それでは次の飛行展示がはじまあるまでに地上展示を見ていきましょう。

こちらは飛行開発実験団のF-15J戦闘機です。
コクピット前に丸いボール状のものがありますが、このF-15は近代改修型(いわゆるF-15J改)の試験機で形態一型と呼ばれていてIRST搭載試験機になっています。
世界トップクラスの空中戦能力を誇るF-15航空優勢戦闘機も自衛隊に導入されてから28年がたって周辺国の戦術機の能力が上がってくると優位性が確保しずらくなってきました。
そこで電子装置などを改良して通用する戦闘機に生まれ変わるのがこのF-15J近代改修型です。

コクピット前の丸いボールが目立ちます。
これはIRSTと呼ばれる赤外線探索および追尾システムで、相手航空機のエンジン排気など機体が発する赤外線を感知するシステムです。
レーダーと違って電波等を発信しないため相手に気がつかれないという大きな利点があります。

こちらは格納庫内で脚の作動を展示しているF-15戦闘機です。

ちょっとよってみましょう。
空気取り入れ口の横が盛り上がっているのがわかります。
実はこの機体もF-15J近代改修型の試験機です。
こちらは形態二型と呼ばれます。
F-15は初号機から最終号機の生産は20年にもなりますので生産ロットや途中で受けた改修の規模がまちまちです。
そこで機体の改修規模によって形態1型と2型をわけて近代改修を行う計画になっています。
主なものではセントラルコンピュータを新型のものに変更したり火器管制装置をAPG-63(V)1に変更、AAM-4の搭載対応、さらに形態2型では統合戦術データリンクシステムの追加やIRSTの搭載を計画しています。

こちらはT-2CCV研究機です。
T-2超音速練習機の試作3号機をベースにカナード翼とデジタルフライバイワイヤと処理システムを搭載する改修をうけています。

T-2CCV研究機を前から。
空気取り入れ口と機体下に3枚のカナード翼がつけられていることがわかります。
CCVとは機体をコンピュータで姿勢コントロールするシステムのことで、F-2、F-16、F-22、F/A-18、B-2といった最近の航空機に採用されています。
戦闘機などのように機体の機動性を向上させるためには静的に不安定にする必要があります。
またB-2ステルス爆撃機やF-117ステルス戦闘機など、ステルス性を優先させるため誰がどう見ても飛べそうに無い形になる場合もあります。
そうなると機体が静的に非常に不安定になるためもはや操縦者の技術で飛ばすことは非常に困難になってきます。
そこで機体の姿勢制御をコンピュータを使って行うシステムがこのCCVというシステムです。
F-2戦闘機の開発のときにF-16をベースにしろという米国からの圧力があったにもかかわらずこのコントロールシステムの情報を開示されなかったためこのT-2CCV研究機の研究結果を応用したと言われています。

こちらはなんとEC-1電子支援訓練機です。
C-1中型輸送機をベースに電子妨害装置を搭載した機体で電子妨害状況をつくりだす訓練機です。
EC-1はこの1機のみしか存在していません。

こちらは格納庫で武装とともに展示されたF-2B戦闘機です。
主翼には国産のAAM-3型空対空ミサイル2発と同じく国産のASM-2型空対艦ミサイル、さらに胴体横にJ/AAQ-2 FLIR、胴体下中央に増槽という重装備で展示しています。

それでは武装を見ていきましょう。
F-2の胴体横にくっついてるのがFLIRです。
FLIRとは赤外線前方監視装置のことで赤外線で捉えた映像をコクピットに送るもので悪天候や夜間のときの飛行や目標の捜索に使用します。
手前にあるのはAAM-5空対空ミサイルです。
航空自衛隊が開発したばかりの最新の空対空ミサイルで、米国のAIM-9XやSRAAM、MICA-IR、IRISTと並ぶ新世代の短距離空対空ミサイルです。

AAM-5を後ろから。
ロケットモーターのノズルが非常に複雑な形をしているのがわかります。
これはミサイルが飛行中にこのノズルによる推力変更を行うことで高い機動性をもたせているためです。
AAM-5はサイドワインダーやAAM-3の後継としてF-15改に搭載が予定されています。

こちらはJDAM(統合直接攻撃弾)の模擬弾です。
JDAMは通常の航空機搭載爆弾に誘導装置を搭載したもので、無誘導の爆弾を精密誘導兵器にできるものです。
あらかじめ入力した座標を慣性誘導とGPSによって誘導を行うため、例えばレーザー誘導爆弾のように誘導機が命中まで誘導指示を与える必要が無く、安全に打撃を与えることができます。
航空自衛隊が保有する初の阻止攻撃兵器です。

こちらは現在技術研究本部が開発中のUAV(無人航空機)です。
TACOMと呼ばれるこのUAVは多用途小型無人航空機の試験機で航空機から射出した後に自動着陸を行えるよう計画を進めています。

こちらは飛行開発実験団のKC-767J空中における航空機に対する給油機能および国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機(いわゆる空中給油機)です。
KC-767J空中における航空機に対する給油機能および国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機はボーイング767旅客機をベースに空中給油機能を付与したもので戦闘機への空中給油や物資の輸送が可能です。

KC-767J空中における航空機に対する給油機能および国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機の胴体後部に設置されたフライングブームです。
これを展開させて戦闘機の受油口に挿入して給油を行います。
KC-767J空中における航空機に対する給油機能および国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機は飛行開発実験団による各種試験の後に小牧基地の輸送航空隊に配備されます。

こちらは地上展示というわけではないですが、基地のゲートガーディアンになっているFST-2改(F-1支援戦闘機を開発するために改造されたT-2の試験機)です。
すっかり子供のおもちゃと化しているのはファンとしてはちょっと寂しいかも。
でも兵器として生まれてきて相手に1発の弾丸も撃たずに国を守る任務を完璧にまっとうし、退役後は未来のパイロットや整備士に夢を与えられるのはこの上なく幸せなことなのかもしれません。
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