぎです)、広角砲の射撃が妙な違和感(発射速度遅すぎない?打ち上げ花火ぐらいにしか見えないぞ)があったりしましたが全体として迫力ある映像でした。
特にさすがに実物大セットを作っただけあってその質感はさすがでしたね。
渡哲也さん演じる第二艦隊司令長官伊藤整一は実に見事でした。
数少ない場面でしたが、最後の菊水1号作戦(沖縄突撃作戦)を各艦隊司令に伝えるシーンでは無念さでいっぱいでありながら覚悟を決める姿は実に凛々しく、深いものがあります。
こういう役は渡さんでなければできませんね。
その後はもう号泣しっぱなしです。
「死ニ方用意」で故郷の母に別れの叫びを上げるシーン、長島一茂演じる臼淵大尉の「敗れて目覚める、それ以外にどうして日本が救われるか。今目覚めずしていつ救われるか、俺達はその先導になるのだ。日本の新生に先駆けて散る、まさに本望じゃないか。」はまさに名言。
祖国日本が生まれ変わるためにその先導として散るんだから決して無駄死にではない。
まさしくそのとおり。
多くの軍人さんの尊い犠牲があるからこそ今の日本の安全と繁栄につながっているんです。
と、いろいろ書きましたけど突っ込みどころもいっぱいではありました。
まず最後の菊水一号作戦では「片道分の燃料」となっていましたがちょっとまった!
これは完全に誤りです。
実際は燃料を集められるだけ集めていたのが事実です。
もし片道分だったらとんでもないことになります。
劇中でも偽装航路(敵に悟られないように行き先をごまかして遠回りする航路をとること)を取りましたし、実際にもやってます。
遠回りするということは当然余分に燃料を消費するわけですから片道分では沖縄にたどり着けません。
しかも戦闘になったら敵の砲弾や爆弾、魚雷を避けるために回避機動をとるので当然燃料はバカ食いします。
また可能性は小さいですが天候や命令の関係で引き返すということも考えられます(実際特攻機が目標に突入できずに基地に戻ってきたということもあったようです)から片道分しかなかったら作戦そのものが不可能です。
次に鈴木京香(内田の娘)、あんた何歳?
劇中では内田(中村師童)は菊水一号作戦から生還した後で戦災孤児を集めて義父となって育てたとなっています。
鈴木京香は「父が~」と言ってますから少なくとも孫娘という形にはなってないと思います(養女ですが)。
内田は戦災孤児を引き取ったわけですから鈴木京香も戦災孤児ってことになります。
戦災孤児というぐらいですから生まれたのは遅くても昭和20年の8月以前ということになります。
物語は平成17年4月6日ですから・・・・
え~!60歳?
どうみても30代後半にしかみえないんですが。
それと「北緯30度43分東経128度4分」と一言聞くだけで大和の沈没場所とほぼ全員が理解できた漁協の皆さんもちょっと違和感が。
この辺ちょっとムリがあるかな。
他は細かいところはいろいろありますけど、全体的にはとてもよかったと思います。
大和だけでなく護衛艦の駆逐艦「磯風」「浜風」「雪風」や巡洋艦「矢矧」なども出すべきだという意見をよくネットで見ますが私は大和一本に絞って正解だと思います。
軍事マニア向けならともかく、大和すら知らない多くの観客に見せるのなら大和とその乗員数名に絞ったほうが物語りとしては深みが出ると思います。
(でも明らかな死亡フラグはちょっと・・・・確かに呉、広島、宮島という場所がら避けて通れないんですが)
ちなみに写真は呉にある海軍墓地の大和の慰霊碑です。