2010年10月04日
今日の共同通信のニュースですが、防衛省はUAVの高高度偵察機RQ-4グローバルホークの導入を検討してるようです。
http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010100301000493.html
導入は3機のようですが、実現すればより高度な戦略偵察が可能になりますね。
RQ-4というのは無人の高高度偵察機です。
ものすごく長い主翼で長時間の滞空ができます。
「無人機」ということで小型なイメージですが、胴体の長さはT-400練習機ぐらいで、主翼の長さがYS-11の主翼よりもさらに長いわけです。
超巨大な無人機ですね。
ちなみに無人機というと安価なイメージがありますが、結構高価です。
参考までに2011年度米国防予算では4機調達で736.8百万ドルなんだとか。
1機当たり150億円ぐらいかな。
たぶん機体だけじゃなくシステム全体の購入費なんでしょうけど、高度なシステムだけに結構高価ですね。
もっとも軍事関係の費用は本当に参考程度にしかなりませんけどね。
これが実現できてうまく運用できれば中国や北朝鮮の戦略情報をつかむことが可能になりますし、我が国が警戒しているぞというアピール(軍事的けん制)になります。
無人ですから、有人の偵察機を飛ばすことは非常にリスクがあるような地域に進出することも可能ですし、航続距離が2万キロぐらいあるようですから、非常に長距離まで偵察行動をおこなうことが出来ます。
費用以上の効果は軽くあげることができるんでしょう。
ただ・・・・どうなんでしょう?
無人機を運用するわけですから法的な問題が結構ありそうな気がします。
さらに巨大な無人機を都市上空で飛ばすのもちょっと抵抗感ありますので、硫黄島などになるんでしょうね。
でもそれ以上に「事業仕分け(笑)」であっさり削られそうな気もします。
何しろあの人たちですからね。
さて、RQ-4がらみでこんなニュースも。
以前から報道されていたように、いよいよ我が国でも日米共同で島しょ奪還戦の演習を本格的にやるようになりました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101003/plc1010031124004-n1.htm
それにしても規模がすごいですね。
第7艦隊や米太平洋空軍、さらにはSSGNまで投入するようです。
SSGNは1隻に22セルのトマホーク発射機(1セルに7発!)があって、154発を発射することが出来ます。
これが日本近海に展開するわけですから大きなプレゼンスになります。
はい、実はここでこのニュースを「あれ?」と思ったんです。
今回の演習は明らかに尖閣を意識してます。
確かに尖閣諸島は日米安保の範囲にはいることを確認済みですが、ソレを考慮しても米軍のこの本気です。
単なる「領土」をめぐってなら米軍もそれほど本気ではないでしょう。
我が国にとっては大事な領土でも、米国にとっては同盟国の小さな島なわけですから。
しかもこれだけの演習をやればおもいっきり中国を刺激しますから、中国市場を考えると米国の参加姿勢の本気さに驚かされます。
要するに「中国市場にある程度の影響があってでも必要なプレゼンス」という証拠じゃないでしょうか?
よく尖閣諸島を語る上で中国が資源がほしくてということを耳にしますが、果たしてそれだけでしょうか?
資源がほしいのはもちろんでしょうが、こうは考えられないでしょうか?
1.日本を中国のコントロール下におく
日本領海に豊富な資源がある可能性があるわけですが、我が国がこれを採掘するということは自給できる資源を入手できるということです。
日本は資源を外国に頼ってるので、一部であれ自給できる資源があれば相対的に貿易の影響力が減るってことになります。
また、尖閣を中国の領土とすればその近海を領海にできます。
日本の貿易は海運がそのほとんどを占めていますし、特に原油は中近東に依存してます。
尖閣を中国の支配下にされた場合、その海運の安全は?
そう、日本は中国に対して人質を取られる状態になるわけです。
そのために自給できない体制にして、その上で貿易という生命線を押さえることで中国の日本に対する影響力を増大させるのが目的ではないでしょうか?
2.尖閣を中国の海軍拠点にする
1988年には中国は南沙諸島をめぐり、ベトナムに対して海戦を行って勝利し、領土拡大をしています。
領土といっても小さな島ですが、海洋資源はもちろん、海軍の行動が拡大できます。
特にフィリピンが在比米軍を撤退させてからはこの地域での米軍のプレゼンスがなくなり、より活発になりました。
また、西沙諸島では1970年代にベトナムに戦争をしかけて島を奪い、基地を設置しています。
これが尖閣諸島で発生した場合はどうでしょう?
そう、沖縄のすぐ近くに中国軍の拠点が出来上がることになります。
米軍の行動が著しく阻害されるだけでなく、非常に大きな脅威になります。
実際中国は06年の国防白書で「海軍は段階的に近海防禦の戦略縦深を増大して海上総合作戦能力と核反撃能力を高める」とあります。
ここでいう「近海」とは200海里のいわゆる「近海」ではなく、黄海、南海、南沙群島、台湾と沖縄を結ぶ線の内外の海域、太平洋の北部海域を指します。
米国はこれに対して中国軍事力報告2007年度版では台湾問題にて「接近阻止」を指摘しています。
台湾有事の際には米海軍は当然介入してくるでしょうが、米海軍を接近できない状態(議会では台北制圧のためには最低5日間接近阻止が必要との証言もあります)にしておくのは重要なポイントだと思います。
もちろん、太平洋で中国海軍が自由に行動するためにはこの海域をコントロール下におくことが必須ですよね。
さあ、尖閣諸島はどこにあるでしょう?
これら中国の「近い将来の強大な脅威」に大きな危機感を米国が日本以上に感じてるんではないでしょうか。
Posted at 2010/10/04 23:52:01 | |
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