引き続きCVN-73”ジョージ・ワシントン”をご覧ください。

こちらが”ジョージ・ワシントン”の艦橋です。
巨大な艦体に比べると意外にコンパクトなのが印象的です。
上の3階が大きく張り出していますが、これは航空管制ルーム、航海室、作戦司令部になっています。
巨大な「73」と書かれた横に張り出した部分はモニタリングルームと呼ばれるもので艦首から艦尾まで見渡せます。
ここで艦載機の作業を記録しています。
ドーム状なのはテレメトリーアンテナ。
ところで”ジョージ・ワシントン”はCECシステムを搭載しています。
CECシステムとは相互にネットワークをつなぎ艦隊の防御を強化するシステムとされています。
これは例えばイージス艦がMD(ミサイル防衛)のために弾道ミサイルの観測・射撃誘導を行っている間はその艦の能力はMDシステムに集中されるため、その間はレーダーの対空監視範囲が限られてくるため脆弱になってしまいます。
CECシステムを搭載したほかのイージス艦がネットワークでリンクして対空監視や射撃対処を行うことができるとされています。

艦橋の後ろにあるマストです。
ニミッツ級では従来鉄塔型でしたがステルス対応として壁板を貼っています。
ドーム状の通信アンテナ、網状なのが対水上レーダ、お皿のようになってる上に載せてあるのがMk-91射撃管制装置です。

艦橋後部。
AN/USC-38EHF SATCOMアンテナ(静止衛星通信アンテナ)など各種アンテナが並びます。

空母がまぎれも無く戦闘マシーンだという象徴的なものがこのシュートです。
水兵に伺ったところ、爆弾やミサイル等を投棄する必要が発生したときにこのシュートをつかって海に投棄をします。
甲板のあちこちにこれがありました。

こちらは着艦ワイヤーです。
艦載機は240km/hで進入し、着艦のときこのワイヤーに着艦フックをひっかけて文字通り「無理やり」停止させます。
そのためこのワイヤーは子供の腕ほどの太さがあります。
”ジョージ・ワシントン”にはこのワイヤーが3本あって、このどれかを引っ掛けて艦載機は着艦します。

こちらは防御装備。
艦尾近くにはRIM-7シースパロー短距離艦対空ミサイル発射機Mk29が設置してあります。
この発射機にはシースパローが8発装填されています。

こちらはシースパロー発射機の反対側にあったRIM-116RAM発射機Mk49。
RAMは高性能20ミリ機関砲(バルカンファランクス)CIWSの後継として開発されたもので、20ミリ砲弾では飛来してくる巡航ミサイルや対艦ミサイルには威力不足が懸念されるため近距離防衛用のミサイルで対処したものです。

それでは再び艦内を。
格納庫では戦闘機に搭載する爆弾が展示してありました。
手前にあるのはAGM-145JSOW、その後ろはJDAMです。
JSOWは統合スタンドオフ兵器とよばれるもので、平たく言えばGPS誘導爆弾です。
航空機から高高度で投下され、慣性誘導装置とGPS誘導装置により目標まで誘導されます。
JSOWは目標周辺で子弾頭をばらまくクラスター弾頭、装甲車両を自ら確認して突入する対装甲弾頭、単一の爆弾の主に3種類があります。
投下後に母機から誘導が可能とされています。
JDAMは慣性誘導装置とGPS誘導装置のキットを爆弾に組み付けたもので、簡単に通常爆弾を精密誘導弾に変更することができます。

こちらはGBU-24ペーブウエイⅢ型レーザー誘導爆弾です。
レーザー光はまっすぐにすすむため、このレーザー光を誘導機が目標に当て続けることでレーザー誘導爆弾がこのレーザーを感知し、照射された目標に突入する精密誘導爆弾です。

こちらはF404エンジンです。
F404ターボファンエンジンはF-117ステルス爆撃機、グリペン戦闘機などで使われている西側のベストセラーエンジンで、空母艦載機ではF/A-18ホーネット戦闘爆撃機のエンジンに使われています。

こちらは艦内でみかけたファイアーファイター。
航空燃料や弾薬、油脂類、そして原子炉など非常に重要で危険なものが数多く配置されている”ジョージ・ワシントン”の応急作業者は実に数百人規模にも及びます。
消火にあたるファイアーアタックチームは専従ではなく各部署の人員から応急的に編成されます。

以上、CVN-73”ジョージ・ワシントン”の内部でした。
”ジョージ・ワシントン”はCVNの名のとおり核動力でA4W原子炉が2基で28万馬力の出力をだすことができます。
動力を原子力にすることで自艦の燃料を気にすることなく高速での航海が可能で、通常動力空母では大容量が必要となっていた燃料タンクが不要になったためその分艦載機用の兵装と燃料を搭載することができ、効率的な打撃を行うことができます。
実に4923名という大人数の乗組員が配置され、このうち航空要員が1700名、司令部要員60名となっています。
10万トンの戦闘艦といってもイメージがつきにくいですが、護衛艦で例えるならば、空母1隻で「たかなみ」型と「むらさめ」型護衛艦合計14隻に加え、「あたご」型ミサイル護衛艦を2隻足した16隻分に匹敵する排水量になるわけです。
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